当ブログは「ラブライブ!」及び「ラブライブ!サンシャイン!!」関係の色々な情報・ネタ・SSをまとめたサイトです。主に、5ch.net、2ch.sc、したらば掲示板のスレやTwitterをまとめています。
ラブライブ!まとめちゃんねる!! TOP  >  SS >  【長編SS】にこ「Loveless World」【ラブライブ!】

【長編SS】にこ「Loveless World」【ラブライブ!】

lovelessworld.jpg






1: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:18:18.53 ID:QjbTf5ue
西暦1995年3月20日、地下鉄テロ事件。

その10日後、午前8:31分。
自宅マンションを出た警察庁長官が何者かによって銃撃され、3発被弾。幸いにも命は留めたものの、まさしく九死に一生を得たといったところであった。
警察公安部は前述の地下鉄テロ事件を起こした教団による警察への報復と判断し、捜査を進める。そして翌年、1996年6月。

容疑者の1人が犯行を自供するも、彼は教団の在家信者であり、現職の警察官でもあった。一連の教団による事件の中で、判断ミスにより被害者を増やし信用を失墜しかけていた警察はこの自供を隠蔽。
秘密裏に捜査を進めてから約2ヶ月が経っていた。
そして、1996年8月6日。

2: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:18:57.09 ID:QjbTf5ue
-----東京都台東区-秋葉原-某居酒屋

にこ「まぁー、やっぱあの回はジブリ作画って感じだったわよねぇ」

【矢澤にこ-ニート/ハンドルネーム:サード】

セカンド「まぁそうだわな。てか、そりゃそうでしょ。でも良かったよな?あのほのぼの感っつーか、アレ」

【おたく-フリーター/ハンドルネーム:セカンド】

にこ「そうねぇ。あの回は、ってかあの通勤電車のシーンを入れることでNERVと社会との接点が見れたのよ?あれホント必要な描写よ…」
セカンド「『ぬるいな 』」

にこ「『あぁ 』」

セカンド「それーーーーっ!!それですよそれぇ…」

周囲の客「うるせぇな…」ボソッ

3: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:19:31.47 ID:QjbTf5ue
セカンド「おっと……しつれ。まあいいっちゃいいんですが、まぁ。ところで知ってる…?この近くのどっかのジャンク屋にさ、ディスクが売っててさ。エヴァに関係あるっぽいのよね」

にこ「へぇ…?中身なんなのよ…」

セカンド「とにかく見てみればわかるらしい。帰りよってみたら??」

にこ「ま、時間あったらね……」

セカンド「それよりさぁ…」

にこ「(その後の事はあまりよく覚えていない。とにかく熱く語り合ったのだ)」

4: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:20:02.82 ID:QjbTf5ue
-----2時間後-秋葉原電気街

にこ「(だいぶ話したわね……)」

にこ「(あ、そういえば…)」

にこ「………………あ、これ?」

にこ「エウアンゲリオン・テス・バスレイシアス……………?」

にこ「なーんか。うん。(聞いたことあるような…やっぱエヴァ関連?でも名前が…)」

にこ「(まぁ、買ってみようかしら。透明のケースに手書きのマジックでタイトルって相当怪しいけど。300円だし)」

5: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:20:25.28 ID:QjbTf5ue
ーーーーー20分後-矢澤宅

こころ「…………あ(お姉様)」

ここあ「……お帰りなさい」

虎太郎「…………………」

にこ「ぅ………あ、ご、ご飯は?」

こころ「さっきお祖母様が来て、そこに……」

虎太郎「カレー………」

にこ「ぁ…そう。うん、ありがとう…じゃ、にこは…」

ここあ「お姉ちゃん、ご飯作ってくれないの…?」

にこ「ぇ……」

ここあ「だって、先週……」

こころ「ここあっ!」

にこ「…………ごめんね、にこはもう疲れちゃったのよ。本当ダメなお姉ちゃんよね。お婆ちゃんに全部任せて。でもダメなの……………本当にごめんね。じゃあ、もう行くから………」

ここあ「…………お姉ちゃん」

こころ「………11時を過ぎればお母様が帰ってきます。もしかしたら、何か買ってきてくれているかもしれません」

虎太郎「…………………」

6: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:21:16.46 ID:QjbTf5ue
ーーーーー矢澤宅-にこの部屋

にこ「…………ごめんね」

にこ「(中学を卒業した後、私は働き始めた。おじいちゃんの入院費や、こころにここあ、虎太郎の学費。
それにママは長い事勤めてた会社を辞めることになって、前より小さい会社で働くことになってしまったからだ。
私は運良く事務職として小さい会社に机を貰えた………働き始めて4ヶ月後、自転車に撥ねられて大怪我するまでは)」

にこ「(私の身体が治った後、おじいちゃんは死んでしまった。
その分のお金が浮いた……私は、そしてママもそんな事を考えてしまったんだと思う。
静かな病院で、私たち2人は、何だかやりきれなくて泣いた)」

にこ「(仕事には戻れなかった。おじいちゃんの遺産を食い潰しながら、私は部屋にこもることにした。
何も見たくないし、聞きたくなかった。社会の外側にいるのは心地良かった)」

にこ「(っと、湿っぽいモノローグはここまで…さっきのディスクでも観よ…)」

プチッ………ジジッ…

ーーーεὐαγγέλιον τῆς βασιλείας, 1999/3/23ーーー

にこ「(何…?これでエウアンゲリオンって読むの…?)」

7: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:23:32.58 ID:QjbTf5ue
ごめんなさい、上のにこのセリフ「エウアンゲリオン」じゃなく「エヴァンゲリオン」で……

ガッ……ジジッ…ザァー…ザザァ…ピーーーーッこの人間界に降誕された、聖なる魂!ピーーーーッジジッ が、や、大破局は避けられないとされている。ジジッkの…は、間も無くだと言われている!ピーーーーーーーーッ…私は君たちが、私の手となり、足となり、あるいは頭となり、救済計画の手伝いを…

にこ「は……?何よこれ………」

…そして、悔いの無い、死を。迎えようではないか。ピーーーーーッ

にこ「何よこれ…うさんくさいわねぇ…てか、エヴァ全然っ関係ないじゃない…!損したわ、聞いて……」

にこ「………?いや、これ、あれじゃない……?」

ピッ
アナウンサー「そして、未だ解明されない狙撃事件ですが…」

識者「私はま、この狙撃の件も?教団の仕業じゃないかと思いますけどねぇ…彼らならやっていてもおかしくはない」

ジャーナリスト「それはバイアスがかかり過ぎでしょう、貴方は彼らならどんな悪を押し付けても構わないと?」

識者「そんなことは言ってませんよ、でもね」

アナウンサー「ここで教団の当時の映像をご覧頂きましょう。本取材班が入手した独占映像です。どうぞ」

8: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:23:58.90 ID:QjbTf5ue
にこ「この映像の…やっぱそう…こいつ…こいつじゃない……これ、あの、中二の時だか花陽に無理やり連れられてったセミナーだか何だかにいて……去年の春にあの事件起こして、梅雨くらいに捕まって……」

にこ「このディスク、そんなやばいやつの………??」

にこ「やばいやばい……なんなのよもう……明日捨てて来ないと……」

にこ「……そういえば、花陽。あの子は、どうしてるのかしら。あの子も、エヴァ見せたら嵌ると思うんだけどな……」

にこ「(新世紀エヴァンゲリオン。これのおかげで私はちょっと変われた。今日だって、エヴァの為に外に出た)」

にこ「明日、花陽の家行ってみようかしら。久しぶりに」

にこ「(私、アクティブになったわね)」

9: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:24:33.78 ID:QjbTf5ue
希「ふ ふ ふ…」

【東條希-認知科学者-カーネギーメロン大学博士】

10: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:26:03.47 ID:QjbTf5ue
またミスった…

-----翌日-小泉宅前

にこ「(花陽の家、車なんてあったっけ…)」

ピンポーン………ガチャ

花陽母「……あら、にこちゃん!?久しぶりね…せっかく来てくれたのは嬉しいんだけど、でも、今………」

???「私たちなら構いませんよ、すぐお暇しますから」

花陽母「え…でも…」

???「花陽ちゃんのお友達なら、いい話しも聞けるかもしれないにゃ」

???「お母さん、なるべく知られたくないってのはウチらもわかるけどな、こういうのは多角的な情報が必要なんよ」

花陽母「…じゃあにこちゃん、ちょっと上がってって…」

にこ「え…あ、はい…(何なのよ、この空気….てか奥の奴ら誰よ……)」

海未「初めまして、園田海未と申します。南千住署の警部です」

【園田海未-警視庁公安部公安第一課-南千住警察特別捜査本部付き公安警察官-警部】

にこ「え、は、はぁ…どうも…(なんで警察が居んのよ…)」

凛「凛も同じく警察官だよー。」

【星空凛-警視庁公安部公安第一課-南千住警察特捜本部付き公安警察官-刑事】

にこ「(あの子本当何したのよ……!)」

希「ウチは…うーん、天才科学者かな?」

にこ「(うさんくさ…こいつが1番なんなのよ…)」

海未「希…自分から怪しんでくれと言ってるようなものですよ…」

凛「実際凛は怪しさしかないと思うけどにゃ。何なんだにゃ本当」

希「ふ ふ ふ…」

【東條希-認知科学者-カーネギーメロン大学博士】

12: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:26:41.99 ID:QjbTf5ue
海未「じゃあ早速…」

凛「その前に一回落ち着いてもらって…」

花陽母「そうですね…にこちゃん、椅子にどうぞ…」

にこ「あ、ありがとうございます…ていうか、花陽はどこに?」

花陽母「………………………」

海未「私たちが今ここにいるのはその為です…どちらにしろ貴女に聞きに行く可能性はありました、手間が省けたという所でしょうか。凛、説明を」

凛「矢澤にこちゃん、貴女、4年前…つまり貴女が中学二年の時、花陽ちゃんに連れられてとあるセミナーに行ったよね?」

にこ「はい…(え…マジ?あれ関連なの…)」

希「その団体が去年の3月、地下鉄のアレを起こしたのはニュースかなんかで見とるね?」

にこ「まぁ…うん…」

海未「同じ月の十日後の、警察庁長官狙撃事件は?」

にこ「それも見たわ…でも、そっちはまだ誰が犯人かわかってないんでしょ?」

希「そう…それで、その重要参考人として浮上したのが……」

にこ「……花陽なの?(まさか)」

海未「そう、まさかとは思うでしょうが」

13: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:27:23.12 ID:QjbTf5ue
凛「凛たちが今取り組んでるのは2つ…まずは花陽ちゃんの教団からの脱会、そしてそれが成功すれば脱洗脳(デプログラミング)を施すこと…それと、花陽ちゃんが本当に狙撃事件に関与しているのかということ……」

希「……凛ちゃん、はっきり言った方がええよ。にこちゃん、花陽ちゃんはほぼ確実にこの事件への関与が認められている…つまり、重要参考人、というよりも共犯の容疑や」

海未「希!!にこは一般人ですよ……」

希「ええやろ、どうせ…にこちゃんには協力してもらうんやし…」

にこ「は!?協力って…どういうことよ!」

海未「はぁ…仕方ありませんね。希が、専門家が言うなら仕方ないです…。にこ、貴女には一般協力者として、この事件に携わって頂きたい、向かって欲しい場所があるのです」

にこ「ねぇ………そういうのって、違法捜査って言うんじゃないの」

凛「この事件については特別にゃー!」

海未「凛!違います……違いますよ、 私たちの行動は紛れもなく違法捜査です。私たちが法治国家の警察官である限り、特例などというものはありません」

希「特例は前例となり、そして恒例と化す…そういうことやね」

凛「でも、あいつらを野放しにしたら…」

海未「それですよ、凛。この事件に関しては、何をしても特別に許される…この国は今、そういう空気です。
国家が感情で動くべきではない。ある規範に従う機械であるべきです。
それに我々は警察官ですよ…?凛、国家の暴力装置たる我々は、決して感情を持つことは許されません。暴力が自らの意志を封殺しなければ、支配者自身に変わってしまいます…その帰結は悲劇です」

14: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:27:50.06 ID:QjbTf5ue
凛「…凛には難しいことはわからないにゃ。ただ、この事件を絶対に解決しないといけないってことだけ」

海未「…えぇ、もちろん。その通りです」

にこ「ちょっと…内輪もめしてないでちゃんと説明してよ…何で私があんたらに協力しないといけないのよ」

希「お金、困っとるんやろ?」

にこ「…!…まぁね」

希「100万出したる」

にこ「………は?」

海未「…希」

希「もちろんウチの個人的なお金や。警察のお金でも、大学のお金でもない。でもウチは、この事件の解決にはにこちゃんの協力が不可欠だと思ってるんよ」

にこ「何でよ…」

希「それは秘密。ただ、お金が必要なんやろ?それは、そうやろ?」

にこ「………(これ以上、ママにも、こころにもここあにも虎太郎にも、迷惑はかけられない)」

15: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:28:37.70 ID:QjbTf5ue
にこ「………何をすれば良いの…」

海未「山梨県のある村へ向かって欲しいのです。そして貴女にはこの施設に入り、花陽や、他の信者との接触を図って欲しい」

にこ「それでどうするのよ」

凛「そこに高坂っていうジャーナリストが居るから、詳しいことは行ってからその人に聞いて欲しいにゃ」

海未「このメモを彼女に渡してください。中身は見ないでくださいね」

にこ「わかったわ…いつから?」

海未「明日です」

にこ「えぇ」

海未「迎えに行きます」

にこ「……」

海未「明日」

にこ「ヴぇえ」

16: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:29:08.15 ID:QjbTf5ue
-----同日 ロシア連邦-モスクワ市-ロシア連邦保安庁本部庁舎(ルビャンカ)-地下収容階-419番号室

エリ「元気そうね、マキ」

【エリーナ・アヤシェニコフ-ロシア連邦保安庁(FSB)-テロ・政治的過激主義対策局-調査官】

マキ「えぇ。スイートルームをありがとう」

【マキシーヌ・ニシングストン-カーネギーメロン大学-理論物理学者/心理工学者-“元”教団協力者】

エリ「貴女のことを反ロシアの米工作員だとか、ルツコイ、ハズブラートフの支援者だとか色々上は疑ってるわ。でも、私は違うと思う」

17: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:29:45.23 ID:QjbTf5ue
1993年10月、当時の副大統領アレクサンドル・ルツコイと最高会議長ルスラン・ハズブラートフが大統領ボリス・エリツィンと決別。
最高会議ビルを占拠し反エリツィン闘争を展開するも、国軍により制圧され、拘束。(10月政変)
その後彼らは安全保障会議書記、オレグ・ロボフらと共に教団に協力したとされる。
FSBは彼らの教団への協力を日本の転覆を支援し、親米国家から親露国家への転換、加えてそれが教団ロシア支部の拡大とエリツィン政権打倒を視野に入れたものでは無いかと懐疑。
特に後者を危惧、教団の核兵器開発に協力したと思われるアメリカ人科学者、マキシーヌ・ニシングストンへの過酷な尋問を行っていた。

マキ「そうね。残念だけどそれは違うわ」

マキ「私はただ核を弄りたかっただけ。これ、ニシングストン家の呪いなのよ」

167: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:20:39.54 ID:XOpPwBzo
>>166
あー、本当だ。ミスです。ご指摘感謝です。

18: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:30:14.27 ID:QjbTf5ue
エリ「そのようね。貴女のお爺様はあのマンハッタン計画に参加していたとか」

マキ「参加していたなんてもんじゃないわ。ロスアラモスの所長よ?…ママは核が大嫌いだったみたいだけど」

エリ「ゲームを禁止された子供が10年後にはゲームだらけの部屋で暮らすようなものかしら?もっとも、核に興味を持たせて自由にさせるのが健全とはいえないけれど」

マキ「ま、そうね。でも別に私は教義に心酔したわけでも、エリツィンが憎かったわけでもない」

エリ「じゃあ、何故あんなものを作ったのよ、彼らのために…」

マキ「彼らが1番、使ってくれそうだったからよ…というかもうだいぶ経つわよ。出してよ」

エリ「あら、まだ時間の感覚なんてあったのね。じゃあ、まだ出せないわ」

マキ「ヴぇえ」

19: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:30:51.33 ID:QjbTf5ue
ーーーーー翌日-矢澤宅前

海未「おはようございます」

凛「おはよー」

希「おはようさん」

にこ「早くない……?眠いんだけど」

ここあ「お姉ちゃん、この人たち…」

にこ「私のバックダンサーよ」

希「あら」

虎太郎「にこにー、すげー」

にこ「行くなら早く行きましょう。スーツケース、後ろに入れられる?」

海未「えぇ。あ、本とかもってきた方良いですよ?先は長いので」

にこ「本……?本ねぇ…なんでも良いけど」

こころ「どうぞ、お姉様。お部屋の本棚にありましたよ?」

にこ「?こんな本、買ってないけど…」

こころ「お姉様、この間お部屋で読んでいたような……?」

にこ「違う本だと思うわよ」

20: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:31:23.79 ID:QjbTf5ue
海未「さぁ、乗ってください」

希「あ、これ前金な」

にこ「重い…………ここあ、お給料。ママに渡しといて……そうよ。良い子にね」

凛「もう出すにゃー!」

にこ「はいはい…じゃあね」

こころ・ここあ・虎太郎「行ってらっしゃい」

-----車中

海未「どんな本を?」

にこ「これ……」

希「へー、ええやん、名著やん」

海未「にこ……もしかしてインテリぶってます?」

にこ「失礼ね!読めるわよこれくらい!」

にこ「(そこから私は何時間も車に揺られた。久しぶりに乗った車は私には目眩がして、何度か吐いた。生きている実感がした。吐瀉物に交じる魚の骨を見た時、私は自分の血の色を思い出した)」

海未「さて、着きましたよ」

にこ「え……ここなの?」

21: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:31:57.48 ID:QjbTf5ue
海未「ここからは地図を渡します。一人で行ってください。私達…特に希は彼らに悪魔だと思われているので」

希「ほんま酷いわぁ…あ、そうやにこちゃん、これ、穂乃果ちゃんに渡しといて。昨日言ってたジャーナリストな」

にこ「ちょっと…私怖い」

海未「にこ…気持ちはわかりますが、彼らの多くは事件のことも私たちと同じ時、いえ、それどころか後から知ったような人達です。決して彼らはテロ集団ではありません」

凛「同罪にゃ。わからないにしろ、加担はしていたんだから」

海未「だからといって、彼らを危ない人間だと断言できますか?凛……貴女の意見は感情論です」

凛「そうかにゃぁ。凛は、海未ちゃんが空回りして正義ぶってるだけに見えるにゃ」

海未「凛……….」

希「はいはい、正義論はその辺で。今はにこちゃんを見送ろうや」

海未「そんなんじゃありませんよ……まぁ、とにかく行ってらっしゃい、にこ」

凛「頑張って、頼むにゃ!」

希「ほな、穂乃果ちゃんによろしくな~」

にこ「なんか気楽な奴らね……」

22: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:32:40.81 ID:QjbTf5ue
-----教団施設-入り口

