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【長編SS】海未「soldier game」【ラブライブ!】

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1: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:33:29.27 ID:MDFzRxHW
-------明治37年(1904年) 6月 某所
日露戦争開戦から既に約四ヶ月が経つ。

旅順口閉塞作戦も三次にまで及び、先日は金州・南山を征服。満州軍総司令部が編成されたのは、つい昨日の事である。

それに加え、最後のロシア皇帝位継承者であるアレクセイ・ニコラエヴィチ・ロマノフが誕生したのもまた、この年であった。

----ロシア帝国 首都ペテルブルク 某所

海未「わざわざ時間を作って頂き、感謝します。貴女が社会革命党戦闘団指導者の...?」

【 園田海未 大日本帝国陸軍参謀部直属ヨーロッパ駐在武官:欧州方面特殊工作員:陸軍大佐】

エリ「えぇ。エリよ。党中央委員といっても構わないわ。とにかく私が、この腐った祖国ロシアを変革しようとする女だと言うことさえわかってくれれば。貴女が日本軍の?」

【 エリ(エリーナ・アヤシェニコフ) 社会革命党戦闘団指導者:党中央委員長】

2: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:34:03.33 ID:MDFzRxHW
海未「はい。もうお耳に入ってるかと思いますが」

リン「日本人は卑怯だにゃあ。武力で勝てないからって、リンたちSR(社会革命党)を利用して帝国を引っ掻きまわそうって魂胆かにゃ?」

【 リン (リンナ・ホシゾロスコ) 社会革命党戦闘団:首班戦闘員】

エリ「もうリン、そんな喧嘩腰で...ごめんなさいね?ここって寒いでしょ?私達はアルコールと血の気の量で何とか暖まってるような民族なのよ」

海未「はぁ。そうでしたか」

リン「日本人は冗談が通じないにゃあ」

エリ「うーん。そうみたいね」

海未「(冗談などと悠長な...リン、貴女の言う通り、日本の為、園田道場の為、貴女たち社会革命党にはさっさとこの国を引っ掻き回してもらわなければ困るのですよ...)」

3: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:34:33.51 ID:MDFzRxHW
海未「本題に入らせていただきます。こちらが例の」

エリ「リン、確認」

リン「にゃあ~!こんなに...こんだけあればマキシム機関銃でも買えるにゃ!」

エリ「どうも...ねぇ」

海未「はい?」

エリ「この後、呑んでいかない?工場用アルコールじゃないわよ?」

海未「当たり前でしょう。そんなものは呑めません」

エリ「遊びのわからない人ね」

海未「帝国軍人に洒落は必要ないものですから」

リン「スパイなら洒落っ気がないとダメな時もあると思うにゃあ?海未ちゃん、スパイ向いてないんじゃないかにゃあ」

海未「......1杯だけ付き合いましょう(今は協力関係といえど、何かしらの情報を引き出せるかもしれないですからね)」

エリ「すぐに出させるわ。そこのソファにどうぞ(一応、警備兵を配置しておきましょう。今は協力関係といえど、日本人なんて何をするかわからないわ)リン、ウォッカと〝紅茶に割ったバリザム〟をお願い」

リン「(そういうことにゃ...)今すぐ持ってくるにゃ!」

4: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:35:57.18 ID:MDFzRxHW
エリ「ところで...何を喋ろうかしら。悪いわね?私から誘っておいて。でも生憎あんまり私は話術が達者な方ではないし...スパイの貴女とは違ってね?」

海未「(こうして私の話に持っていくつもりですか...案外強引、いえ、雑な手口ですね。テロリストとはいえ、交渉に関しては素人なのでしょうか?)
私も口数の多い方ではありません。まぁ、貴女のような人間と話すのは多少気が楽ですが。つまり...基本的に身分を明かして話せることなどないですからね。幾分か楽です」

5: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:36:22.26 ID:MDFzRxHW
エリ「さっきリンにも言われていたけど...貴女スパイに向いてないんじゃない?」