にこ「ええーと、ここよね……あのー、誰か…」

信者「………はい」

にこ「あのー、私…」

信者「…マスコミの方ですか」

にこ「えっ!いや、違うわよ……服装とかみりゃわかるでしょ」

信者「……………」

にこ「……………(帰りたい)……あの、私小泉花陽の友達で。遊びに来たって言うか、なんというか…(何言ってんだ私)」

信者「あの、そういうのは……」

ことり「良いじゃない?上がってもらったら?」

信者「あっ……マハーガルダ…」

ことり「花陽ちゃんのお友達なんでしょ?」

【南ことり/マハーガルダ(ホーリーネーム)】

23: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:33:19.65 ID:QjbTf5ue
-----教団施設-入り口

にこ「ええーと、ここよね……あのー、誰か…」

信者「………はい」

にこ「あのー、私…」

信者「…マスコミの方ですか」

にこ「えっ!いや、違うわよ……服装とかみりゃわかるでしょ」

信者「……………」

にこ「……………(帰りたい)……あの、私小泉花陽の友達で。遊びに来たって言うか、なんというか…(何言ってんだ私)」

信者「あの、そういうのは……」

ことり「良いじゃない?上がってもらったら?」

信者「あっ……マハーガルダ…」

ことり「花陽ちゃんのお友達なんでしょ?」

【南ことり/マハーガルダ(ホーリーネーム)】

24: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:33:51.33 ID:QjbTf5ue
にこ「えぇ…そうよ(綺麗……)」

ことり「来て」

にこ「(何か…この建物……)」

ことり「汚いでしょ?」

信者「マハーガルダ!」

ことり「ふふ……良いの、事実だよ。外の基準で見れば…いや、私たちから見たってここは汚いよ?」

信者「…………」

ことり「花陽ちゃーん、お友達来たよー?」

花陽「……!……にこちゃん……」

信者「花陽さんは修行中ですよ!?」

ことり「もう良いじゃない。もう、そんなことしても意味無いでしょ?」

信者「…………そんなことありません」

ことり「…………」

信者「………いえ」

25: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:34:45.58 ID:QjbTf5ue
にこ「花陽あんた……お母さん、心配してたわよ」

花陽「…関係ないです」

にこ「別に私も貴女に無理やり戻れとは言わないけど……お母さんは心配らしいのよね、やっぱり。自分の娘が逮捕されるかもって………あ」

ことり「良いよ別に。捕まった人がいるのは事実。本当に悪いことをしたのかは…まだわからないけど」

にこ「とにかく心配してるのよ。だから…あの、ここにしばらく居させて貰うことって可能でしょうか…」

花陽「え………」

信者「今ちょっと、そういうのは…」

ことり「良いよ。ちょうど花陽ちゃんの隣のベッドが空いてるから、そこに寝て?」

信者「マハーガルダ!!」

ことり「もう良いでしょ…別に」

信者「怒られます……」

ことり「“あの人”はもう居ない。わかるでしょ」

にこ「あの…」

ことり「あ、ごめんね。そういうわけだから。場所は花陽ちゃんに案内してもらって?」

花陽「………………」

にこ「……お願い」

26: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:35:18.91 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

海未「希……本当にこれで良かったのですか?」

希「酷に見えるん?」

海未「“あの子”にとって…これが最善とは…」

希「そうね……でもこれが最速やん?」

凛「希ちゃんがそういうなら…凛はそう信じるにゃ」

海未「……そうですね、私も同じです」

希「この後“彼女”がどう出るかは、ウチら次第や」

27: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:36:01.52 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者居住棟

にこ「(殺風景な部屋ね……ベッドがひたすら並んでる……)」

穂乃果「お!新しい子……?こんな時に珍しいね…私は高坂穂乃果。穂乃果さんとか、穂乃果ちゃんとかでいいよ!」

【高坂穂乃果-フリージャーナリスト】

にこ「あ…(あのメモ、後で渡さないと…)」

花陽「にこちゃん…本当は、何しに来たの……?」

にこ「へ……(勘付かれた!?…まさか………)」

花陽「…………………(覚えてないの?それとも“違う”のか…)」

にこ「ただ、あんたのママに言われて来ただけよ」

花陽「そう……じゃあ私、修行があるから」スタスタ

穂乃果「にこちゃんっていうんだね」

にこ「ぁ…えぇ…あっあの…実はこれを……園田海未さんから…」

穂乃果「えっ…海未ちゃん?」

にこ「えぇ…警察の…」

穂乃果「あれー、もしかしてにこちゃん、スパイ?」ニヤニヤ

にこ「そんな感じ…なのかしらね…」アハハ

穂乃果「おっ、笑った。私も気楽だし、タメ口でいいよ?」

にこ「そう……?じゃあ…うん」

28: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:37:50.73 ID:QjbTf5ue
穂乃果「ふんふん……そういう事。長官狙撃事件に花陽ちゃんがね」

にこ「(いつの間に読んだの!?幾ら何でも早く無い……?)そんな感じある?」

穂乃果「そうだねぇ………確かに何か、隠し事をしてる感じはあるよね」

にこ「もしかしたら、このベッドの裏とかに……!」

穂乃果「いやぁ.…そういうものは多分ないと思うけど……」

にこ「……そういえば、穂乃果さんってどうしてここに?信者にも見えないけど……」

穂乃果「あれ?海未ちゃんたちから聞いてない?私、ここで取材の為に体験入信してるの」

にこ「そういうの、ありなのね…海未さんたちの仲間なの?」

穂乃果「いや、どっちかっていうと希ちゃんの仲間かな?2人で海未ちゃんたち警察に協力してるって感じかも。
こういう潜入取材みたいなのって、まぁ、大抵3日くらいできつくなって辞めちゃうんだけどね。
信者さん達もそんな長いこといて欲しくは無いのが基本だし。でも私は結構いるなぁ」

にこ「……洗脳とか、されてないの?(されてるからここにいるのかしら…)」

穂乃果「多分ねぇ…でも、洗脳ってそんな自覚できるものじゃないし。特に、本物の洗脳はね?」

にこ「本物の?」

29: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:39:54.24 ID:QjbTf5ue
穂乃果「そう。例えば、自分の意思じゃないのに命令されて人を殺しちゃって…すごい後悔する…みたいのは浅い洗脳なの。自分の意思がまだあるわけだからね」

穂乃果「本物の洗脳…それは、自分の頭で1から10まで考えたつもりなのに、全部洗脳者の思い通りに動いちゃってるような状態。それが本物の、深い洗脳なの」

にこ「へぇ…怖いわね」

穂乃果「まぁ、されちゃったらされちゃったで幸せなのかもしんないけどね…とにかく、手紙はありがとう」

にこ「私…これからどうすれば良いのかしら…」

穂乃果「うーん、一応扱いとしては多分私と同じだと思うけどねぇ。とりあえず、無闇に歩き回ったりしない方が良いと思うよ。私と一緒にいたら?」

にこ「そうね…そうするわ」

穂乃果「……あ、花陽ちゃんに接触できるのは多分3時以降。寝る前の一瞬だと思うよ」

にこ「はぁっ!?そんな時間まで何してんのよ!」

穂乃果「そりゃ修行だよ。立位礼拝とか五体投地とか」

にこ「いきなり耳慣れない四字熟語をぶっ込んで来ないでよ…」

穂乃果「ごめんごめん…まぁ、それまで本でも読んでたら?」

にこ「そうね…そうするわ」

穂乃果「にこちゃんさっきもそれ言ってたね」

にこ「うっさいわよ」

穂乃果「なになに?何読むの?……えーっ!にこちゃんらしくなぁーい!インテリぶってなぁい?」

にこ「うっさいわよ!」

穂乃果「にこちゃんさっきもそれ言ってたね」

にこ「…………」ペラペラ

30: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:40:29.58 ID:QjbTf5ue
穂乃果「(希ちゃんが送り込んできた女の子…“矢澤にこ”ちゃん…か。あの人もまた面倒なことするよなぁ)」

にこ「…………」ペラペラ

穂乃果「(そして警視庁長官狙撃事件…海未ちゃんからの手紙を見ると、無下にはできないな…)」

穂乃果「(ま、私は私のやる事をするだけ…結局はそこか)」

にこ「でも、変なのよね」

にこ「私、この本買った覚えないの。いつのまにか、読んだ記憶だけあって…」

穂乃果「え?」

にこ「ある日から、突然あったの……」

31: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:41:04.42 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

ツバサ「お邪魔するわよ」バタン

海未「どなたでしょうか……。部外者の立ち入りは原則として禁止のはずですが」

希「あら、あんじゅちゃん!?……という事は、CIA…」

凛「えぇっ……!」

あんじゅ「久しぶり~大学以来かしら?」

【アンジー・ユーキング-CIA(中央情報局)-情報本部-対テロセンター-テロリズム分析室-非常勤分析官】

海未「そんな話はどこからも聞いていませんが」

英玲奈「知らないのか?在日米軍の許可さえあれば、アメリカ人は横田基地を経由して日本政府の確認を取らずにこの国に入れる。こちらの事情で、そういった手法を取らせてもらった迄だ」

【エレナ・トードロフ-CIA(中央情報局)-情報本部-対テロセンター-テロリズム分析室-常勤分析官】

凛「そんな……」

ツバサ「残念ながら貴女達は、自分の国に外国人が何人いるかすら把握出来ていないのよ……可哀想な事にね」

【ツヴァンナ・キライ-CIA(中央情報局)-情報本部-対テロセンター-テロリズム分析室-常勤分析官】

海未「そんな可哀想な国に、なんの用です?」

ツバサ「貴女方が調べている教団の一連の事件に、あるアメリカ人が関わっているの。元信者で天才科学者よ」

凛「それって…」

海未「えぇ、おそらく。しかし、私たちの調べでは彼女は信者というよりも一協力者…ホーリーネームも持っていない上に、特に何かの事件に関わったという事実も…」

希「彼女の消息は、モスクワ支部に行ったところで途絶えてるんよ」

英玲奈「モスクワ……!」

あんじゅ「その彼女って、この子で間違いない?」

凛「うん、そうだよ。名前は……」

ツバサ・凛「「マキシーヌ・ニシングストン」」

32: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:41:47.33 ID:QjbTf5ue
ツバサ「……彼女は元々こっちで、若くして理論物理学の権威としての名を欲しいままにしていたわ」

ツバサ「でも、そんなものより、彼女が本当に欲しかったのは核兵器を自由に研究できる環境……」

ツバサ「我々も相当な援助をしたはずなのだけれどね。彼女は開発するだけでなく、すぐに“使いたがって”いた」

ツバサ「米国は存分な研究環境を与えたつもりだったけど、さすがに“実戦投入する機会”なんてものはそう簡単に与えられなかったわ」

あんじゅ「それさえ叶えば彼女は国も思想も関係ない…どこの誰でも良かったはずよ」

海未「まさか、それで選んだのが……?」

英玲奈「そういう事だ。おまけに彼ら教団は強烈な反米思想も抱えている。彼女にとっては、自分の思い通りに行かない米国への意趣返しでもあったのかもしれないな」

希「そんな訳…教団の核開発はほとんど成果を上げていなかったはずなんやけどね」

凛「もう逮捕された化学班の信者も、核開発については『確かに命じられたが、出来るわけないと誰もが思っていたので気が楽だった』と証言してるにゃ…核だなんて」

ツバサ「そうなると、可能性があるとしたら教団にも隠して、彼女1人で核開発を進めていたと?」

海未「……その可能性の方なら、まだあります。教団モスクワ支部に関しては我々も未だに掴みきれていません」

希「それに、これはあくまで確信をもてない情報やけど…」

英玲奈「彼女に関してならどんなに些細な情報でも構わない。とにかく我々はあの危険人物を米国内で保護しておきたいのだ」

ツバサ「『アメリカ人科学者、テロ組織に協力。米による核の脅威、再び日本に』そんな記事が一面を飾るのは我が国の恥だわ」

33: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:42:50.77 ID:QjbTf5ue
希「……教団モスクワ支部は、ロシア政府内の反大統領分子、ルスラン・ハズブラートフ、アレクサンドル・ルツコイと繋がっている…と。
一部といえど、政府関係者の協力がもしあったのなら、核開発の環境も構築可能だったかもしれんね」

あんじゅ「93年、エリツィン大統領との訣別に端を発する“モスクワ動乱事件”の中心人物2人ね…」

英玲奈「しかし、いくらロシア政府の役人が何故日本の…こう言ってはなんだが所詮一テロリストへの協力をするんだ…?いくら反大統領派の人間だからと言って、クレムリンに核を撃とうなどという馬鹿じゃあるまい」

希「…いや、もし本当に協力があったとすればそれはやっぱり、彼らが反大統領派、つまり欧米協調路線に否定的であったことに起因すると思うんよ」

凛「現大統領エリツィンは親米的な外交路線…つまり、彼らが目指したのは欧米との更なる対立姿勢…?」

海未「……そこで鍵となるのが“彼女”ということですか?」

34: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:43:24.21 ID:QjbTf5ue
-----ロシア連邦-モスクワ市-ロシア連邦保安庁本部庁舎(ルビャンカ)-地下収容階-419番号室

海未『……そこで鍵となるのが“彼女”ということですか?』

エリ「“ということ”だそうよ?心当たりはあるの?」

マキ「盗聴とは古典的な上に趣味が悪いわね。アキバの電気街にでも行けば、あんたみたいなオタッキーが沢山そんな機材を買い込んでるわよ」

エリ「なんの事かしら。それに多分だけど、私の使ってる盗聴器はアキバには売ってないと思うわよ」

マキ「オタッキーも知らないの……?ほんと、ロシア人は流行に乗らないからダメよね。寒いからって部屋ん中に閉じこもってばっかりいるのはやめなさい」

エリ「あら、そんなに出るほどの社会でも無いわよ。この現代は。部屋の中で、パソコンでも使って社会と辛うじて接続されているくらいが丁度いいわ」

マキ「だからロシア文学は暗いのよ。鬱々、寒いったらありゃしないわ」

エリ「アメリカ文学も大概よ。サリンジャーを読んでない?」

35: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:43:59.67 ID:QjbTf5ue
マキ「“僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えたんだ。そうすれば、誰とも無益なばからしい会話をしなくてすむからね”」

エリ「正に社会不適合者の発想ね。その結果、ある者は大統領を、もしくはロックスターを、そしてある者は異国の新興宗教に核兵器を提供するってわけ?」

マキ「まぁ、そうなるかしらね。ただ、いくら教団が武装蜂起を考えるテロ集団といえど、ロシアの政治家はそうそう一般人に核開発の協力をしたりしない……それこそ“アメリカから来た天才科学者”でもいない限りね」

エリ「つまりは、ルツコイもハズブラートフも、教団ではなく貴女に期待をかけた?」

マキ「そうなるわ。結局は、こうして捕まってしまったのだけど」

36: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:44:31.80 ID:QjbTf5ue
エリ「“貴女は反エリツィン大統領派の工作員ではないと思う”そう言った私の言葉は、半分は正解だったわけね。貴女は確かに彼らに協力していた。でも、それは思想的な共鳴という面を一切含まない、単なる目的の噛み合せがついただけだった」

マキ「ロシアの連中から、教団を通して私に多大な研究費が注ぎ込まれた。私は核に携わっている時だけ私になれる。ママは核が嫌いだけど、お爺様の事は尊敬していた」

マキ「お爺様のように立派な核兵器を作れば、お爺様のようになれば、いくら核が嫌いなママも私を褒めてくれる。核が嫌いでも、私の努力は認めてくれるはず」

マキ「私の好きな事と、ママに好かれる事が両立できる。だから私は核が好きなの」

エリ「……反大統領派は、貴女に、教団に核を持たせてどうするつもりだったの?」

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

37: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:45:26.32 ID:QjbTf5ue
ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ツバサ「教団の最終的な目標である日本転覆……一見荒唐無稽なそれも、ロシア政府という大国の援助、そしてマキーヌ・ニシングストンという核開発者さえあれば見えないビジョンではない…?」

希「それに彼らの反米思想。現日本政府亡き後、反米親露国家がここに誕生することはロシアにとって願ってもない話」

あんじゅ「すぐにロシアの属国化するだけのような気もするけど…」

海未「それこそ反大統領派の狙いでしょう。彼らは教団に日本を転覆させ、とある反米国家に転換させようとした…」


ーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

38: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:45:50.91 ID:QjbTf5ue
ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーー


エリ「しかし、彼らは逮捕され、その計画は頓挫した……反大統領派も、手を引いたはず。では、計画の鍵となるはずだった“核兵器”。貴女はそれを……まだ?」

マキ「完成してなきゃ、こんなとこに居ないわ」

エリ「けれど貴女の逮捕はロシア国内におけるテロ援助活動の容疑よ……?民間での危険物製造じゃ無いわ」

エリ「まぁ、“核”なんて危険物どころのものではないけれど…そんな物が開発された事実は、聞いていない」

マキ「違うわ」

マキ「未完成なら、今すぐにでも完成させにいくということよ」

39: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:46:19.79 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

海未「では問題は、果たしてマキシーヌ・ニシングストンが核兵器を完成させたのか、否かということになります」

ツバサ「その為には、まず彼女の消息を辿らなければならないわね」

希「ロシア……か」

-----ロシア連邦-モスクワ市-ロシア連邦保安庁本部庁舎(ルビャンカ)-地下収容階-419番号室

希『ロシア……か』

エリ「ほら、日米も貴女の事を探し出したわ。大人気ね、本当」

マキ「私、日本に行きたいんだけど」

エリ「……どうして?(これ以上問題をややこしくしたくはないのだけど……)」

マキ「見たいじゃない、自分の核が発射されるの」

エリ「…………!そう、やはり日本にあるのね」

マキ「えぇそうよ。ここで作って、向こうに送った。着いたのは95年のそう…3月の初めだったかしら?」

エリ「……(良く送れたわね…流石は“アフガニスタン戦争の英雄”、アレクサンドル・ルツコイの全面協力。核兵器の一つや二つ、送り放題ってわけ?)」

エリ「そうなると、日米の協力があった方が楽か…(ロシア政府内に敵対分子がいる以上、大っぴらな支援は必ずどこかで手が回って潰される…)」

エリ「……待ってなさい。きっともうすぐ日本に行けるわよ」

マキ「私、枕が変わると寝られないのよ」

エリ「貴女はその拘束ベッドのまま行くの」

マキ「ほんと、スイートルームのVIP待遇ね。日本旅行もエグゼクティブシートかしら」

エリ「私はね。貴女は貨物室で見晴らし最高」

マキ「ヴぇえ」

40: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:46:51.34 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者居住棟-午前3:21

にこ「……っ!(完全に寝ちゃってた……花陽は!?)」

花陽「………」スーッ スーッ

にこ「寝て……そりゃそうか」チラッ

穂乃果「……」スーッ スーッ

にこ「………私も寝よう」

??「ねぇねぇ」

にこ「……誰?影で見えない」

ことり「私」

にこ「……ことりさん、だったかしら…あ、それともマホ…マハ…なんとか?」

ことり「ことり、呼び捨てでいいよ。敬語も平気。そっちの名前…ホーリーネームっていうんだけど…あんまり気に入ってないの」

ことり「ちょっとお話しよう?…私、外の話が聞きたいの」

にこ「…まぁ、良いわよ。私が色々教えてあげるわ」

ことり「やった!じゃあ、ついてきて?」スタスタ

スタスタ バタン

41: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:47:17.99 ID:QjbTf5ue
花陽「…………」

穂乃果「…………」

穂乃果「いや、にこちゃん引きこもりじゃん!!」

花陽「…ピャァ!!何ですか穂乃果さんいきなり!」

穂乃果「あ…ごめん、だってにこちゃん引きこもってたのに、ことりちゃんに“外の世界の事を”教えてあげるとか言うから…….」

花陽「マハーガルダ、ですよ」

穂乃果「まだ、そう呼びたい?」

花陽「……はい、すいません」

穂乃果「ううん、仕方ないよ。私は希ちゃんみたいにプロじゃないしね」

花陽「それより、どうして私に“寝たフリをしろ”なんて?」

穂乃果「……にこちゃんについて、話を聞きたいの」

花陽「“にこちゃん”の話ですか?」

穂乃果「うん」

穂乃果「海未ちゃんからの手紙によると、あの子は……」

42: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:47:42.53 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-廊下

にこ「良いの?何か…私、ほかの信者の人とかにはちょっと嫌な顔されてたし…ことり、偉い人なんでしょ?」

ことり「そうだね…気づいた?ほかの信者さんはね、私に触れようとしないの、触れられないの」

にこ「え…?(私は思い出す。確かに、入口であった信者は、ことりから少し距離をとって、触れないようにしていた。)」

ことり「“あの人”がね、私を…マハーガルダ、“偉大な神鳥”だとか言ってね。
このガルダっていうのは火の鳥なんだけど…一般の信者も、幹部さえも触ったら燃え死んじゃうっていうの」

にこ「は…?(萌え死ぬならわかるわね)」

ことり「馬鹿な話でしょ?結局、自分以外の人間に取られたくないだけなの。子供みたいな嫉妬心」

にこ「そんな話を…皆信じてるって言うの?てか、貴女は…あの、逮捕されたあいつの、恋人?か何かってこと?」

ことり「うーん、まぁ、愛人?が1番近いかな」

にこ「愛人って…貴女いくつよ…え、もしかして花陽とかも?」

ことり「17。花陽ちゃんは違うよ。髪短いから」

にこ「(私より年下じゃない…)っていうか、じゃあ結構な地位なのよね?信者の人も敬語だったし。じゃあなんでそんな…」

ことり「全然教団に染まってる感がないかって?」

にこ「そう…そう」

ことり「じゃあ、その話はこの中でしようか」

ギィィィ バタン

43: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:48:10.35 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

プルルルルルルル プルルルルルルル

凛「はい南千住署特捜部。え?あ、はい。海未ちゃん」

海未「はい…園田です。はい、え!?いや、しかし……」チラッ

ツバサ「?…(私たちのことは言わないでね)」ブンブン

海未「わかりました…通訳を?……えぇ、はい。そうですね…わかりました」

希「なんなん?」

海未「ロシア連邦保安庁…FSBから捜査員が来るそうです」

「「「!?!?!?」」」

44: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:48:43.07 ID:QjbTf5ue
凛「何しに来るの?」

海未「向こうの、教団モスクワ支部の担当していた調査員で…こちらには“何か”を探しに来るそうです」

英玲奈「君たちはそれに協力を?」

海未「そうなるでしょうね」

ツバサ「何か…まさか、ニシングストンの開発した…?」

あんじゅ「もしそうなら、彼女の身柄はFSBが確保しているということね」

ツバサ「到着し次第確認必須よ。FSBは彼女を抑えているのか、核を開発済みなのか、ロシア政府はどこまで教団と関係しているのか」

凛「でも待って、長官狙撃事件はどうなるの?」

英玲奈「そちらは君らで勝手に調べれば良いだろう。無論、それで我々への協力に支障があるようなら困るが」

海未「…仕方ありません。“核”が出てきては、どうしても優先度が…」

凛「わかってるけど…」

希「もしかしたら、二つの事件は繋がってるかもしれんよ?長官狙撃事件に教団が関わった可能性はまだ十分にある。断言はできんけどね?」

45: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:49:09.77 ID:QjbTf5ue
ーーーーー教団施設内-ことりの部屋

にこ「ここ…ことりの部屋なの?(こんな、独房みたいな…)」

ことり「そう。寂しい部屋でしょ」

にこ「私の部屋も、似たようなもんよ。ものに溢れてるだけで、本質は何も変わらない、虚ろな部屋」

ことり「ふふ、にこちゃんも、“今どきの若者”なんだね」

にこ「何よ…それ」

ことり「ううん、ちょっと思い出しただけ…それで、私が“信者らしくない”理由だっけ?」

にこ「そう、どうして?」

ことり「話せば単純だよ?“もっと信じてるものがある”それだけ」

にこ「何なのよ、それは」

ことり「秘密」

にこ「わざわざ自分の部屋に呼んどいて!?」

ことり「本当は私、にこちゃんの話が聞きたかったの。にこちゃんはどんな人?何者?」

にこ「私は……」

にこ「(とてもたくさんのことを話した。同世代の女の子と、こんなに話したのは久しぶりで……私はなんだかとても嬉しくて、自分でも驚くほどだった)」

にこ「(昔はアイドルだけに夢中で、でも最近はアニメ、特にエヴァってアニメがあって、それが大好きなこと。最近本を読み出したこと)」

46: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:49:40.66 ID:QjbTf5ue
にこ「(それに花陽のこと。そして家族のこと。最後に、辛いこと、苦しいこと。自分が部屋から出たくなかったこと、社会が、他人が、怖くて嫌いなこと。)」

にこ「(少し息をついた時、何故か泣きそうになっていて、気づいたら私はことりに抱きしめられていた)」

ことり「にこちゃんの話、とても楽しかったよ」

にこ「……ありがとう」

ことり「にこちゃんは、どうして社会が怖いの?」

にこ「選択肢が、いっぱい有りすぎるからよ。どれが正解なのか、わからないからよ」

ことり「にこちゃんには、このセカイ中の何もかもが、インチキに見えるのかもしれないね」

にこ「ことりは……」

ことり「自分自身のことでさえ、本当の自分かわからないんだね」

にこ「ことりは、何か違うわ。貴女に何を話したら怒られるかもしれないとか…嘘の態度をとってたりとか……全然そんな気がしない…ことりは、苦しくないの?」

ことり「私は辞めたの」

にこ「え?」

ことり「本物とか、嘘とか、全部どうでもいいんだって思ったの。特別な自分とか、特別な存在とかじゃなくて、ただ、終わりなき日常を消費していけば、それでいいかなって」

にこ「………それは、嘘?本当?………それは、辛くないの?」

ことり「ことりは今、毎日楽しいよ」

47: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:50:10.31 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者居住棟

花陽「……穂乃果さんって、もしかしてマハーガルダの事を知ってるんですか?」

穂乃果「え?そりゃ知ってるよ。私だって長い間ここで取材入信してる訳で…」

花陽「そうではなくて、ここに来る前の。つまり………………その、あの“南ことり”でしかなかった頃の、彼女を」

穂乃果「……どうして?」

花陽「いえ……」

穂乃果「うん、知ってるよ」

花陽「………!」

穂乃果「私があの子にあったのは、何年か前……地元の名門女子校の制服を来て渋谷を歩く彼女は、間違いなく世界で1番綺麗だった」

穂乃果「皆が彼女を見てたよ。男も女も。仕事中の人間も、車を運転中の人までね」

花陽「マハーガルダは、そこで何を?」

穂乃果「私はその頃、援助交際をする女の子を取材してた」

花陽「……!!」

穂乃果「別に、お金に困ってたとか、病んでたとか、そういうわけじゃなくてね。ただ、こう言ってたの………」

48: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:50:38.90 ID:QjbTf5ue
ことり『ノストラダムスの大予言?セカイの終わり?終末、オカルト。そういうの、くだらないなって 』

ことり『くだらないっていうか…もちろん、私も、このセカイを良いものだとは思ってないよ?色々考えるのとかもめんどくさいよね。』

ことり『でも、退屈な日常に終止符を打つ“セカイの終わり”なんて、来ないもの』

ことり『だったら私、友達とカラオケに行きたい。チョットだけ高い、キレイな服が買いたい。その為にカワイソーなおっさんと遊んであげるくらい、別にいいでしょ』

花陽「でも…そしたらどうして彼女は、教団に?」

穂乃果「それがね…わからないの。でも、私、間違ってたんじゃないかなって」

花陽「間違ってたいた?」

穂乃果「うん。ことりちゃんみたいな子はその時も、今もたくさんいて。私は彼女たちの気持ちをわかったつもりだったんだ」

穂乃果「私、彼女たちをニュータイプなんだって思ったの。世間の言うこと……『女の子たちは本当は傷ついてる、周りの大人達が悪い、彼女達を救え』なんて、馬鹿馬鹿しいってね」

穂乃果「“この子たちは、新しい価値観の、来る21世紀の世界をこれから生きる価値観を持っているんだ。
彼女たちは傷つかない。彼女たちは、“終わりなき日常”を、受け入れることが出来た人間なんだ”…私は、そう主張した」

花陽「それが…間違っていたと?」

穂乃果「彼女が…ここに来てしまったって事は、そうなんじゃないかなってね」

49: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:51:13.66 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-取調室前

ツバサ「どう?」

希「うーん、教団の核開発と長官狙撃事件の間に関連性は無さそうやなぁ」

ツバサ「そうでしょうね。良いから、早くこっちの捜査に協力して欲しいんだけど」

希「気持ち的にはそうもいかんよ。日本警察にとっては長官狙撃なんてあってはならん事…核兵器なんて現実感も無いし、どうしても…ね?」

ツバサ「……おめでたい民族ね」

希「CIAが言えることやないやろ?」

ツバサ「ふ……うちの国のせい?」

希「順応してしまったのは、ウチらやけどね……お?終わった?」

海未「……“ファースト”は『核なんて知らない』と」

ツバサ「“ファースト”?」

希「今海未ちゃんが聞き込みしてた容疑者くんは自分のことをそう名乗ってるんよ。本名だと返事もしてくれないし、ウチらもそう呼んでるんよ」

ツバサ「由来は何なの?」

凛「……綾波レイ。ふざけてるにゃ」

希「日本のアニメのキャラクターなんよ。随分なファンらしくてね」

ツバサ「ふぅん……ま、とにかく長官狙撃が教団の仕業であるにしてもないにしても、核開発との関係は無さそうね」

海未「……そうですね。嘘を言っているようには見えませんでした。私は彼が警官だった頃から知っていますが……」

ツバサ「警官が警察庁長官の暗殺未遂?笑えないわね…」

50: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:51:50.46 ID:QjbTf5ue
エレナ「(その話なら2ヶ月前…6月に日本警察公安部の防諜記録にあったな…
難航していた狙撃事件、完全に教団の仕業と断定していたのにもかかわらず、複数の容疑者の中からまさかの現役警察官が、絶対にそうであって欲しくなかった容疑者から自供…その事実は隠蔽だったか)

ツバサ「まぁさっきも言ったけど、私達も長官狙撃事件の捜査をやめろとは言わないわ。ただ、私たちの協力要請には従ってもらう。それで良い?」

海未「……えぇ」

希「まぁ、しゃあないわな」

凛「……………………」

51: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:52:19.03 ID:QjbTf5ue
-----ロシア連邦-首都モスクワ-シェレメチェボ国際空港-ターミナルC-特待遊間室

マキ「…ねぇ、私ほんとに貨物室じゃないわよね」

エリ「私、こう見えても人権派だからね」

マキ「そうは見えないけど…ひとまず安心したわ。普通の席なのよね?」

エリ「いいえ、特等席。私の隣」

マキ「貨物室の方がマシかしら。この拘束具はとってくれるのよね?手錠くらいにしとかないと、他の客が訝るわよ?」

エリ「残念。今回のフライトは“私たちの関係者以外乗らない”のよ」

エリ「同じ便に乗るのは私と同じく大統領直属の工作員であったり、何らかの形で協力関係にある人達」

エリ「彼らは日本に着いたら、それぞれ自分に与えられた役割……家族旅行であったり、出張するビジネスマンであったりをこなして、バラバラにロシアに、もしくはそのまま別の国へ飛ぶわ」

マキ「私一人の送迎に、随分なものね。ということは、飛行機の中でも……?」

エリ「拘束具。もちろん」

マキ「イミワカンナイ」

52: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:52:58.98 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-ことりの部屋

にこ「(私とことりはしばらく沈黙した。暁だ。空が白んでいる。私は少しセンチメンタルな気持ちになって…)」

にこ「っわっ!……何よ…どうして抱きついてるの…….」

ことり「あはは。やっぱり燃えたりしない」

にこ「……当たり前でしょ。あんたはマハーガルダなんかじゃない。あんたはただの……南ことりなんでしょ」

ことり「……そうだね」

にこ「(ことりに抱きしめられるまま、私の瞼はすっと落ちた)」

にこ「………………」

ことり「…………………………!」

53: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:53:31.89 ID:QjbTf5ue
-----千葉-成田市-三里塚地区-成田国際空港-第1ターミナル直結駐車場

エリ「これね。日本政府が用意した車ってのは。さて…えぇ。その大きな荷物が“アレ”よ。慎重に乗せてね……はい、はい。ありがとう」

エリ「……(平和な国。でも、いつ来ても窮屈な国ね。空が低いわ)」

エリ「(国のどこかに、核があるとも知らずに……“知らぬが仏”ってやつかしら)」

54: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:54:21.86 ID:QjbTf5ue
-----1時間後-東京-八潮PA-バン車内

エリ「さて………開けてあげましょうか……一旦食事の時間よ」ガチャガチャ

マキ「ふぅ……暑かったわ。こん中。最悪。全く、何の罰ゲームよ。私、いつの間になんのゲームに?」

エリ「……そもそも、人生はゲームよ。きちんとルールがあって、そこから外れれば罰せられるし、守れば楽しく、時に最上の幸福が得られる」

マキ「冗談じゃないわ。どうして私がそんなものに参加しなくちゃならないの?」

マキ「私は私で、“好きなこと見つけて、そればっかりやってて、何が悪いんだよ”」

マキ「“みんな”何か嫌いよ。私は、核さえいじれればそれでいいの。社会になんて出たくない。他人なんて嫌い」

エリ「けれど、ゲームに参加しなければ、生きていけないわ」

マキ「嫌よ、絶対嫌。私はそのゲームに参加することを“拒絶”するわ」

エリ「“碇シンジ”ね」

マキ「…なんだ、多少流行も知ってるじゃない。それに、私以外にも、今の時代こんな若者ばかりよ。特にこの日本ではね」

エリ「そう……それであんな教団が生まれるのね」

55: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:55:10.71 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-ことりの部屋

ことり「にこちゃん…にこちゃん!」

にこ「……!!っぁ……ん……?」

ことり「……気づいた?さっきにこちゃん、ちょっと変で……」

にこ「……?寝ぼけてたのかしら……」

ことり「……もう朝。サマナ(信者)達が朝ごはんを運んできてくれる。にこちゃんは早く帰った方が良い」

にこ「そう……わかった、じゃあね。」

ことり「うん。花陽ちゃんや、穂乃果さんによろしく」

ギィィィ バタン

にこ「……?何で穂乃果さん?仲良いのかしら……」

にこ「(ちょっと不安ね……ちゃんと元の部屋戻れるかしら……)」スタスタ

信者「…………………………………」

にこ「……!!あ、あの、おはようございます」

信者「……………………朝、早いですね」

にこ「……目が早く覚めてね。まだ、ここの事あまり知らないから」

信者「……………………」ペコリ スタスタ

にこ「えぇ……(聞いといてそれ……?)」

にこ「それにしても眠いわね……一睡もしてないみたい……」

56: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:55:38.02 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

希「貴女が……」

エリ「どーも、FSB(ロシア連邦保安庁)のエリーナ・アヤシェニコフよ。成田空港っていい所ね……私、八つ橋とかいうの買っちゃったわよ」

海未「八つ橋は京都のお土産ですよ」

エリ「でしょうね。パッケージこんなだもの」

希「日本には、どういう用事で?そして何故うちに?」

エリ「“ここに来る”って事は決まってるでしょ……私、向こうでは教団モスクワ支部の調査をしてたのよ。そして、ここにはあるものを探しに来た……と、その前に。そこのアメリカ人は何?」

凛「CIAの方々にゃ」

英玲奈「おい……」

57: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:56:04.86 ID:QjbTf5ue
凛「本当の目的は置いといて、CIAが動いたことはあくまで公的に。その事実くらい、ロシアには伝わってると思うけどにゃ」

エリ「ま、そうね。そこはお互い様よ(日本には盗聴器まで仕込んでるんだけどね……)」

ツバサ「本人でもないのに勝手に紹介するのが無礼……そう言ってるんだけど?」

凛「そーですか」

海未「すみません、凛…彼女ですが、ちょっと彼らと反りが」

エリ「“犬猿の仲”ってヤツね」

あんじゅ「(どっちかっていうと、猫と鳥って感じがするわね)」

希「それで……一体何を探して?」

エリ「そ、それよ。まず見せたいものがあるの…地下駐車場、私の乗ってきたバンまで来てもらうわ」

海未「窓から見えました……あれ、覆面護送車ですね?」

エリ「そうよ。さっきの言葉を正確に直すと“会わせたい人”がいるの」

58: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:57:03.58 ID:QjbTf5ue
-----教団施設-作業場