海未「元は歩兵連隊に。スカウトでこの仕事に」

エリ「そういうこと...通りで〝一本筋の通った日本軍人〟みたいなのが出てるわね...ありがとう、リン」

リン「お継ぎしますにゃ!...何ジロジロみてるにゃ......?もしかしてレズの方かにゃ?」

海未「いえ、別にそういう訳では」

エリ「軍人さんは良い身体の人間が気になるものよ...リン、貴女の脚だったらどんな軍人でもスカウトを一瞬考えるわ(今の反応...クロね...レズか...それなら...)」

リン「リンは元々陸上選手だったんだにゃ。今はこんな事してるけど、結構有名だったんだよ?国がこんなじゃなきゃあ、来月のセントルイスオリンピックにも出たかったんだけどにゃあ...」

海未「オリンピックですか。あれは私も好きです」

エリ「あら。貴女スポーツなんて興味あるの?」

海未「前回大会でのテニス女子シングルス...女性があんなに輝いていたのは歴史的な出来事です」

エリ「クーパーね...あれには私も感激したわ...」

6: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:36:46.05 ID:MDFzRxHW
ここで海未が言及したのは第2回五輪、パリオリンピックにおいて活躍した世界初の女子金メダリストであるテニスプレイヤー、シャーロット・クーパーのことである。

余談であるが、この7年後に平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」で始まる有名な詩が雑誌「青鞜」に寄稿される。

平塚と園田の実家は交流があったとされており、両者は何らかの形で女性の地位向上への希望を共に深めていたのやもしれない。

7: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:38:09.09 ID:MDFzRxHW
海未「それにしてもこれ...なんと言いましたっけ、紅茶?」

エリ「あら?貴女紅茶飲んだことないの?勿体ないわねぇ。英の紅茶は最高よ」

海未「アヤシェニコフ…貴女、英って...」

エリ「エリでいいわ。紅茶と国とは別よ。例えロシア皇帝が淹れた紅茶だって、美味しければ飲むわ」
海未「貴女は矜恃というものがないのですか...情けない」

8: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:38:34.31 ID:MDFzRxHW
リン「リンに言わせれば、日本人はそーいうのに囚われすぎにゃあ、ダメなものはダメだからダメ、みたいな...頭硬いにゃあ」

エリ「リン!...もう...」

海未「いえ、一理ありますから。それにしても、美味しい...そういえば、友人が日本にいた頃よく飲んでいた覚えがあります」

エリ「へぇ...洒落てるわね?(日本にいた頃の友人が、ではなくて?仲間がいるのかしら)」

海未「同じ軍人です。今はハルビンですが、元気でしょうか...(失言でしたね...とりあえず取り繕いましたが...)」

海未「では、私はこれで失礼します。次はまた...そうですね、1週間後に残りのものを」

エリ「えぇ。楽しみにしてるわ〝同志〟海未くん?」

海未「私は...大日本帝国陸軍軍人です」

エリ「本当...スパイらしくない...」

9: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:39:36.64 ID:MDFzRxHW
リン「エリちゃん、あの女信用できるのかにゃ?リン、なんだか...」

カヨチン「たっ、大変です!!」

【ハナヨ(カヨッサ・コイジュミーノワ) 社会革命党戦闘団:党中央委員書記部長】

リン「あれ?カヨチンいないと思ってたら...どこ行ってたの?」

ハナヨ「ちょ...ちょっと私、あんまり軍人さんとかは、得意じゃないから...でも、何かしなきゃと思って、あの園田海未って人の事調べてたんです...」

リン「カヨチン偉いにゃぁ」

10: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:40:21.69 ID:J3E5TiQd
アヤシェニコフとホシゾロスコの語呂の良さよ

11: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:40:23.06 ID:MDFzRxHW
ハナヨ「そしたら!どうやら私たちにだけ支援をしてる訳じゃないみたいで...日本軍にとって邪魔だと判断した反帝政派革命勢力同士は潰しあわせてたり......同志エリ、日本軍でなくとも、我々を支援してくれる勢力はいるんじゃないのかなぁ...?」