花陽「にこちゃん」

にこ「あ……花陽」

花陽「にこちゃんは、本当はここに、何しに来たの?」

にこ「だから言ったじゃない…あんたのお母さんに頼まれたのよ。連れ戻してくれって。それは無理でも、あんたが危ない目に会わないよう見張っててくれって」

花陽「……それだけ?」

にこ「………………そうよ」

花陽「“にこちゃん”」

にこ「な、なによ」

花陽「“違う”んだね?」

にこ「ぇ……………」

59: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:57:33.16 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-地下駐車場-覆面護送車(大型バンタイプ)内

ツバサ「……!!!!!」

英玲奈「っ…お前!!」

あんじゅ「嘘……ほんとに?」

マキ「……………………………………」

エリ「貴女方アメリカ人は、こいつを探しに来たんじゃないの?」

海未「マキシーヌ・ニシングストン……」

凛「こいつがっ……」

希「こりゃあ…色々聞かんとな………」

ツバサ「そもそも…こいつは結局ロシアに居たのね…」

60: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:58:00.61 ID:QjbTf5ue
エリ「コストロマって田舎に潜伏していたわ…1人でね」

海未「どういう容疑で逮捕したんです?」

エリ「最初は単なる事情聴取よ。教団モスクワ支部には本部の予想を超えた信者がいたし、教祖奪還を計画する一派もいる。日本本部の事件に影響されて何かを実行に移す可能性もあるわ」

エリ「もしそうなら、彼女の頭脳は必要になるはず。一応、身柄は抑えておこうかとね」

ツバサ「………それだけかしら」

エリ「………………それだけよ」

ツバサ「………いや、」

海未「それでは何故、日本に?」

マキ「私が頼んだのよ」

エリ「!!貴女……口輪なら嵌めたはずだと思ったけど?」

マキ「あんな旧型、喋れる程度には動かせるわよ」

エリ「…………」

61: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:58:57.62 ID:QjbTf5ue
ツバサ「マキシーヌ・ニシングストン。まず貴女は…誰に命じられて核を?」

マキ「あぁ…まぁそれくらいはわかってるのね…?っていうか、別に誰の命令でもないわよ。私が作りたいから作ったのよ」

ツバサ「噂通りね……血は争えないって事?」

海未「では私からも質問を。貴女は去年、1995年3月30日に発生した警察庁長官狙撃事件を知っていますか?」

マキ「知らないわね」

海未「貴女はそれに、何か関係が?」

マキ「知らないって言ったと思うけど?」

海未「いえ…貴女は知っているはずです」

凛「海未ちゃん、何を根拠に……?」

62: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:59:13.91 ID:QjbTf5ue
海未「彼女は自分の核を完成させ、それが使われることが目的ですよね」

希「そうやね。彼女はその為に教団に入り、より研究のしやすいモスクワ支部へ向かった」

海未「しかし実行はされなかった…日本の本部が95年に地下鉄テロを起こしたおかげで、モスクワ支部はテロ発生3日後に活動禁止令を出され、国の監視下に置かれることになった」

海未「貴女は消息をくらませた…貴女の最終的な目的はあくまで核を使うこと…教団モスクワ支部はもう用済みだったはずです」

凛「それで、日本に来たってことは……」

海未「日本に核兵器を使う候補者がいたということになります……違いますか?」

マキ「ふふ……どうかしらね」

63: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 22:59:45.21 ID:QjbTf5ue
エリ「その解釈、間違っていないと思うわ。しかし、日本にそんな団体が?」

希「日本にいる過激団体は公安調査庁等によって常時監視・調査されとるんよ?今、この国の組織に核が渡っているとすれば、実態が把握しきれていない、つまり調査中の団体・捜査中の犯行グループ…」

ツバサ「教団……?」

凛「もしくは、長官狙撃事件の犯行グループだにゃ」

海未「………“セカンド”の事情聴取を行います」

英玲奈「ツバサ、私たちは教団の核保有を視野に入れて準備を始めよう…それにしても“ファースト”の次は“セカンド”か。そいつも、狙撃事件の容疑者か?」

希「そそ。ウチの留置所にいるんよ。犯行に使われた拳銃は、この“セカンド”のものだった可能性が高い…つい一昨日逮捕された子なんよね」

海未「やりにくいですよ。私は苦手です」

64: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:00:13.10 ID:QjbTf5ue
-----教団施設-作業場

花陽「“95年オフ”の事を、覚えてないの?」

にこ「“95年オフ”?あぁ……それなら覚えてるわよ?ネットで偶然同じような名前のメンバーがいて…趣味も共通してたから秋葉原でオフやったのよね?95年の…正月だったかしら。ってか、あの時あんたもう教団入ってたのよね?そんな事してて良かったの?」

花陽「あの時は秋葉原の電気街で教団の出してるパソコン屋で働いてたし……あの頃、教団に居ること自体に結構迷ってたから」

にこ「へぇ……“フォース”よね?花陽のハンドルネームは」

花陽「うん、それでにこちゃんは“サード”」

にこ「シンジと同じよ……?良いわよね…あんたはトウジか…」

花陽「誰それ」

にこ「エヴァよ。こっから出たら、あんたにも見せてあげるわ」

65: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:00:55.11 ID:QjbTf5ue
にこ「そういえば“セカンド”とはこないだ会ったわよ?」

花陽「えっ………!」

にこ「何話したかは半分くらいしか覚えてないんだけど……ていうか、“95年オフ”の時の記憶も半分くらいしかないわ………最近よく忘れちゃうのよ」

花陽「…………どうしたら」

にこ「あ」

花陽「……………!」

にこ「………………………」

???「…………………久しぶり、花陽。いえ“フォース”」

花陽「“フィフス”……!」

66: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:01:35.41 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-取調室

海未「さて…今月6日、貴女は矢澤にこ…ハンドルネーム“サード”と会いましたね。先日の貴女の証言、まだ全てを語っていないはずです……貴女は一体、彼女と何を話したんですか?……“セカンド”」

セカンド「こないだ話したこと以外には、何もだよ。“95年オフ”ぶりに会おうって言ってあったのに、全然集まらなくてね」

海未「当然でしょう。貴女は“フォース”と“ファースト”がどうなっているか知らないのですか?」

セカンド「知らないね。そもそも私達は95年に一度オフ会をしただけの関係だよ?あのコミュが残ってたこと自体驚きだし、また集まろうなんて“サード”が言うまで思いもしなかったよ」

セカンド「ただまぁあいつ、割にアニメ語れるし、エヴァも相当深く観てたからな。楽しかったよ」

凛「それだけ?」

セカンド「そうだよ」

海未「では次の質問を……“ファースト”も貴女も、1度も言及していないコミュニティのメンバー……“フィフス”とは誰なんですか?」

67: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:03:02.04 ID:QjbTf5ue
セカンド「………………」

凛「凛たち警察も“フィフス”については何もわからない……
しかし、ログには残っている。それどころか“95年オフ”を開催したのは“フィフス”にゃ。貴女が知らないはずがないにゃ!」

海未「“95年オフ”に参加したメンバーのうち、貴女も含め2人が長官狙撃事件へ関与している…

おまけににそのうちの1人、“ファースト”と、逮捕こそされていませんが“フォース”小泉花陽は警察に敵対する教団のメンバー…
“95年オフ”は事件となんらかの関わりがあったと考えるのが自然です」

凛「それと“サード”矢澤にも…彼女は今“フォース”と接触させて何かボロを出すのを待っているのだけど…特に報告はない…もしかして、にこちゃんだけは…?」

セカンド「公安部お得意のやり方か。疑われてる者同士を接触させ、決定的な言動をするのを第三者に見張らせる…」

海未「詳しいですね…まずは敵のことを、という事ですか」

セカンド「が、“サード”矢澤にこは関係ない。そもそもあいつは“95年オフ”の時だって“フォース”に半ば強引に外に連れ出されてたんだ」

凛「じゃあにこちゃんについてはもういいよ…“フィフス”」

セカンド「“フィフス”は……カヲルくんだよ」

海未「真面目に答えない気ですか……!」

セカンド「大真面目だよ。“サードチルドレン”碇シンジの唯一の癒し、渚カヲル。彼が“フィフスチルドレン”当然だろ?」

凛「だったら貴女は“セカンド”だから………えーと、なんだっけ名前…アスカ?」

セカンド「ま、そうなるかな」

68: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:03:31.75 ID:QjbTf5ue
-----南千住警察署-特別捜査本部-地下駐車場-覆面護送車(大型バンタイプ)内

ツバサ「…反大統領派との関係は?」

エリ「……………!」

マキ「もう無いわ。この国に核を送ったのは地下鉄テロの前だからルツコイやハズブラートフの協力を受けられたけど、もう無い」

英玲奈「やはり以前はあったんだな…やはりロシアは教団を使って日本転覆を…」

エリ「ちょっと、ロシア政府全体は関係ないじゃない。反大統領派の跳ねっ返りだけの話よ」

エリ「地下鉄テロの発覚以降、反大統領派がモスクワ支部設立等教団の活動も明るみに。記録的なテロ団体の支援という新たな傷を作った彼らは以前以上に勢力を弱めているわ」

エリ「大統領は親欧米路線を進めているのよ?テロ団体の日本転覆を支援、親露反米国家に再構築…なんて有り得ないわ」

69: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:03:57.51 ID:QjbTf5ue
ツバサ「杞憂だったわね…“3度目の冷戦”どころじゃないかと思ったわよ」

あんじゅ「二度とごめんよ。核を構えた睨み合いなんて」

マキ「私は大歓迎だけどね」

ツバサ「……………」

英玲奈「……………」

あんじゅ「……………」

エリ「……………」ボカッ

マキ「痛い」ヒリヒリ

70: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:05:20.36 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者居住棟

にこ「(ここは不思議な場所だ。何も楽しくないのに、時間だけは早く過ぎていく)」

穂乃果「あ、にこちゃん」

にこ「穂乃果……貴女、ことりのこと何か知ってる?」

穂乃果「ことりちゃん?そうだなぁ……何か、いつも寂しそうだよね」

にこ「寂しそう…」

穂乃果「……早く、救ってあげないと」ボソッ

にこ「え?」

穂乃果「何でも……そろそろ寝る?」

にこ「そうね…疲れたわ。ここはいるだけで疲れるの」

穂乃果「自分の部屋と、どっちが?」

にこ「え………」

71: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:05:48.35 ID:QjbTf5ue
穂乃果「昔、知り合いの女の子に聞いたの。何もしないで部屋にいることは、何かを一生懸命することと同じくらい疲れるんだって」

穂乃果「何かしなきゃ、外に出なきゃっていう強迫感と、怖い、嫌だっていう拒絶が一緒に来て、辛くて仕方ないって」

にこ「……自業自得じゃない。そんなの」

穂乃果「そうだね……でも、」

にこ「“逃げちゃダメ”なの。それはきっと誰かに迷惑をかけることだから」

穂乃果「本当に?本当に…」

にこ「おやすみ」

穂乃果「……うん、おやすみ」

穂乃果「(怖くなったのか。私は、決意を固めた女の子がトラウマになっちゃったんだ。後になって“あぁ、私は救えてなかったのか…”って。思いたくないんだ)」

にこ「……………………」

ことり「……………にこちゃん」テマネキ

にこ「………!」

72: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:06:13.62 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-ことりの部屋

ことり「今日はどんな一日だった?」

にこ「あんたのとこの信者達に散々ビデオを見せられたわよ……それだけなのに大分疲れたわ」

ことり「そう……何か学べた?」

にこ「くだらないわね」

ことり「きっついなぁ…….私たち、これでも人生かけてたのに」

にこ「あんたもそうなの?」

ことり「そうは見えない?」

にこ「えぇ。あんたにはまた“別の目的”がある気がするわ。だってことり、あんたは“セカイの終わり”を信じていないんだもの」

ことり「そうだね……その意味では私は……うん。にこちゃん……」

にこ「何よ」

ことり「“セカイ”とは?そして“セカイの終わり”って、なんだと思う?」

にこ「え…」

73: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:06:48.82 ID:QjbTf5ue
ことり「“あの人”は、この世界が終わるって言ったの。本気でそう思ってたかはわからない。多分、終わらなかったら終わらなかったで“私が防いだんだ”って言うつもりだったんだと思う」

にこ「そんな行き当たりばったりな……」

ことり「そういう人なの。可哀想でしょ?自分のついた嘘に追い詰められて、信者からは更に嘘を求められて。教祖ってね、与えてばかりなの。誰も、何もくれないの。だから私、テレビであの人を見た時可哀想で……それで、ここに来たの」

にこ「それで…ねぇ、“セカイの終わり”?」

ことり「ぁ…そう。それそれ」

にこ「普通に、人類滅亡とか?隕石とかで……」

ことり「それは“世界”でしょ?“セカイ”じゃない」

にこ「どう違うのよ、それ」

74: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:07:24.76 ID:QjbTf5ue
ことり「例えばにこちゃんは、どうしようもなく人生が辛くて、何もかも終わりな気分になることはない?」

にこ「……そりゃ、あるわよ」

ことり「でも、終わらないよね。その、にこちゃんの周囲だけで完結するような絶望で、全ては終わらない、初めから決まっていた事象のようににこちゃんの絶望は実行され、また全てが続きを産むことを止めない」

にこ「…まぁ、そうね」

ことり「今の世の中には、そんな“セカイ”の終わりが…自分の悩み、苦しみがそのまま全ての終末に繋がるような“セカイの終わりだ”平気でそんなことを思えるような、脆弱でつまんない人間が増えてるの」

ことり「ごめんね、酷いこと言っちゃって。きっとにこちゃんの世代は…っていうか私もそうなんだけど、最初からそうだから、わからないと思うけど」

にこ「…ことりの言ってること、なんとなくはわかるわ。それで?“セカイの終わり”って何なの?」

75: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:08:15.60 ID:QjbTf5ue
ことり「そんな“セカイ”が誕生してしまうのは自己愛のせいなんだよ。自分が愛しいから、他の人に愛してもらえるから、自分が特別のように感じて、自分の否定が全ての否定と直結する」

ことり「“アイなきセカイ”それが、終わった後の世界、“セカイの終わり”だよ」

にこ「“愛”が消えれば“I”が死んでしまう…“I(自己)”のみでなりたつ“セカイ”は終わる…….」

ことり「そういうこと。案外簡単でしょ?」

にこ「……もしかして、ここに来たのも、“あいつ”を助けようと思ったの?」

76: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:08:44.14 ID:QjbTf5ue
ことり「そう。テレビに出たあの人はとても寂しそうだった。実際のあの人は沢山の信者を愛人として囲っていたけど、それは一方的に求められているだけだった。誰もあの人自身を愛してあげようと思う人はいなかった」

ことり「だから、あの人の“セカイ”は終わりそうになっていた。それが怖くて、“世界”を破壊しようとした……私はそれを、とめられなかったな」

にこ「あんたはどうなの?」

ことり「え……」

にこ「あんたは、あいつに何かを与えようと思ってきたんでしょ?」

にこ「それで、この教団で女性の中ではトップに立ったのよね?あいつに1番愛されたんだから」

ことり「………………」

にこ「じゃあ、あんたもあいつと同じじゃない。あんたも、与えてばかりの人間なんでしょ?あんたには一体……誰が何をくれるっていうの?」

77: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:09:19.35 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者居住棟

花陽「穂乃果さん、あの…起きてます?」

穂乃果「うん」

花陽「こないだの…“南ことり”という人の話を、聞いても良いですか?」

穂乃果「………良いよ。どこまで話したっけ」

花陽「彼女が教団に入ったってことは、本当はどこかで救いを求めてたんじゃないか、援交少女であったことは、決して心から望んだ選択じゃなかったっじゃないかって」

穂乃果「そう………そうだったね。あの頃援交してた子たちの中には、彼氏に無理矢理させられてる子もいたし、同じくらい、寂しい、不安だからやってるって子もいた」

花陽「“不安”……それは私たちが教団に入る理由も同じです。生きていくのが不安で、自分は特別じゃないから、誰かに愛されていないんじゃないかって。特別な存在になりたいって」

穂乃果「うん。でも、教団に入ったからって、それが満たされるとは限らない。援交も同じ」

花陽「援助交際のことはわからないですけど…教団に入ったことで、私は救われました」

穂乃果「そうかもね。でも、そうなるにはことりは魅力的過ぎた」

花陽「……!」

78: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:10:08.34 ID:QjbTf5ue
穂乃果「ごめんね、花陽ちゃんやほかの信者さん達が魅力的じゃ無いってことじゃなくって。でも、わかるでしょ?」

花陽「……あの透き通った容姿、甘く豊かな声。あの人は、理想といっても言葉が足りない」

穂乃果「そう。だから、あの子は求められるばかりなの。援助してくれる人って、大抵は自分のことを女の子より上の立場みたいに振舞って、おまけに最後に説教なんかしたりしてくる」

穂乃果「でも、相手が圧倒的な存在であればそうじゃない。こんな子に俺が…って相手を上に見る。上の立場の存在に、何かを与えようとはしない。だっておこがましいでしょ?」

花陽「私たちも、同じかもしれません。南ことりさん…彼女を教祖の最も寵愛する愛人、マハーガルダとして尊び、私たちもまた彼女からの愛を求めた」

穂乃果「そう、渋谷でも原宿でも、この教団でも、彼女は求められるばかりで誰からも何かを貰えなかった。花陽ちゃんの言う通り、愛すらも“与えている”という実感しかなかっただろうね」

花陽「“援交”もダメ、“宗教”もダメ……彼女は、この後どうやって救われようとするんでしょうか……」

穂乃果「……わからない。何かを与えれば良いのかもしれない。でも何を?」

花陽「アイを」

穂乃果「……難しいこと言うね」

79: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:10:35.42 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-ことりの部屋

ことり「……誰も」

ことり「誰も私に、何もくれないよ」

にこ「………そう」

ことり「………………私も、求めてるのに」

にこ「あんたはね、忘れちゃってるのよ」

ことり「え…………」

にこ「皆があんたにいつも何かを求めてるから、忙しくて、そのうちにあんたは、ワガママ言うのを忘れちゃったのよ」

ことり「ママもパパも、いつも学校の仕事で忙しかったから……」

にこ「そうでしょ」

ことり「私は、友達のために何かをするのが好きだったし……」

にこ「そうだったわね」

ことり「バイトだって、メイドカフェで、いつもご主人様が居て……」

にこ「たまには、求めれば良かったのに」

ことり「ダメだよ…求められるままに与えれば、愛してくれるけど、ワガママ言ったら…どう思われるかな?きっと、嫌われちゃうよ…」

にこ「ウチの妹や弟は、ワガママ言うのが得意だったわ」

ことり「え…」

にこ「今は私が、ワガママ言ってるんだけどね」

80: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:11:09.92 ID:QjbTf5ue
にこ「外に出たくない~って言ってね。ダメな姉よ」

ことり「…あはは」

にこ「でも、皆それを….もちろん本心では学校に行くとか、就職するとか、どうにかして欲しいと思ってるわ。もちろん、しないとダメだし、それは私もわかってる」

にこ「…でも…ほんとに自分勝手なんだけどね、それでも皆に、愛されてるって思えるの。こんなに酷いワガママ言ってるのにね」

ことり「それは、にこちゃんが……」

にこ「ううん、違うわ。ことりも同じ。あんただって、ワガママ言ったって愛してくれる人がいるわ」

ことり「……居なかったら、どうすれば……」

にこ「小さいことから始めてみましょうか。私の妹弟が1番私に求めたこと…それはね、読み聞かせなの」

ことり「……読み聞かせ…した事しかないかも」

にこ「筋金入りのワガママ初心者ね……ほら、言ってみなさい。“にこちゃん、本読んで!”」

ことり「え………」

にこ「いーから」

ことり「………」

にこ「言ってみなさいって」

81: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:11:41.10 ID:QjbTf5ue
ことり「………に、にこちゃん」

にこ「なぁに」

ことり「本、読んで………」

にこ「しょーがないわねー、ほら、言えたじゃない」

ことり「う、うん」

にこ「さて、始めるわよ」

ことり「え……何を」

にこ「何言ってんのよ、読み聞かせよ」

ことり「ほんとにしてくれるの…?」

にこ「そりゃそうよ。さて…と、えーと…」

にこ『ほんとうに僕の話が聞きたいなら、きっと、僕がどこで生まれて、どんなうんざりする子ども時代を過ごしたかとか、僕が生まれる前に両親が何をしていたかといった、デイヴィッド・コパフィールド的な、うんざりすることを知りたがるんだろうね』

にこ『でも実をいうと僕は、そんな話をする気にはならないんだよ。』

ことり「えぇっ…そんなの読むの……」

にこ「だってあんたもう17何でしょ。絵本なんて読んでもつまらないじゃない」

82: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:12:06.06 ID:QjbTf5ue
ことり「まぁ、そうだけど…この選書はなんか…」

にこ「仕方ないじゃない、私これしか持ってないのよ」

にこ「“いつの間にか”部屋にあってね……家族の誰のでも無いんだけど……でも最初から妙に“もう読んだ気が”するのよね……しかも、謎にシンパシーを感じるわ…………」

ことり「……にこちゃん」

にこ「ん?」

ことり「膝にさ…座っても良いかな?」

にこ「……良いわよ。そうよ、それで良いのよ」

ことり「…………」

にこ「…………あー」

ことり「…………あの、見える?」

にこ「そうね…見えないわね。忘れてたわ。私、あんたより背低いのよ」

ことり「…………降りるね」

にこ「……そうね」

83: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:12:47.05 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

エリ「……マキシーヌ・ニシングストンにもうロシア反大統領派の援助は無く、そして、彼女は日本に核兵器を隠している……」

ツバサ「彼女はあくまで自分は開発者であるとして、どこか使ってくれる組織を探している…」

希「日本の組織でそんなことをやり得るのは2つ…“教団”と“長官狙撃グループ”」

海未「私たちの全く知らない組織であれば別ですが……少なくとも、ニシングストンとの関係が認められる組織はその2つです」

あんじゅ「ところで、そのマキちゃんはどこにいるのかしら?」

エレナ「地下だ。アヤシェニコフが乗ってきた覆面護送車の中で、6名の主警備と20余名の監視班を置いている……星空は、さっきから何を?」

凛「…ん?あぁ、凛は長官狙撃グループのメンバーだと思われる5人、つまり例の“95年オフ”のメンバーを全員洗い出そうと思ってて…」

エリ「今、ハンドルネーム“ファースト”と“セカンド”を確保してるんだったかしら?」

希「そうやね。そしておそらく間違いなく加担しているのが“フォース”小泉花陽、そして疑わしいのが“サード”矢澤にこ。そして実在するかどうかすらはっきりしない“フィフス”」

エレナ「そこはどういう関係性なんだ?」

海未「事件発生から約3ヶ月前、5人は秋葉原でオフ会を開いています。ネット上で出会い、お互いのハンドルネームの妙な一致から話が盛り上がったようです」

あんじゅ「“フィフス”の存在が….っていうのは一体何なの?」

84: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:13:11.75 ID:QjbTf5ue
凛「“フィフス”は一体誰なのか全くわからないのにゃ。ログを見る限り、主催はその人なんだけど…しかも“ファースト”は“フィフス”を計画の首謀者だと証言してるのにゃ」

海未「ただし“セカンド”は“フィフス”について何も……」

希「花陽ちゃんに至っては“フィフス”は当日来なかったと……」

海未「オフ会の会場となった店の監視カメラにも、確かに“ファースト”から“フォース”の4人のみが写っています」

エリ「確定じゃない。いなかったのよ」

海未「いえ、いたはずです」

エリ「何よ、その自信は……」

海未「勘ですよ」

エリ「は?」

海未「警察官の、です」

ツバサ「へぇ…そういうの嫌いじゃないわ」

エリ「ばーか、そういうのに頼ってると、いつか怪我するわよ」

85: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:13:50.94 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-ことりの部屋-Am6:34

ことり「にこちゃん…にこちゃん!」

にこ「何よ…え?」

信者1「………………」

信者2「………………」

信者3「………………」

信者4「……矢澤さん。マハーガルダには、たった一人を除いて…触れてはいけないのですよ」

信者5「これは貴女の為なんです。燃え尽きて灰になるのは嫌でしょう?」

にこ「何言ってんのよ、こいつはマハーガルダなんかじゃないわ。触っても燃えないのよ。燃える神鳥なんてね、日本には住んでないのよ。ましてことりはそんなのじゃないわ」

ことり「………………」

信者6「とにかく、矢澤さんに関しては長老部で話し合いを設けます。それまでは…」

にこ「あっちょっと!何してんのよ!どこ連れてくのよ!ねぇ…ちょっと!」

ことり「………………」

信者2「マハーガルダ、貴女にも場所を移ってもらいます。私たちは貴女を、誰にも触れさせないというワークを頂いていますから」

ことり「くだらないね。あの人はもう、一生檻の中なのに」

信者「……さぁ、立ってください」

86: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:14:23.89 ID:QjbTf5ue
-----教団施設内-信者作業棟

穂乃果「!?にこちゃんとことりちゃんが……!」

花陽「………!!」

穂乃果「うん…そうか。じゃあ、助けないとね」

花陽「え………」

穂乃果「花陽ちゃん、自分が何をしたら良いか……わかるでしょ?それに……」

花陽「……さっき見せてくれたものは全て、本物なんですか…?」

穂乃果「……そうだよ。本物。ほら、今だって出来る」

花陽「じゃあ、私が今まで信じてきたものって……」

穂乃果「まやかしといったら、気の毒だけど。悪いけど、“全て出来る”」

花陽「………………そうですか」

穂乃果「うん。ごめんね」

花陽「…………手伝います」

穂乃果「ありがとう……ついでに、もうひとつ聞かせて」

花陽「何ですか?」

穂乃果「海未ちゃんたちからの手紙にあった…“警察庁長官狙撃事件”これに、花陽ちゃんも関わってるのかな」

花陽「………!」

87: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:14:52.33 ID:QjbTf5ue
-----南千住警察署-特別捜査本部

凛「あー、わかんないにゃあ。“フィフス”って誰なんだにゃあー!」

ツバサ「そんなにわからないなら“サード”矢澤にこの事件への関与の証拠を探してみれば?犯行グループの母体となった所のメンバーなんでしょ?」

海未「それはそれで全くと言っていいほど手がかりすらないんです」

凛「やっぱり、にこちゃんは参加してないんじゃないかにゃー?“ファースト”も“セカンド”も“サード”矢澤にこはオフ会には参加したが犯行には参加してないって……」

あんじゅ「それは考えにくいんじゃない?そしたら、“ファースト”と“セカンド”が証言した、“95年オフ”で犯行計画が練られたという前提そのものが狂うはずよ…?店の防犯カメラには矢澤にこを含めた4人が写っているんでしょ?」

エリ「……待ってよ、そこまでの状況がありながら“サード”矢澤にこには“全くもって一切”犯行に関わったと思われる可能性が浮かばないの?」

海未「………!!」

88: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:15:21.22 ID:QjbTf5ue
エリ「それはおかしい…逆に不自然よ。そこまでのお膳立てがなされているのなら、もし本当にシロでも何かしら疑惑が浮かび上がる程度のことはあるはずよ」

エリ「“サード”矢澤にこが犯行に繋がる可能性”が全て排除されている…それは明らかに“誰かが意図的に排除した”そう考えるのが自然だわ」

ツバサ「じゃあやはり、“サード”矢澤にこも犯行に参加しているのよ。何かの理由があって、彼女はほかのメンバーに庇われている」

海未「なるほど……希?どうかしましたか?」

希「……いんや、別に……にこちゃんねぇ…ウチらも“フォース”小泉花陽と接触させてにこちゃんがボロを出さないかと思ったんやけど……報告が来ないってことは……」

エリ「単に向こうにいる貴女たちの仲間が上手くいってないんじゃないの?」

希「いや、それは無いんやないかな」

海未「証拠がまるで無い“サード”矢澤にこ、存在すら危うい“フィフス”…サードと、フィフス」

ツバサ「“新世紀エヴァンゲリオン”の登場人物との関連性も指摘されてるんでしょ?少なくとも“ファースト”と“セカンド”はそれに言及してるのよね?」

海未「そうです…それについては今調べてます。どうですか?凛」

凛「これはちょっと…面白い、かな。エヴァに登場する主人公、“サードチルドレン”碇シンジは“不完全なシンジ”で、“フィフスチルドレン”渚カヲルは“完全なシンジ”…というキャラクターとして描かれてるんだって」

希「…やっぱり」

海未「やっぱり?」

89: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:15:51.41 ID:QjbTf5ue
エリ「…“サード”矢澤にこと“フィフス”もまた、同じ存在ということ?馬鹿馬鹿しいわ」

ツバサ「そう言い切るのはどうかしらね。二重人格…乖離性人格障害と診断された人間は少なくないわ。少なくとも、フィクションの中のものじゃない」

海未「“フィフス”が“サード”矢澤にこのもう1人の人格だったとすれば今回の問題、全て説明出来なくはありませんが…証拠がちょっと」

希「でも、なかなか面白い仮説やん?どうせ黙ってても解決せぇへんし、一旦その前提で考えてみてもええんやない?」

エリ「じゃあ“フィフス”が“サード”矢澤にこの他人格だったとして…彼女はどうなったの?まだ目的は果たしていないわよね?長官は狙撃されただけ…暗殺はされていないでしょ?」

海未「そうです。もし“フィフス”が“サード”矢澤にことして存在するのならば、まだ目的を遂げようとするはず」

ツバサ「それでかっ!それで、マキシーヌ・ニシングストンは核を彼女達に……?」

エリ「矢澤にことマキの間に接点はないわ…もちろん、“フォース”小泉花陽や“ファースト”ら“95年オフ”の教団メンバーを通じて、ということならわかるけど」

希「とりあえず、聞いてみんことにはわからんよ?」

90: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:16:30.16 ID:QjbTf5ue
-----南千住警察署-地下駐車場-覆面護送車内

マキ「で、私のところに来たのね」

海未「“サード”矢澤にこと何か接点が?」

マキ「“サード”?3つ目の…?残念だけど矢澤にこなんて子、知らないし“ファースト”も“セカンド”も知らないわ」

エリ「“フィフス”も知らないわね」

マキ「あら、じゃあ“フォース”も居るのかしら。やっぱり二人とも知らないけど。誰なのよ、それ」

ツバサ「嘘をついている人間の挙動じゃないわ。瞳孔も脈拍も全くの平静…」

希「南ことりは?」

マキ「その子も知らないわ」

エレナ「ふむ」

凛「……そもそも“フィフス”はどうしてそう名乗ったんだろう」

海未「いきなりなんです?凛」

凛「あ、ごめん…突然気になって…」

91: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:16:55.70 ID:QjbTf5ue
あんじゅ「でも、そういうのって結構大切よ?」

海未「まぁ、それはわかりますが……単なる偶然では?」

凛「そうかな…凛は“サード”と“フォース”が初めにいて、その他人格が“フィフス”を名乗り、そして条件に合致する残り…つまり、“ファースト”と“セカンド”を探したんじゃないかと思うの」

凛「こういう犯罪者って形式とか声明とかに気を使うでしょう?この事件の首謀者“フィフス”も同じ…きっと何かの“5番目”なんだよ」

エレナ「“エヴァンゲリオン”の登場人物…チルドレン?になぞらえてあるという話じゃなかったか?」

希「“ファースト”は綾波レイに、“セカンド”は惣流・アスカ・ラングレーに、“サード”矢澤にこは碇シンジに…確かにそれぞれ自己投影しているような風はあった」

希「だけど“エヴァ”の放送は事件より後…7ヶ月も先やもの。自分のハンドルネームと同じ名を持っていたからこそ、初めから親近感が湧いていた…そう考える方が自然やね」

エリ「“フィフス”…5番目を名乗る暗殺者。一体、何が“5番目”なのかしらね…」

マキ「あ、私わかるわよ」

ツバサ「!?貴女やっぱり…」

92: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:18:10.75 ID:QjbTf5ue
マキ「いや、そうじゃなくて。貴女もアメリカ人ならわかるんじゃない?」

マキ「1963年11月22日、J.Fケネディを暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルド…これが“1人目(first)”」

マキ「1980年12月8日…ジョン・レノンを暗殺したマーク・チャップマン…彼が“2人目(second)”」

ツバサ「!!……1981年3月30日、新大統領となったロナルド・レーガンを狙撃した“3人目(third)”がジョン・ヒンクリー…?」

マキ「そういうこと。そして1989年7月18日、女優レベッカ・シェイファーを暗殺したストーカー…彼が“4人目(fourth)”、ロバート・ジョン・バルド」

海未「何なんですか?それ…彼らは一体……」

希「アメリカの暗殺者たちやんね…4人…5人目がって事…?」

凛「いや、でも国も違うし…」

マキ「さて、それじゃあ彼らの共通点はなんでしょう?」

ツバサ「園田さん……」

ツバサ「矢澤にこの愛読書は“ライ麦畑でつかまえて”じゃないかしら?」

93: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:19:35.18 ID:QjbTf5ue
ーーーーー教団施設内-信者作業棟

花陽「……あの」

穂乃果「ごめん、今はそれよりにこちゃんとことりちゃんだよね…行こうか」

花陽「はい…でも、何かプランが?」

穂乃果「もうすぐ修行でしょ?……見張りとかもいないし」

花陽「鍵は…」

穂乃果「要らないよ。もう、わかるでしょ?」

花陽「え……あ…はい」

穂乃果「行こうか」

94: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:20:15.71 ID:QjbTf5ue
ーーーーー教団施設内-シールドルーム

ヴィーーーー

ことり「………穂乃果ちゃんか」

ガシャン ピーッ

穂乃果「久しぶりだね、ことりちゃん」

ことり「相変わらずだね」

穂乃果「…ごめんね。私が、勘違いしたせいで。ことりちゃんも本当は、苦しかったんだよね」

ことり「……半分くらいはそうかもね。でもほら“洗脳”されてないでしょ?」

ことり「私“穂乃果さんのこと”忘れてなかったから」

穂乃果「?…とにかく、無事で良かった。じゃあ、行こうか」

ことり「そうだね…もう“あの人”も居ないし。帰ってこないし。隣ににこちゃんが……お願い」

95: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:20:52.09 ID:QjbTf5ue
ヴィーーーー

にこ「え、何。開くの?出してくれるの!」

ガシャン ピーッ

穂乃果「行こうか、にこちゃん」

花陽「ごめんね、にこちゃん」

にこ「え!あんた達が何で開けられるの?鍵でも盗んで…?」

ことり「にこちゃん、急いで」

にこ「わ、わかったわよ…でも、どうやって逃げるのよ…あいつら、いっぱいるのよ」

穂乃果「車、乗ってって良いよ。これ鍵」

にこ「え……穂乃果がいなきゃ誰も運転できないじゃない」

穂乃果「私、足止めしないといけないでしょう?」

花陽「私が運転します」ピッ

にこ「それ誰の免許証よ!」

ことり「大丈夫だよにこちゃん、ここ一帯はうちの私有地だから」

96: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:21:21.54 ID:QjbTf5ue
穂乃果「えっ…どこまで逃げる気なの?」

ことり「一旦寄るところが…そこである人と合流するの」

穂乃果「(何考えてるんだろ…ことりちゃん)」

花陽「穂乃果さん…足止め、お願いよろしくお願いします」

穂乃果「…もちろん。私には、それくらいしか罪滅ぼし出来なそうだしね」

にこ「そんなこと…貴女…私が言うのも何だけど、とても立派な人だと思うわ」

穂乃果「ありがとう…じゃあ、とりあえず外まで走ろうか」

97: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:22:37.11 ID:QjbTf5ue
-----教団施設外-駐車場

穂乃果「これだよ」バタン

花陽「よし…乗ってください」

にこ「ほんとに大丈夫何でしょうね…」

ことり「信頼してるよー」

花陽「どこまでですか?」

プシューシュシュシュシュ ブルルルルゥ…!!

ことり「…この村の東へ…樹海の所までお願い」

花陽「あ……はい、樹海なんですか?」

ことり「そう。待ち合わせ場所がね。その前に、色々やっとかなきゃ」

にこ「穂乃果、大丈夫かしら………」

ことり「あの人は“本物”だから」

98: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:23:13.97 ID:QjbTf5ue
にこ「あ…来た……!!」

信者「穂乃果さん!どうして邪魔するんです!」

信者2「それが貴女の…貴女のジャーナリズムだとでも言うんですか!!」

信者3「マハーガルダが……私たちの車も早く!」

穂乃果「……………」サッ

ピシャッ……ドドォン!!