エリ「残念ながら。現状において支援の規模、利益、そして悔しいことに信用性も...私たち社会革命党の支援者として最もベターなのは日本軍よ。ベストとは言えないけどね。でも、私たちとは、活動家とは往々にしてそういうものだと思わない?」

リン「リン馬鹿だからあんままだよくわかってないんだけど...どうして日本軍がリンたちに協力してくれるのかにゃ?」

エリ「貴女は馬鹿じゃないわよ、同志リン。でも、いくら一戦闘員といえどそれくらいはわかっておいた方が良いかもしれないわね。同志ハナヨ、説明を」

ハナヨ「はっはい!そもそも遡ること13年前、今回の戦争について語るにはまず1891年の〝大津事件〟について語らなければなりません...」

エリ「ハナヨ」

リン「カヨチン!」

ハナヨ「はい...?」

エリ「もーっちょっと。短くて、シンプルで良いわ」

リン「リンはこっちのカヨチンも好きにゃー!」

12: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:42:22.78 ID:MDFzRxHW
ハナヨ「そういうことなら...うん。えーっととね、リンちゃん。まず私たちは反帝政の活動家じゃない?
それで、同じくこの帝政ロシアに対抗しているという点では、日本も同じなの」

ハナヨ「だから、帝政ロシアという共通の敵がいる。で、日本はロシア軍と陸や海で戦ってるわけだけど、基本的には外からしか攻められないよね。
でも、私達はロシア国内にいる。中から攻めることが出来るよね」

ハナヨ「だから、日本は私たちに武器や資金をくれて、お返しに私達は革命行動を激化させる。すると帝政ロシアは国内の対応しなくちゃダメになって、外、つまり日本との戦争が疎かになる。
お互いに利害関係が一致してるから、協力できるの。あの人が私たちを選んだのは.,.まぁ、単に1番勢いがあるからなのかな?」

リン「なるほどにゃー、カヨチン流石にゃあ。あれ?エリちゃん何でそんな難しい顔してるの?」

13: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:43:07.36 ID:MDFzRxHW
エリ「どうも引っかかるのよ。どうしてあんなにスパイらしくない子が...?やっぱり、色々聞き出す必要があるわね。日本軍の意向もきちんと把握しておきたいし...」


ハナヨ「だ、大丈夫?最近エリチャンなんだか大変そうだけど...」


エリ「平気よ。ありがとう。皇帝を倒したら、私たちがこの国を引っ張っていくんだから...その時、日本がいずれ敵国になる可能性は十分すぎる程にある。今のうちに知っておくに越したことはないわ」


リン「リンもカヨチンも手伝うにゃ!」


エリ「えぇ、ありがとう。......園田海未、見てなさい、私の本気」

15: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:44:43.21 ID:MDFzRxHW
-----2日後 スウェーデン王国 首都ストックホルム ストックホルム中央駅前


海未「(やはりどうにも慣れませんね、間諜業務というものは私の性質としてはなかなか向かないようです。資質としては、決して出来ないことも無いとは思いますが)」


海未「(それにしても、あのロシア女...一筋縄ではいかなそうです.....,っ!?)」


???「......」ジーッ


海未「(誰かに見られ...いや、つけられている?)」


海未「(〝美鼻〟を使いますか...)」

16: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:45:28.28 ID:MDFzRxHW
美鼻とは、当時日本軍で試験的に実用化されていた訓練済マウスである。

指定の匂いがする方向へ向かう性質を付けさせ、特定の人物や職種の人間を洗い出す目的で運用された。

今回でいえば、ある化学繊維の匂いをガーゼで嗅がせ、それを探索するようにさせられている。

というのも、尾行者等の存在を悟られるのを避けねばならない任務を遂行する軍人は、「衣擦れを抑える素材」というものが使われている服を着ていることがままある。

一般に流通している素材では無い為、今回のような場合は簡単に尾行者の場所が割れることも多い。

17: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:46:35.26 ID:MDFzRxHW
???「...?(ねずみ...?)」