にこ「……!?雷が、教団の車に……」

穂乃果「行って!」

花陽「……….」グイッ
ブロロロロロロ……

信者3「火が……」

穂乃果「あ、ごめんね」

ポツ…ポツポツ…ポツポツポツポツポツ…ザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

信者1「今度は雨………」

穂乃果「うーん、あはは…雨でも案外消えるもんだね………雨、止め」

ザァーーーーーーーーー ピタッ

信者2「なんなんですが、穂乃果さん、貴女は……」

99: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:23:51.58 ID:QjbTf5ue
穂乃果「今の…“雨を止める”それが私に初めて備わったもの。私をこの世界で独りにしたもの」

穂乃果「だから、ちょっと期待した…貴方達の信じる“彼”。ここまでの信望者を集め、日本転覆すら狙う貴方達の主なら、もしかしたら。私の仲間かもしれない、そう思った」

穂乃果「だけどそれは違った。“彼”の超能力も、イニシエーションも、全てインチキ」

信者「…………!」

穂乃果「やっぱり私は、世界の外側に独りでいるしかなかった。なら、いっそ覚悟を決めよう。かつて理解したと思った、救えたと思った女の子がまた“堕ちそう”になっているなら…」

穂乃果「私が彼女を逃がした理由はそれ。私はジャーナリストである前に、キャッチャーでありたくて……」

穂乃果「I’d just be the catcher in the rye and all. I know it’s crazy, but that’s the only thing I’d really like to be.」

100: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:24:27.13 ID:QjbTf5ue
-----東京-南千住警察署-特別捜査本部

希「“ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、ほんとうになりたいものといったらそれしかないね”かつて、高坂穂乃果はウチにこう語った」

凛「穂乃果ちゃんが……?どういう意味?」

ツバサ「アメリカの青春文学、J.Dサリンジャーの“ライ麦畑でつかまえて”の一節よ」

凛「さっきも…その本…」

希「あの本には妙な話があってな。
さっきマキちゃんやツバサさんが話してた通り、アメリカで“ライ麦畑でつかまえて”を愛読書にした暗殺者が…いずれもケネディ大統領、ジョン・レノンやら有名人のね。
彼らが愛読書にしていたんよ」

101: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:25:51.80 ID:QjbTf5ue
この話は単なる噂話ではなく、事実である。
最も有名なのはジョン・レノンを暗殺したマーク・チャップマンに関するエピソードだろう。
彼はレノンを殺害したあと銃を道に放り、『ライ麦畑でつかまえて』を持って静かに座っていたとされる。
ちなみにこのケネディ大統領暗殺事件で使われた物と、長官狙撃事件で使われた銃弾は「ホローポイント弾」という同型のものであった。

102: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:26:06.09 ID:QjbTf5ue
海未「確かににこも“ライ麦畑でつかまえて”を読んでいました。出発の時も、持っていたはずです」

凛「でも、にこちゃん自身はその本に関する記憶はなかった…よね?」

---------

-------

-----

こころ『どうぞ、お姉様。お部屋の本棚にありましたよ?』

にこ『?こんな本、買ってないけど…』

こころ『お姉様、この間お部屋で読んでいたような……?』

にこ『違う本だと思うわよ』

----

-------

---------

海未「そうでしたね…するとやはり“ライ麦畑でつかまえて”を読んでいたのは“フィフス”……」

凛「ていうかさっきの言葉、どういう意味なのか答えて欲しいにゃ」

103: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:27:10.72 ID:QjbTf5ue
ツバサ「ああ……えーとね、崖にあるライ麦畑で子供たちが遊び回っているのを想像して?そして子供たちはその場所の危険に気づかない。彼らはいとも簡単にそこから堕ちて、そうして死んでしまう…」

ツバサ「主人公のホールデン・コールフィールドは、社会にうんざりした捻くれ者でね。彼はそんな堕ちそうになる子供たちを寸前でキャッチしてやりたい、そういうものになりたいと語るのよ」

希「穂乃果ちゃんもそうすることにした。彼女はかつて、新宿や渋谷を歩き回り、援交少女たちと関わった。本当に苦しんでいて、やりたくないのにやっている子を救い、そうじゃない子を、古い価値観で批判する大人達から守った」

海未「でも、その中の1人、南ことりは本当は救われたがっていた……?」

希「彼女が教団に入ったことを知って、穂乃果ちゃんはそう思ってショックを受けたんだろうね。だから教団の取材を始めた」

希「ことりちゃんが超能力だの奇跡だのに騙されるとも思えなかった」

希「だって、穂乃果ちゃんなら、あの教祖の見せた超能力…もとい手品が、“本当に”出来るんだから」

エリ「え……………!?」

104: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:27:57.78 ID:QjbTf5ue
-----教団施設外

「………………………………………………………」

シィィィ………………ン

穂乃果「…………そういえば、ことりちゃんは、何をするつもりなんだろう」

-----同地から約30m 穂乃果の車内

花陽「……私、穂乃果さんと話したんです。ことりさんについて」

105: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:28:38.28 ID:QjbTf5ue
-----

穂乃果「あの子は自分の心を“援交”や“宗教”で救おうとした」

穂乃果「それはつまり“外の社会”ではなく“内の心”を変化させようという、教団の取り組みと同じ」

-----

花陽「60年代、70年代のような“外の社会”を革命するような運動ではなく、90年代的な“内の心”の革命…」

-----

穂乃果「でも結局教団は、選挙落選を契機にテロリズムという形で“外の社会”に働きかけることとなった」

-----

花陽「ことりちゃんも同じように“外の社会”に干渉するの…?それは例えば“テロリズム”とかで……」

-----

穂乃果「あ、そうだ……希ちゃんたちに報告しないと……」

-----

ことり「あれ?花陽ちゃん“ファースト”から何か聞いてない?」

花陽「え……………!?何で、ことりちゃんが………“ファースト”を……!?」

106: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:29:04.44 ID:QjbTf5ue
-----南千住警察署-地下駐車場-覆面護送車内

希「……?え?わかった、うん、うん」

海未「どうかしました?」

希「穂乃果ちゃんから連絡や。“サード/フィフス?”にこちゃんが、南ことりと花陽ちゃんを連れて教団施設から脱走したって…」

ツバサ「……!」

マキ「……!」

海未「どういう事です…にこには穂乃果を通して私たちから迎えの連絡をすると伝えてあるはず…」

エリ「何か事情があったんでしょうね…こいつが核を預けたのは彼女たちかもしれない以上、好き勝手動き回られるのは大いに迷惑よ」

海未「とりあえず会議です。上に集まりましょう。それと凛、一二三署のとこは動かせますね?連絡お願いします….それと、交通規制も」

凛「了解にゃ」

107: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:29:34.88 ID:QjbTf5ue
-----南千住警察署-第三会議室

海未「日本に核が撃たれる可能性……ですか」

希「上への報告は…」

凛「もう済んだにゃ。ただ、これからいくつも会議を経てから、それから最終決定が下るにゃ」

海未「………それでは遅いのですよ」

ツバサ「それにうちの国との関係もあるわ。そう簡単に決まらないわよ」

エリ「周辺住民は避難させたの?」

海未「はい、適当な理由をつけて。ただ……」

希「実際に動くしかないんやない?海未ちゃんの“勘”をウチは大いに信じてるんよ」

エレナ「そんな、非合理的な…」

希「“勘”とはそれ即ちインスピレーション。スピリチュアルやろ?」

希「ウチはインスピレーションも、それと後“超能力”もまた信じてるんよ」

エリ「そうそれ…さっきの話よ。高坂穂乃果ってジャーナリスト?だったかしら。どういうことよ」

希「どうもこうも無い。教団のトップにも、ましてや幹部クラスにはその片鱗すらさらさらなかった“本物の超能力”。高坂穂乃果はそれを持っている」

あんじゅ「ありえないわ…事実、私たちCIAは去年、“超能力の研究”に対し“成果なし”として破棄したのよ?」

108: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:30:37.14 ID:QjbTf5ue
1995年、アメリカ中央情報局(CIA)は陸軍にから引き継いだ超能力の軍事利用計画「スターゲイト・プロジェクト」を中止した。

この計画の開始当時、東西両陣営において超能力は実用可能であろうものとして研究されており、アメリカは共産圏に遅れを取っている事を気にしていたのである。

この幕引きは87年に国立研究審議会によって提出された「NRCレポート」を基に「成果なし」との結論を下されたのだが、この作成においては超能力肯定派の意見がほぼ反映されず、正統な成立過程を経ていないとして批判を受けている。

109: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:31:22.48 ID:QjbTf5ue
エリ「あら…アメリカの方は、そんな名前だったのね。うちも当然超能力研究はやってたけど、やっぱり成果は上がんなかったわ」

希「だけど確かに超能力者は“居る”」

海未「もし本当だとしたら、それは…いえ、それよりまず現状の把握です」

凛「一二三署は教団施設近辺を完全に封鎖。にこちゃん達はまだあの村から出られていない…ただ、樹海方面はまだ封鎖が徹底できてないにゃ」

ツバサ「うちの研究所に残っている彼女の実験データを見ると…これよ。おそらく彼女が使うのは50年代に開発された携行戦術核兵器、デイビー・クロケットのようなもの。ただし威力と飛距離は圧倒的に上がっているわ」

エレナ「正確な発射には2人から3人の人員を要し、今回のような場合は三脚砲架を使用するはずだ。被害範囲はおそらく着弾地から半径2500m…単なる爆発はもちろん、即死レベルからそれ以下の放射線被害を考えた場合の話だ」

あんじゅ「これが恐ろしいところだけど……あくまで彼女の理想通りに設計されたのであれば、射程は多分、10kmはあるわ」

エリ「10って……何言ってのよ、さすがに有り得ないわ」

凛「そんな凄いの……?」

110: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:32:00.09 ID:QjbTf5ue
エリの反応の通り、射程距離10kmの携行兵器というのは武器開発の常識的にどう考えてもありえない数字であった。

先述したデイビー・クロケットの射程距離が2kmもしくは4km。

10kmというのは戦車砲や移動式発射車輌といった助け無しに到底飛ばせる距離ではなかったのである。

マキシーヌ・ニシングストンの核開発が理解を得られなかったのは、他の研究者らにあくまでその性能が理論上の空案だと見なされていたこともあった。

111: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:32:26.89 ID:QjbTf5ue
ツバサ「少なくとも、理屈としてはあるわ。“学界の権威”たちも渋々認めている」

エリ「そう……なら、私も渋々信じるわ。それにしても、何だか同情的に聞こえるけど?」

マキ「せいぜい30年か50年程度で練られた、偉い連中のプライドに邪魔されて若い有能が潰されることに。少し…ね」

海未「私たちの目標は矢澤にこ、小泉花陽、南ことり3名の確保です」

海未「そして、もし彼女たちがマキシーヌ・ニシングストンの製造した核を入手し、それを新たな道具として使うのならば、それを止めねばなりません。幸い向こうの一二三署には専門家が多かったはずです。彼らの応援もあります」

凛「その場で撃ったりしないよね…?彼女たちの目標になるようなものがあの辺に…」

エリ「おそらく試射を行うはずよ。そうでなくても…教団施設なら、あるいは……」

あんじゅ「もし私たちが見つけた時、撃つ直前とかだったら………」

ツバサ「武力行使よ。やむを得ないわ」

112: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:32:54.73 ID:QjbTf5ue
エレナ「しかし、銃はあまり…もし核に当たったら…危険すぎる」

凛「海未ちゃん………」

海未「私が、弓を引きます」

ツバサ「……あまり想像したくない事態ね」

海未「ご勝手に。ただ……私も人に射たことはありません……」

希「……海未ちゃんなら平気やろ。さっきの交通規制、もちろん空域封鎖もやんな?それでまだ確保されてない、される見込みもない…なら、やっぱり」

凛「規制が万全とは言えない、樹海周辺にいるんじゃないかにゃ?」

エレナ「交通規制をしてあるんだろう。なら、我々の移動手段はヘリだな」

海未「上に呼んであります。3手に別れて出発しましょう。私達3人は東側、ツバサたちは西側を、エリは中央をお願いします」

ツバサ「わかったわ」

希「!?………海未ちゃん!!」

海未「!…どうしました?」

希「……マキちゃんが脱走したそうや」

エリ「…私が行くわ。ヘリで先に行って」

ツバサ「そうするわ。確保したらすぐに共有して」

海未「行きましょう」

113: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:33:31.31 ID:QjbTf5ue
-----教団施設付近-車中

にこ「ことり、そんな樹海なんて行って、何するのよ」

ことり「やらなきゃいけないこと。約束したの、“にこちゃんの知らない人”と」

にこ「何よ、それ……」

ことり「あれ?嫉妬した?」

花陽「(あっ…私これ、空気になりそう)」

にこ「してないわよ」

ことり「心配しなくても、一番大好きなのはにこちゃん……初めてだよ?こんなに好きだと思うのは」

にこ「こっちも初めてよ。でも、まさか好きになっただけで閉じ込められて、その末に無理やり脱出するとは思わなかったわ。しかもあの穂乃果の…どうやって空けたのよ、あれ」

花陽「穂乃果さんは、超能力者ですから」

にこ「超能力って…花陽まだあんたそんなこと」

ことり「花陽ちゃんも見たんだ」

花陽「はい。“グル”と同じ…いえ、それ以上のことを平然と…」

にこ「二人とも…私は、信じないわよ」

114: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:34:03.29 ID:QjbTf5ue
ことり「きっと、見たらわかるよ…っていうか、さっき雷、見たよね?」

にこ「あんなの偶然よ……追っ手、来ないわね」

ことり「もう…頑固だなぁ。にこちゃん、ありがとね」

にこ「何よ…改まって」

ことり「私は今まで、独りで愛してた。いつも私は誰かの代わりで、私も誰かを誰かの代わりにした」

ことり「いや、“誰か”じゃないな…もっと大きな“何か”を埋めるために、女の子も男の子も、皆私が愛してあげた」

ことり「知ってる?にこちゃん。男に開けられた穴は男でしか埋められないの。心も、身体もね」

にこ「私も“誰か”、いえ“何か”の代わりなの?」

ことり「そうじゃない…そう言いたいけど、確信は出来ないの」

にこ「…正直な気持ちが聴けて良かったわ。私はそれで構わない。“私の代わり”がいくら居ても“私”という代わりは私だけでしょう?」

115: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:35:18.40 ID:QjbTf5ue
ことり「にこちゃん……それ、苦労するタイプの考え方だよ」

にこ「そうかもね。でも“私”は“私”の価値を信じてる。取り柄がなくても何も無くても、私は“私”である事を理由に価値を認めてもらいたい」

ことり「それで、引きこもったの?」

にこ「そう。“私”を認めて欲しかったのかも」

ことり「何かを持ったにこちゃんではなくて」

にこ「引きこもっただけの、何も生産性のない存在の“私”。その“私”を皆は否定する。じゃあ、嘘っぱちじゃない」

にこ「結局、使える人間しか要らないんじゃない。人は平等じゃない、私は私でいることが1番じゃなくて、何かにならなくてはダメで。人生はゲームじゃないだなんて欺瞞よ、そして、冗談じゃないわ。初めから負け組にいる人間は、どうすりゃいいのよ」

ことり「わからない、私はきっと勝ち組だったから」

にこ「そうでしょうね…でも、勝ち組でも負け組でも、不幸な奴は不幸だって事がわかるわ」

花陽「……そろそろ着きます」

116: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:35:51.26 ID:QjbTf5ue
-----静岡-沼津市上空-警視庁航空隊“アグスタウエストランド”AW139機内

海未「そろそろですかね」

希「そうやね。そっちはどう?」

-----同-アメリカ陸軍MH-6“リトルバード”機内

ツバサ「変わりないわ…防振カメラにもらしい人影が映る様子も無いしね……」

エレナ「ツバサ、通信だぞ」

あんじゅ「……?誰?これ」

-----同-Ka-226“セルゲイ”機内

エリ「……私よ、私」

117: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:36:18.11 ID:QjbTf5ue
-----静岡- ヘリコプター機内-航空無線通信(3機)

ツバサ「あの女はどうしたの?」

エリ「案外近くで確保出来たわ。目立つもの」

あんじゅ「ん…何!?…発煙筒!?」

エリ「!!………」カチッ

ヴュイーーーン バリバリバリバリ

ツバサ「急降下!?何で貴女、突然!!」

海未「勝手な事をしないで下さい!単機でどこへ向かう気ですか!!」

エリ「悪いわね……」

118: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:37:37.13 ID:QjbTf5ue
-----富士裾野-樹海

ことり「これで準備は完了…後は、あ…来た」

バリバリバリバリ…シュイーーン ガチャッ バタン

マキ「遅れて悪いわね、出来てるの?」

にこ「誰……?」

マキ「え?こいつはFSBの諜報員でね、ヘリに乗ってきたところを銃突きつけて黙らせてやったわ。全く、自分のヘリだからって油断し過ぎよ。おまけに中に銃まで置いて。
おまけに他のヘリから通信来るのよ?バレないように演技させるの苦労したわ」

エリ「………………(пизда!最悪よ…)

にこ「じゃなくて…貴女の事も、私知らないんだけど」

マキ「え………?あぁ、彼女が“フィフス”ね」

花陽「いえ、今は….」

マキ「まだなの?ハヤクシナサイヨォ」

ことり「ごめんね、にこちゃん」

ドガッ!

にこ「!?っづぁっ………」バタッ

119: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:38:13.50 ID:QjbTf5ue
マキ「さぁ、早く。撃つ方の準備は出来てるんでしょ?」

ことり「マキちゃんの確認待ちだよ」

マキ「そぅ……やっとくわ。そっちお願い」

花陽「にこちゃ…じゃなくて“ニコニー”」

花陽「起きて!“ニコニー”!!!」

にこ二ー??「ぅ……ぁ」

ことり「これが、“フィフス”…」

にコニー?「なに……ぅぇ……」

花陽「警察庁長官狙撃事件の黒幕、全ての始まり、“矢澤にこ”ではない別の存在、彼女の“もう1人”、5人目の“ライ麦畑でつかまえて”を愛読する暗殺者……」

ニコニー「…………あら、花陽……大分久しぶり」

ことり「にこちゃん………?」

ニコニー「いいえ、私は“矢澤にこ”ではない。貴女がマキの用意した協力者、“にこ”をここまで連れてきてくれた人ね」

ことり「………うん、そうだよ」

ニコニー「ありがとね…もちろんマキも、花陽も」

ニコニー「始めましょう…確認させて」

120: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:38:49.98 ID:QjbTf5ue
-----山梨-西八千代郡上空-ヘリコプター機内-航空無線通信(2機)

凛「何でエリちゃん1人で先に行っちゃったの!?」

海未「わかりませんが……説明出来ない何か、行かねばならない何かがあるのでしょう」

希「どちらにしろあれってウチらの向かっとった樹海方面やろ?追ったらええんのやない?」

ツバサ「それもそうね。間に合って欲しいんだけど…」

あんじゅ「もし私達が着く前に発射されたら…」

エレナ「そうなったら、この国は終わりだな」

海未「終わり、か….」

121: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:39:47.08 ID:QjbTf5ue
-----山梨-富士裾野-樹海

ことり「……それ、どこに撃つの?」

ニコニー「最終的には東京よ。この国を終わらせるには、まずそこでしょ?…っていうかあんた、仮にも計画に携わってるのになんで知らないのよ」

ことり「私は、世界がめちゃくちゃになればそれで良いから」

マキ「ふーん、あら?花陽もそんな感じなの?意外ね」

花陽「…私の事、普通な女の子だと思ってました?あの教団に、救いを求めてきたような女ですよ?世界の終わり…願ってもないです」

マキ「普通な女の子なんて言ってないわ、貴女みたいな子、今のこの国には腐るほどいるわ」

マキ「まぁ、自分では“特別だ”って思いたいんでしょうけど。……あら、気に障った?」

122: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:40:18.66 ID:QjbTf5ue
花陽「別に…それより、最終的にってどういう事です?他にどこかに……?」

マキ「そりゃ、いきなり東京に撃とうとしてはい撃てませんでしたは無いでしょ?何にもせずに捕まって、米国に戻されて死刑、この国に居たってニコニーや花陽、ことりも外患誘致罪かなんかになるんでしょうね?死刑よ、死刑」

マキ「だから試射……」

ことり「どこに?」

マキ「そうね……あそこで良いでしょ?」

花陽「えっ………!?」

123: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:42:17.20 ID:QjbTf5ue
ニコニー「良いんじゃない?全て消し去っちゃいましょうよ。“私たち”の罪の、始まりの始まり。彼らの罪の、90年代が産んだ地獄の…あそこを消し去ってからよ」

花陽「でも、穂乃果さんが……!」

ことり「…穂乃果さんなら、もう遠くに行ったよ」

マキ「じゃ、そうしましょう。もう撃てるわ。ニコニー」

ニコニー「えぇ」

バリバリバリバリ……!!