海未「...」

???「!?(いつのまに...!あかん...素知らぬ振りして立ち去ったろ)」

海未「(この歩き方...やはり露探[ロシア諜報員]ですかね...)」

海未「少しよろしいですか?」

???「すまんなぁ、ウチ英語喋られへんのよ」

海未「ではロシア語で。貴女、ここでは何を?」

???「何って、なーんも」

海未「そうですか...」クルッ

???「(一応...!)」サッ

海未「そうだと思いましたよ」チャキッ

18: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:48:08.11 ID:MDFzRxHW
海未「スパイ特有の用心深さが仇になりましたね...?そのまま、ポケットの中で握っているものを出してください」

???「ただのライターやん...そんな目くじらたてるようなもんやないで?
(撃つつもりは無かったんやけどな...園田の言う通り、用心深さが仇になったか...?それとも、これはこれではったりか?まだ園田自身も何か決定的な瞬間をみたわけじゃないし...〝あれ〟のタイミングを狙うか?)」

海未「私も吸おうと思っていたところです。ですが生憎火を切らしていまして。頂きますか?(余裕ですね...仲間でもどこかに居るのでしょうか?)」

???「...スパイとかはよくわからんけど、ウチ、用心深いことは確かなんよ。見ず知らずの相手にライターも貸せん程度にはね...Японский(日本人)のお嬢さん...(あと5秒くらいか...?)」

19: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:48:34.12 ID:MDFzRxHW
海未「そうですか...仕方ありませんね」

ゴーーーーーーーーーッ プシュー

海未「!?(地震ですか!?)」グラッ

???「あんた、来たばかりやろ!この時間この時、ここは向こうの列車の到着で地面が揺れるんよ!」タタッ

海未「!!待ちなさい!」

海未「......」

海未「帰りますか...ことりが待っているでしょうしね」

20: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:50:08.31 ID:MDFzRxHW
-----スウェーデン王国 首都ストックホルム 裏路地

???「はぁ...はぁ...пизда!(畜生!)...орький...(辛い...)」

ニコ「あれ~?ノゾミちゃん、大丈夫~?」

【ニコ(ニコミラ・ヤジャワノーヴァ)ペテルブルク戯曲団:踊り子】

ノゾミ「えぇ?あぁ...ちょーっとばかしな、きついわ。久々にこんな動いたわ...心配かけてすまんな、ニコッチ...」

【ノゾミ (ノゾミリヤ・トジョーホフ)ロシア帝国内務省警察部警備局:通称〝オフラーナ〟欧州方面部長】

ニコ「ふーん、それよりニコぉ、何か甘いもの食べたぁい♪」

ノゾミ「ええやん?何でも奢ってあげるで~」

ノゾミ「......(園田海未、あの身のこなし、並みの諜報員やないね...〝あの子〟にも一回連絡しとこ…)」

ニコ「...............」

21: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:51:41.38 ID:MDFzRxHW
ーーーーー同時刻 同国 同市 駐ロシア公使館大使公邸

海未「今帰りました」

ことり「お疲れ様です、園田大佐♪」

【南ことり 大日本帝国駐ロシア公使館大使公邸付き家政婦:園田陸軍大佐専属使用人】

海未「もう...公務中以外は海未で良いと言っているのに」

ことり「ことりは公務中だもん」

海未「そんな台詞、貴女には似合いませんよ。堅苦しいのは私1人で十分です」

ことり「あれ?海未ちゃん自覚あったんだぁ?」

海未「もう...意地悪言わないでください」

ことり「ごめんごめん...それで...ご飯にしようか?」

22: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:52:02.24 ID:MDFzRxHW
海未「いえ...後にします。とりあえず一旦落ち着きたいです...」