ニコニー「!」

マキ「何よ…邪魔ね……」

花陽「誰……?……警察!?」

-----山梨-富士裾野-“上空”
海未「「絶対に撃たせませんよ!絶対に!!!」」

124: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:43:33.07 ID:QjbTf5ue
-----山梨-富士裾野-樹海-上空

ツバサ「間一髪…というか、もうほぼ終わりに近かったわね」

希「ほんとに、やれやれって感じやね…」

凛「まだ終わってないにゃ、何とかしてにこちゃん達を止めないと…海未ちゃん、どう?」

海未「行ける……ここからなら当たります。凛、ホバリングを」

凛「了解にゃ」

125: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:44:11.30 ID:QjbTf5ue
-----山梨-富士裾野-樹海-地上

マキ「ちょっとそれ…拡声器…はい、ありがと」

マキ「「「あー、あー、警察の皆さん?わかってるとは思うけど、こっちは核を使ってるのよ?銃で撃とうだなんて思わないでね、危ないわよ」」」

ニコニー「あとそいつ、そのロシアのスパイは人質に使えないの?」

マキ「無理じゃない?人命と国命、どっちが優先されるかって話よ」

ニコニー「ま、そうね……?何、あれ何持ってるの?」

花陽「弓だ………」

ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ!

ことり「危なっ、え、射ってくるの?」

花陽「弓だしね」

126: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:44:43.31 ID:QjbTf5ue
ニコニー「威嚇狙撃でしょ……?銃が危ないからって弓?当たるわけないでしょ…」

花陽「風も吹いてるし…無理ですよね」

マキ「「「ちょっと、邪魔しないでよ…ほら、ニコニー、良いわよ。花陽とことりも手伝って」」」

ニコニー「ん、重いわね……あ、ありがと。もうロック外してるのよね…はい、じゃあ……」

ニコニー「撃つわよ。核を」

127: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:45:32.76 ID:QjbTf5ue
-----山梨-富士裾野-樹海-上空-警視庁航空隊“アグスタウエストランド”AW139機内

希「海未ちゃん!!これ!」

海未「いえっ!二の矢は要りません!!後の矢を頼みて、初めの矢に等閑の心有り……!!」キリキリキリ…

凛「風が!!大丈夫なの!?」

海未「最終的な的中位置の時の向かい風まで完全に読み切れば、あるいは……」

128: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:46:04.81 ID:QjbTf5ue
-----同-アメリカ陸軍MH-6“リトルバード”機内

ツバサ「見てられないわよ…絶対外れるわ、もう」

あんじゅ「ここまで来たら運よねぇ」

エレナ「まるで那須与一だな…屋島の戦、か」

129: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:46:32.37 ID:QjbTf5ue
-----富士裾野-樹海-地上

花陽「ね、狙われてますよ……」

ニコニー「関係ないわよ、撃つわ」ガチャッ

マキ「あぁ…ついに!!!」

ことり「…………」

130: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:47:16.58 ID:QjbTf5ue
-----同・上空

海未「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、秋葉原、音ノ木の神田大明神。
願はくば、あの娘の目縁
射させてたばせたまえ。
これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に再び面を向かうべからず。
今一度本国へ迎えんと思し召さば…」キリキリキリキリキリ…………………

凛「海未ちゃん!もう!!」

海未「この矢外させたもう……なァッ!!」キリキリキリ…シュパァッッ!!

ニコニー「………」ニヤッ チャキt

ッッヒュウッビシュッゥッ!! グサァッ!!ビュシュゥァァァッッ!!

! ! ! ! ! ! ! !

131: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:48:14.90 ID:QjbTf5ue
ことり「!!!」

花陽「にこちゃん!!!」

ニコニー「っづぅっ!?!?ぁっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づっっっ!!!!」ボタッ……ボタッ……

海未「当たった!?!?」

ツバサ「動揺してる今よ!直ぐに降下!確保するわ!」

ビュゥゥゥッッゥオオオッッッツ バリバリバリバリ……

132: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:49:00.82 ID:QjbTf5ue
凛「海未ちゃん………ほんとに、ほんとに」

希「感傷に浸るのは後や、ウチらも行くで」

凛「……うん!」

カチッ シュッ ビュゥ--ゥゥッッゥィィイン バリバリバリバリ……

133: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:49:57.90 ID:QjbTf5ue
マキ「チッ…目に当てられたら撃てないじゃない……花陽もことりも…そこまでの…私が撃つしかっ……!」タッ!

ビュオォッワァァッッ!!バリバリバリバリ……

ツバサ「フゥ……させないわよ……やっと逢えたわね…マキシーヌ・ニシングストン?」

マキ「あら……本国で私の研究の邪魔を散々して、よくのうのうと顔を出せたわね?」

134: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:50:24.04 ID:QjbTf5ue
ツバサ「私じゃないでしょ?恨むなら……」

マキ「あら、そうだったかしら」

ツバサ「残念よ、貴女は研究者であり、技術者だと思っていたのだけど?」

マキ「そうよ…それ以外に、なんだって言うの?」

ツバサ「バカ、テロリストよ。あんたは科学者じゃない」

マキ「はぁっ!?何を…!!??え!!いつの間に………」ガチャッ

エレナ「大人しくしろ……確かにお前は、少し前までは技術者だったかもしれないが、もう、違う。自分でもわかってるんじゃないのか」

マキ「なんの事かしらね…触らないで、油臭いわ」

ツバサ「うちのエレナが油臭くてごめんなさい……でも、その通りよ?」

エレナ「………」

135: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:52:43.13 ID:QjbTf5ue
ツバサ「科学者、技術者は理論立て、創造する存在。破壊は、誰か別の者に任せる必要があった。今回も、第三者として、そこに立ったまま冷静な視線でその破壊、つまり研究の結果を観察するのが義務でしょう?」

ツバサ「でなければ、最初から自分で撃てば良いもの。
さっき自分で撃とうと駆け出した瞬間、貴女は科学者でも技術者でもなく、単なるテロリストに成り下がった……違うかしら?」

マキ「………くそっ」

エリ「残念だったわね」

マキ「!?」

あんじゅ「助けといたわよ~」

エリ「貴女とは、案外良い友達になれそうだと思ったのだけど。私たち、結構似てると思うのよ」ボコッ

マキ「痛っ」

エリ「これで私に恥かかせた分は許してあげる。ま、いつか会いましょう。貴女の身柄もアメリカに……ロシアに戻ってやることが沢山あるの」

136: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:53:16.58 ID:QjbTf5ue
エレナ「悪いが、こいつは本国に戻ったら…もう会えんと思うぞ」

エリ「ま、そうなんでしょうけど……何故か私、自分で会いたいと思ったら会えるような気がしちゃうのよね…傲慢かしら?」

ツバサ「なんでもいいわよ。とりあえず、こいつは私たちが預かるわ」

エリ「はいはい、お疲れ……」

エレナ「ほら、行くぞ」

マキ「………」

マキ「エリーナ・アヤシェニコフ」

エリ「遺言?」

マキ「貴女の考え方、傲慢よ。それと、私もね」

エリ「ふぅん、やっぱ気が合うのね」

137: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:53:47.21 ID:QjbTf5ue
凛「ことりちゃん、花陽ちゃんは確保したよ」

花陽「に、にこちゃんの、治療を……」

希「いや、まだ“ニコニー”や……」

ニコニー「くそっ……触らないでっ!触らないでっ!!」

海未「貴女は、どうしてこんな事を……」

凛「海未ちゃん、今はそれより治療を……」

ニコニー「良いのよ……私に喋らせなさい!!マキ!!」

ツバサ「……貴女確か、医者でもあったわね」

マキ「そーよ。一旦釈放」

エレナ「それは出来ないな。このまま治療しろ」

あんじゅ「Dr.ニシングストンは外科の分野も一流って聞いたわよ?」

マキ「まぁ、出来ないことはないわよ?」

エリ「ちょっろ」

138: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:54:11.22 ID:QjbTf5ue
マキ「さて…あぁ、酷いわね。目玉にぶっ刺さったというよりは目尻の横を貫通か……このまま処置するわよ」

ニコニー「頼むわ…さて、良いかしら」

海未「聞かせて下さい、何故貴女たちはこんなことを……?」

ニコニー「そうね……全部話してあげるわ。まずね……この国はインチキよ」

139: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:54:48.84 ID:QjbTf5ue
ニコニー「そんな顔して見ないでよ…黙って聞きなさい。
それでね…そう、価値観の多様化?新しい生き方の可能性?だからどうしたのよ。元から恵まれた人間が、二つも三つも何かを出来るようになっただけじゃない」

ニコニー「その分、そこの一枠を必死に掴もうとした人が敗北者と呼ばれることになるのよ」

ニコニー「そのせいで私たちは、何かを選択することに慎重に、いいえ臆病にならざるを得ない。
この学校で、職場で、このキャラで生きることは正しいのか、こう言われたら、こう返せばいいのか、社会は私たちが何者であるか規定してくれない」

ニコニー「私たちは、私たち自身を何者であるか決断しなければならない」

ニコニー「一見良いことのように聞こえるわよね?でもそうかしら。そのせいで誰しも“正解”がわからなくなってしまったのよ」

140: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:56:31.83 ID:QjbTf5ue
ニコニー「“悩み、考える事”が大事?それもどうかしら。そんなの、向き不向きがあるじゃない。自分で考えて、そうして泥沼にはまっていく。そんな人の方が多いんじゃ無いかしら」

ニコニー「そうして悩みぬいた結果、例えばある若者たちは新しく信じるものを求め、虚像の神に、発泡スチロールのシヴァ神に、世界の終わりに、テロリズムにその身を投じたんでしょう?」

ニコニー「それにもかかわらず、国はそんな若者たちを産んだ責任を取れなかった…プライドや先入観の為に事件の解決を送らせ、被害者は増えた」

ニコニー「先入観!笑っちゃうわよね。価値観の多様化が産んだ犯罪は、滞った価値観に縛られた人間のせいで野に徘徊し続けた」

ニコニー「だから私はあの男を撃つ事にした。あの男に責任を取ってもらう事にした」

海未「でも、失敗した」

141: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:57:08.70 ID:QjbTf5ue
ニコニー「そうよ。だけど、それでまた、貴女達、警察の無能さは顕になった、そうでしょう?」

凛「そんなことっ!」

ニコニー「私にとって、共に実行するメンバーは割と、誰だって良かった。この社会に不満と疑問さえ持っていれば」

ニコニー「だけど“ファースト”と、花陽、貴女“フォース”が居たことは警察の、この国の暴力装置の欠陥具合を良く示してくれた」

ニコニー「事件が起きた直後、まず警察が疑ったのは教団だった」

海未「それはっ!」

ニコニー「まぁ、それは当然ね。わかるわよ。だけど貴女たちはその後、教団の犯行と半ば断定した後“ファースト”の自首を受けたわね」

ニコニー「教団の仕業と決めてかかった事件の最初の容疑者は確かに教団信者でもあった…しかし同時に現役の警察官でもあった…驚いたでしょうね」

142: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:57:36.43 ID:QjbTf5ue
ニコニー「そして貴女方は、彼の自白、“警察の汚点”を隠蔽した。そして、あくまで教団の犯行に拘り“フォース”に辿り着いた。“フォース”小泉花陽は教団の信者…夢にまで見た“教団犯行説”を立証する事ができるかと思われた」

ニコニー「だけどいくら彼女の身辺を捜査しても事件への決定的な関与は出てこない」

希「それが狙いだったんやね。1度“教団犯行説”への希望を見せ、無我夢中で“警察内部の汚点”をかき消そうとする」

希「それでも花陽ちゃんの事件への関与は見えてこない….警察は“ファースト”の自白、“警察内部にまで広がる教団信者、そしてそんな人間による警察庁長官狙撃”その事件像を信じざるを得なくなってくる」

ニコニー「そうよ。実際そうだったでしょ?」

143: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:58:06.69 ID:QjbTf5ue
海未「……それを打ち消す為、私達はにこを花陽の元へ送りました。“95年オフ”の参加者でありながら花陽同様事件への関与が見えてこないにこを接触させることで何かボロを出さないか」

凛「だけど結果は…穂乃果ちゃんはにこちゃんたちの事を報告するどころか、逃亡の手助けまでした」

希「穂乃果ちゃんの、ことりちゃんへの気持ち…ウチはそこまで引きずってるとは思っとらんかった、そこはウチらのミス」

ニコニー「無様ね。結局貴女達は、誰も救えなかった。“矢澤にこ”という何も知らない女の子の顔に、永遠に残る傷をつけた」

海未「……!!」

144: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:58:39.10 ID:QjbTf5ue
ニコニー「結局貴女たちは、そんだけやって核を1つ止めることしかできないのよ」

ニコニー「うっ…っっ…てか、ほんとに痛いわね…」

マキ「そんな心配するほどじゃないわよ。まあ確かに、傷は残るかもしれないわ」

ニコニー「可哀想に…にこちゃん、お嫁に行けないかもね」

ことり「顔の傷1つでガタガタ言うような家なんか、行っちゃダメ」

海未「……ごめんなさい」

ニコニー「バカ、誰に謝ってんのよ。私は“矢澤にこ”じゃないのよ。それに……あんたが正しいと思う事をしたなら、それを貫きなさい。あたしみたいにね」

145: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:59:07.18 ID:QjbTf5ue
ツバサ「………さぁ、後は別の場所で話を聞くわ。ヘリに乗って」

エレナ「………」グイッ

マキ「ちょっと……そんなことされなくったって動くわよ」

凛「花陽ちゃん、ことりちゃん、さぁ……ニコニー?も……」

海未「……………」

希「海未ちゃん」

海未「希…………」

希「さっきニコニー“フィフス”が言った通りや。海未ちゃんは自分の選んだ道を、採った方法を、悔やんでる暇はない。だから…行こう」

海未「………そうですね」

ツバサ「あ、最後に聞かせてくれるかしら」

ニコニー「?」

146: 輝きたい名無しさん 2018/12/17(月) 23:59:43.24 ID:QjbTf5ue
ツバサ「貴女や、南ことりは“セカイの終わり”を恐れ、“世界の終わり”を起こそうとしたのよね?それって何なの…?一体何が違うの?」

ニコニー「“世界”はわかるでしょ。目に見える世界、客観的な全世界よ。目に見える崩壊よ。ちょうど地下鉄でその狼煙が上がったような」

ことり「“セカイ”はあくまで自分を中心とした“全て”。家族、友達、バイト先…自分の生活圏内の、“私”を構成する“セカイ”」

ことり「周囲が“私”を承認する事で…周囲が“私”を認識する事で“私”は初めて存在できる。“eye”と“愛”無しに私、“I”の“セカイ”は存在できないの」

ことり「それが私には耐えられなかった…援交して、教団に入っても本当の“愛”は実感できなかった。“セカイ”は不安定なままだった。だから、“世界”を破壊することにした」

ことり「ふふ…めちゃくちゃな論理だと思う?」

147: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:00:09.62 ID:XOpPwBzo
希「いや…わかるよ。それはつまり、教団と同じやろ?」

希「自己実現を求めて真理を信じ、“セカイ”の再構築をしようとした教団も、あの教祖も、結局は犯罪や選挙という“世界”に手を出した…」

ことり「その帰結が1995年3月20日の丸の内…“セカイの終わり”を恐れた“世界”の破壊。“セカイの終わり”。“アイ無きセカイ”」

ツバサ「それで、核…世界の中心で愛を叫んだけもの、ね。“アイ無きセカイ”…“Loveless World”か」

148: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:01:16.89 ID:XOpPwBzo
-----東京-千代田区-永田町-上空-MH6 リトルバード機内

マキ「あそこに撃ち込んだら面白かったわね………」フフッ

ツバサ「まだそんなこと言ってるの…まぁ良いわ、どうせ一生こんなとこ来れないんだから」

マキ「どうかしらね…私、自分で言うのもなんだけど世界最高レベルの天才よ?利用価値、凄いわよ?個人で核、開発してるんだけど?」

エレナ「良く言うな…まぁ、わかるが…」

ツバサ「ねぇ、“95年オフ”のメンバーとはいつ繋がったの?」

マキ「あぁ…2月頃よ。その“95年オフ”があったのが1月。そこであの人たち、長官暗殺を計画したのよね」

マキ「あの計画、結構雑だったのよね。そんで結局失敗したんだけど…ただ、それはある程度彼女も予想してて、2次計画として今回の核発射が発案、纏められたのよ」

エレナ「そこで“ファースト”や“フォース”ら同じ教団関係者であるお前に協力を依頼したんだな」

149: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:02:03.87 ID:XOpPwBzo
マキ「そういうこと…“フィフス”ニコニーは彼女たちから教団が外国人と協力して核開発に手を出してること自体は知っていたからね」

あんじゅ「南ことりは?どの時点でその計画に携わったの?」

マキ「彼女も“ファースト”と“フォース”花陽が教団施設で。私達は計画の首謀者である“フィフス”ニコニーをあの場所まで連れていかなくてはいけなかった」

ツバサ「つまり主人格である“サード”矢澤にこを?」

マキ「そういうこと…でも本来“フィフス”ニコニーは“サード”矢澤にこを守るために現れた人格。彼女を計画に加担させる訳にはいかなかった」

エレナ「それでこんな、複雑な計画を……」

マキ「正直“フィフス”ニコニーはどうかしてるわよ。こんな計画、あそこまで予定通りに行くとはまさか思わなかった……“フィフス”ニコニーの読みは天才的だったわ」

150: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:02:50.15 ID:XOpPwBzo
エレナ「しかし、結局失敗したんだろう?」

マキ「……何よ、冷めるわねぇ…貴女友達居ないでしょ」

エレナ「…………」

ツバサ「……私たちは友達よ、一応。ねぇ?」

あんじゅ「あー…そうね。私たちは」

マキ「心配しないで、私も居ないから…そうよ。確かに失敗した。“フィフス”ニコニーは読み切れなかったのよ、あの“矢”だけは」

ツバサ「日本の昔の、あれ思い出したわよ。何だっけ、ゲンペー合戦、Battle of YASIMAのさ…エレナが言ってたじゃない」

エレナ「あぁ、屋島の戦いの、那須与一の奥義当てだろう?絶対外せない的を見事射る…実際、園田海未もその逸話を意識してたりするんじゃないか?好きそうだろう、そういうの」

あんじゅ「あー、何かめちゃくちゃ意識してそう」

マキ「屋島の戦い……ふふっ…ヤシマ作戦じゃない。何よそれ…じゃああの弓矢がポジトロンライフル?ふざけた話じゃない……ふふ」

151: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:03:47.26 ID:XOpPwBzo
ツバサ「何笑ってるのよ……どうしたの?」

マキ「別にー。というか、いつ着くのよ。向こうに」

エレナ「横田基地には戻らんで良いだろう?ツバサ、お前次第だが……」

ツバサ「良いわよ別に…あんじゅ、お願い」

あんじゅ「ええー、じゃあもうこのまま大西洋渡っちゃうわよ?基地には後で連絡入れときましょう…」

ビュオォォォォッッ…………バリバリバリバリ…………

152: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:04:36.74 ID:XOpPwBzo
-----同-アグスタウェストランド AW139機内

ことり「!?穂乃果ちゃん!」

希「お、来てたんやね」

凛「ここから教団施設まで、8キロはあるよ…?歩いてきたの?まさか…車は、ことりちゃんたちが乗ってきてたんだよね?」

海未「希…彼女は、何なのですか?…言っていましたよね?東京でも…教祖が信者達に見せていた“手品”が“彼女なら本当に出来る”と………」

穂乃果「そのままだよ。私は世界で唯一“本物の”超能力者。でもダメなの。私は昔、ことりちゃんを救ったつもりで、守ったつもりでいた。でもそれは間違いで、ことりちゃんは結局“世界”を壊そうとしてしまった」

ことり「それは違うよ、穂乃果ちゃん。私はちゃんと、救われていたよ」

希「それはウチも保証する。花陽ちゃんも、穂乃果ちゃんに救われたはずやよ」

花陽「あ…そ、そうです!」

穂乃果「何…?どういう事?」

153: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:05:10.67 ID:XOpPwBzo
ことり「私は全く“洗脳”されなかった。あの男の超能力を、一切信用しなかった。なんで、それができたと思う?」

穂乃果「え……」

ことり「穂乃果ちゃんの“本物の超能力”を見てたからだよ。私は彼のアレを見た時“あー、こんなもんか”って思ったもの。“穂乃果ちゃんなら、100倍凄いことが出来るじゃん”って」

花陽「私の洗脳が溶けたのもそう。穂乃果ちゃんに“本物”を見せられたから」

穂乃果「確かに私も取材してる時、こう思った。それは、嘘くさいとか、手品だとかじゃなくて……『こんなものなら、私もできる』ってね」」

希「今回のような場合、脱洗脳(デプログラミング)の1番の手法は“カリスマをカリスマではなくす事”…」

希「教団を率い、神格化された彼と同じ、いや、それ以上のことを一般人が、しかも穂乃果ちゃんのようなおっちょこちょいでぐうたらな人間がいとも簡単に成し遂げてしまう……」

希「幻想は一瞬で崩壊するんや。もちろん、その後のケアも継続して行わんと完璧には行かんけどな」

154: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:05:43.57 ID:XOpPwBzo
穂乃果「希ちゃんは、そういう意図があって私を…?」

希「まぁね。皆忘れてるかもしれんけど、ウチ、洗脳の専門家として協力してるわけやし」

穂乃果「そっか…私、役に立ってたんだ」

ニコニー「良かったじゃない。立派に“キャッチャー”でいられたじゃない」

希「あ…起きてたんだ」

ニコニー「痛くて寝れたもんじゃないわよ…それに私、消されるでしょ?」

海未「まぁ、時間はかかるでしょうけど……」

穂乃果「“キャッチャー”…ライ麦畑のキャッチャー。弱い、私はイノセントな存在を守りたかった」

ことり「援交までした私が“イノセント”か….」

穂乃果「“イノセント”ってそういうことじゃないんだよ。ニコニー、貴女も触発されたんでしょ?“ライ麦畑”にさ」

ニコニー「まぁ、そうね。私、“ニコニー”も“矢澤にこ”も」

155: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:06:15.35 ID:XOpPwBzo
二コニー「にこちゃんは“耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた”のよ。そうすれば、誰とも無益なばからしい会話をしなくてすむからね”」

海未「それでにこは…」

希「でも、二コニーはそうはしなかった」

二コニー「そう。あの物語を読んだ後…人は2つのパターンに別れる。まずは、社会から目を瞑り、耳を塞ぎ、口を噤んで生きること。にこちゃんはそうして、部屋に閉じこもった」

凛「2つ目は、貴女みたいに……?」

二コニー「そう。間違った社会から身を隠すのではなく、排除しようするの」

海未「貴女は…その時生まれたのですか?」

二コニー「ううん、二コニーが現れたのはライ麦畑を読む少し前…にこちゃんが1番辛かった時…中学を出て、働いて、少しして体を壊してしまった、あの絶望の瞬間」
二コニー「私はあの可哀想な女の子の為に、辛い事を全て肩代わりしてあげることにしたのよ。職場の人間関係も、社会に対する報復も」

ニコニー「そして私は、絶対にあの子私の存在を気取られたくはなかった……でもまぁ、そういう訳にもいかなかったわね、結構周到な計画だったんだけど………

ニコニー「それとも、にこちゃんにもう、私は要らないってことなのかしらね………やっぱり“変化”は止められないのね」

ニコニー「21世紀は、来ちゃうんでしょうね。ずっと何も変わらなければ良いのに……」

ニコニー「少し寝るわ、おやすみ。にこちゃんによろしく」

ことり「おやすみ、ニコニー」

ビュオォッゥォォォォ…………バリバリバリバリ……………

156: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:07:01.72 ID:XOpPwBzo
-----30分後-東京-南千住警察署-特別捜査本部

海未「希は?穂乃果を送っていって、そのまま帰りましたか……?」

凛「いや、まだあっちの部屋にいると思うよ。色々考え事があるみたいだし。希ちゃんには今回色々頼んでるしにゃ」

凛「考え事なら…凛にもあるけど」

海未「そうですね…凛は何を?」

凛「例えば凛にとって“セカイの終わり”ってなんだろうとか」

海未「“セカイの終わり”……“愛無きセカイ”ですか…」

凛「“I”無きセカイ…それはそうだよね、“自分”が無ければ、“セカイ”もまた存在しないでしょ?」

海未「“愛”ではなく、“I”の話ですね。それもそうだと思います」

凛「海未ちゃんは“愛”の話をしていたんだね、確かに“愛”が無ければ誰も生きていこうとは思わないし、セカイを続けようとは思わないだろうね」

海未「2つの“アイ”はイコールとも言えるでしょうね。自らへの“愛”が無ければ“I”を保とうとは思わないでしょうから」

凛「“I”が無ければ、他者もまた無いし、また他者への“愛”も存在しえず、セカイは終わってしまうにゃ」

157: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:07:30.57 ID:XOpPwBzo
海未「そういうことです…さて、抽象的な小難しい話はここで終わりにしましょうか。私たちには、まだやるべき事が沢山あります」

凛「取り調べ、聞き込み、書類作り、逮捕尾行拘留捜査……凛たちはここから更に、“正義”を守るために戦えるのかにゃ」

海未「果たして我々が正義なのか、教団は悪なのか。もうこの時代、何かを二元論的に真っ二つにすることなど出来ません」

海未「多様な価値観が、多様な正義と悪が放流され、私たちは情報の海に放り込まれています」

海未「“フィフス”ニコニーが言った通り、何が正しいのか、判断することは難しい。共同体や慣習は、もう何かを決定させる能力を持ちません」

凛「凛たちがかつて、正義論を戦わせた過去を嘲笑うかのように、何かを信じることは難しくなってるにゃ」

海未「私たちは膨大な正義の選択肢から、警察という正義を選択しました。それが間違いだというリスクを負いながらも…」

158: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:08:06.25 ID:XOpPwBzo
凛「仕方ないよ。何かを選択しなければ、死んでしまうもの。失敗を恐れて引きこもっていたら、そのまま……」

海未「それを避ける為、かつてニコニーと4人の仲間は、暗殺という正義を選択しました。私たちが警察という正義を選んだように」

海未「さて凛…警察という正義を選んだ私達は、何と戦えばいいのでしょうか?」

凛「え……そりゃ、犯罪とか……」

海未「それもそうですね、しかし…すみません、これは意地悪な質問だったかもしれません」

海未「何かを選択したものの義務……それはその選択肢が間違っていないと証明し、信じ続けることです。私たちが戦うのは、凛、世間の正義であったり、隣人の正義であったりします」

海未「世間は例えば、教祖の子供たちを大学に入れるなと叫び、多くはそれを容認する」

海未「しかし、警察という法の番人である私たちはそれを正義だとは認めはしない」

凛「時に凛達は….“空気”と戦うことになるかもしれないって事?」

凛「世間と……他人の“eye”と戦うことに?」

海未「そうですね…しかし、それを消すことは出来ません。“I”は単独では存在出来ませんから。外からの“eye”が観察する事で、“I”は初めて成立する」

凛「“eye”無きセカイもまた、終わりに繋がるんだね。そしてその“eye”と、時には戦うことに?」

海未「えぇ、そうです。出来ますか?そう簡単なことではありませんよ」

凛「……出来るよ。凛はもう、選択したんだ。もう、迷ってはいられない」

海未「……そうですか。では、行きましょう」

159: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:08:46.53 ID:XOpPwBzo
-----------事件後、園田海未・星空凛は上層部に事のあらましを全て報告。

公安部の圧力、米露との関係への不安視、その他諸々を考慮し警察は、狙撃事件に加え今騒動をも隠蔽。

2週間後、園田海未・星空凛の両名は解雇処分・及び期限不透明の公安の監視下に置かれる事となる。

160: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:09:14.19 ID:XOpPwBzo
----------1996年10月25日、マスコミ各社に「(狙撃事件の)犯人は警察官」とする告発文書が郵送。“ファースト”の存在が世間に明るみになる。
同・11月、小泉花陽・南ことり両名は秘密裏に不起訴処分とされる。

---------1996年末、マキシーヌ・ニシングストン、コロラド州・ロッキー山脈にある国内最厳重警備を誇る刑務所「ADXフローレンス」に移送。

--------1997年4月1日、消費税増税実施。同・7月19日『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』公開。

161: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:10:15.94 ID:XOpPwBzo
-------1998年2月7日、長野オリンピック開幕。同月15日、高坂穂乃果が事件記録を出版、ベストセラーに。
尚、長官狙撃事件・特に96年核発射未遂騒動については出版社及び高坂本人・家族への圧力を受けて該当箇所を削除した。

------1999年12月3日、事件を受けて「団体規制法」及び「破産特別法」が成立。

-----1999年12月25日、南ことり失踪。同・31日、世田谷一家殺害事件発生。
予言されていた「世紀末のハルマゲドン」なんて、来なかった。

162: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:10:51.45 ID:XOpPwBzo
----1999年10月28日、元・教団施設の所在地であった村に建設されたテーマパークが経営破綻により閉鎖。廃墟となる。

--------2000年4月16日、矢澤にこ、東條希によるカウンセリングが終了。解離性人格障害の症状は見られず、“ニコニー”消滅する。

-------2000年7月、ロシアにて教祖の奪還計画・対日テロが計画される。

------2000年11月7日、アメリカ大統領選においてジョージ・W・ブッシュが当選。

----

---

--

-

163: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:11:53.45 ID:XOpPwBzo
----

---

--

-
-----核発射騒動から5年後-2000年12月31日-23時55分15秒-山梨-西八代郡-元・教団施設周辺-現・テーマパーク跡地-廃墟

「なーんでウチら、こんなとこに集まってるんやろうね」

「さぁ……そうしなければならないと思った。少なくとも私と凛はそうです」

「穂乃果ちゃんも、そうなんでしょ?」

「“あの子”がどこに消えちゃったのか、ここに来ればわかるような気がして」

「まだ拘ってるの?ほんとに日本人は……」

「私が言うのも何だけど、あなた達3人、何ではるばるここに来たのよ」

「ロシアから来て良く言うにゃ」

「“セカイの終わり”も“世界の終わり”も来なかった。“22世紀はちゃんと来る。もちろん21世紀はくる。ハルマゲドンなんてないんだから”って事を、ここで確かめないといけない。私はそう思うんです」

「私には、全てはわからない。話は後から聞いたものばかり。ただ、この傷を触ると、何かが、私には大事な何かが…….」

「彼女は“イノセント”ではなかったかもしれないけど“今”を変えたく無いということだけは確かだった。私たちはみんな一緒だった。何かが怖くて、どうしようもなく、何かが…………」

「だけどそれでも、セカイは止まらないから。朝陽が昇るのを止められないように」

「セカイ自体を、世界自体を、変えるというのは?」

「それはみんな、失敗したでしょう?“彼女”すらも」

「……………………………………」

「あ……………」

「あと5秒………」

「ことり…21世紀が、始まるわ」

西暦 2001 年 1月1日 0時0分 新世紀、始まる。

164: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:12:44.58 ID:XOpPwBzo
これに終わりです。「Loveless World」の勝手な解釈をしてしまいました。読んでくれた人、ありがとう。

165: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:17:14.19 ID:SLHYr1aV
乙です
こういうの好き
面白かった

169: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:23:42.75 ID:EQuHyE9P
核好きだなこの>>1
前作と世界観繋がってるのは分かったけど
ツバサたち捜査官にもモデルいるの?

171: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:28:08.55 ID:XOpPwBzo
>>169
メタルギアシリーズ好きなんで…
いや、ツバサ達には居ないですね。
ただ、穂乃果の援交少女たちへの葛藤は宮台真司さんという社会学者の方の、希のポジションや脱洗脳の方法とかは苫米地英人さんという方をモデルにしてます。

175: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:32:06.18 ID:EQuHyE9P
>>171
フィクションの中で核が最大の脅威として扱われていた20世紀ポリティカルアクションへの愛着を感じる
メタギア4ノベライズした伊藤計劃も同じこと言ってたような記憶

176: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:33:42.19 ID:XOpPwBzo
>>175
2000年生まれの癖に、90年代好きなんですよ。
伊藤計劃さんもやっぱり好きな作家さんです。

173: 輝きたい名無しさん 2018/12/18(火) 00:29:55.20 ID:VR/8QRZi
一気読みしてしまった
すごい

引用元:http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1545052698/








注目記事
関連記事
2018/12/18 10:00 | SS | コメント(0)

この記事のコメント

コメントの投稿


プロフィール

よしまる

Author:よしまる

最新記事
「ガンジーも助走つけて殴るレベル」のラブライブ!版 Jun 26, 2019
【SS】梨子「同人誌を描きましょう」花丸「うん!」【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 26, 2019
監督が富野由悠季のラブライブ!にありがちなこと Jun 26, 2019
ラブライブ!屈指のラブソングといえば?wwwww Jun 26, 2019
【画像】電撃G's magazine 8月号表紙の高海千歌ちゃんwwwww【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 25, 2019
【朗報】「ラブライブ!シリーズ9週連続無料配信!!!!!!!!!」&「ラブライブ!The School Idol Movie」見放題配信の実施が決定! Jun 25, 2019
Aqoursキャストさんってうっかり相手のことを本名で呼んだりしないのかな?【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 25, 2019
喧嘩させてみたいAqours声優【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 25, 2019
曜「うるさいンだよお前」グググ 梨子「カハッ....」【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 25, 2019
【朗報】声優・逢田梨香子さんのデビューCDめちゃくちゃ売れる!初動1万4千枚ごえ!!【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jun 25, 2019
検索フォーム
人気ページランキング
アクセスカウンター
逆アクセスランキング
タグクラウド

Aqours μ's SS 画像 逢田梨香子 高海千歌 ラブライブ!サンシャイン!! 渡辺曜 津島善子 黒澤ダイヤ ライブ 黒澤ルビィ 松浦果南 桜内梨子 伊波杏樹 国木田花丸 小林愛香 小原鞠莉 ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 鈴木愛奈 斉藤朱夏 小宮有紗 グッズ ラブライバー 絢瀬絵里 諏訪ななか スクフェス 矢澤にこ 動画 降幡愛 園田海未 星空凛 高坂穂乃果 高槻かなこ 南ことり Saint_Snow 鹿角聖良 声優 小泉花陽 東條希 西木野真姫 鹿角理亞 楠木ともり スクスタ アニメ 管理人の戯言 新田恵海 ぷちぐるラブライブ! 内田彩 グラブル 三森すずこ 田野アサミ 渡辺月 徳井青空 南條愛乃 飯田里穂 楠田亜衣奈 ラジオ 上原歩夢 ニュース 中須かすみ スクフェスAC 佐藤日向 浦ラジ Pile 大西亜玖璃 久保ユリカ 佐倉綾音 久保田未夢 宮下愛 優木せつ菜 朝香果林 荻野由佳 絢瀬亜里沙 ニコ生 天王寺璃奈 近江彼方 桜坂しずく A-RISE エマ・ヴェルデ 雨宮天 水樹奈々 エマ 本田圭佑 高海志満 鞠莉ママ 指出毬亜 高坂雪穂 相良茉優 水瀬いのり 生放送 漫画 高海美渡 鬼頭明里 千歌ママ ことりママ 綺羅ツバサ 金元寿子 優木あんじゅ 統堂英玲奈 黒沢ともよ 松永真穂 理事長 芸能 畑亜貴 ことり母 大橋歩夕 お盆 山本希望 前田佳織里 スクコレ スクパラ 芹澤優 村上奈津実 東山奈央 Aqours_LOCKS! 



アクセスランキング