ことり「そう?紅茶淹れようか」

海未「梅昆布茶、もう切れてしまったのですか?(紅茶は、今日はもう...)」

ことり「海未ちゃん飲みすぎ、血税で買ってるんだよ?」

海未「ふむ...すると私は蛭か何かですか」

ことり「そうかもね?じゃ、ちょっと待ってて」

23: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:53:07.97 ID:MDFzRxHW
海未「ふぅ...」

ことり「お茶入ったよー...どうしたの海未ちゃん?凄い疲れてるよ...」

海未「そう見えますか....?」グイッ

ことり「きゃぁ!...もう海未ちゃん...そんないきなり...お茶こぼれちゃうよぉ」

海未「いけませんか?」

ことり「もう...まだメイド服のままだよ...///」

海未「...だからです」

ことり「んっ...ぅ...」

海未「(電気を消すのも、面倒ですね)」

24: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:55:42.90 ID:MDFzRxHW
-----1週間後 ロシア帝国 首都ペテルブルク郊外 某別荘

エリ「来たわね。きっかり1週間後、時間まで同じね。じゃあ、早速話を始めさせて貰おうかしら」

海未「どうぞ。私も仕事の話以外は苦手です」

エリ「報告書に私たちとの事を書くのはまだやめなさい。それが1つ目の条件よ」

海未「何故です?それに...条件を出せるような立場だとお思いで?」

エリ「知らないかもしれないけど、貴女の革命派への接し方は些か評判が悪い。あの日本人は革命戦士を駒のようにしか考えていないとね」

海未「...」

エリ「最大規模の私達の方針は少なからず他の勢力にも影響を及ぼす。貴女が今後も日本の為にこの地で安穏に活動したいなら、多少はこちらのわがままも聞く事ね」

26: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:56:42.07 ID:MDFzRxHW
海未「で、2つ目の条件とは?」

エリ「向こうの部屋へ行きなさい。服を脱いで待っていてくれれば、てっとり早いわ」

海未「...!」

エリ「まさか貴女...全く予期してなかったなんて言わないわよね?」

海未「いえ...もちろん、この為の訓練だってしてあります」

エリ「期待してるわ。じゃ、シャワー浴びてくるから」

海未「あの、私は...」

エリ「?日本人の体臭なんて、無いも同じよ」

海未「(貴女方露助にとってはそうでしょうね...)」

エリ「何か?」

海未「いえ」

海未「(どこか、期待している自分がいることに気づく。ことりがいるというのに。これは仕事、SR(社会革命党)を手っ取り早く動かすには、やはりあの女を満足させるのが最良の手。ことりだってわかってくれます......)」

エリ「(私だって、別に欲求不満でこんな事をする訳じゃない。でも、さっきの園田大佐の顔...ちょっと、ゾクッとしたわね...)」

27: 輝きたい名無しさん 2018/10/30(火) 23:59:26.94 ID:MDFzRxHW
エリ「んっ...ぁっあなたは...一体何者?...っ?」

エリ「日本軍は諜報員不足...!っつ...??」

エリ「ぅん...っんっ///.....貴女みたいなぁっ...嘘の下手そうな女を...?」

海未「さぁ...ぁあっ///っはぁ...さぁ...高坂大将直々のご指名ですから...」

エリ「高坂...?あぁ、あの参謀次長ね...ん...可愛いわよ、海未ぃ...
(あのタカ派女がそんな人事権を...?いくら欧国の後ろ盾があるとはいえ日本がロシアに開戦する選択をした現状...やはり軍部の上はその辺か...)」

海未「エリ...上手いですね...///」

エリ「子供の時は、それで生きてきたのよ…?...経験値が違うわ...」

海未「えっ...それって...」

エリ「あら?珍しいことじゃないわ...この国ではね...」

28: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:00:08.30 ID:yGKP9ZfQ
海未「......(私の同情を誘う為の嘘か?しかし、この人についての情報は詳細が全くわからない...少女娼婦...ありえない話ではありませんね...)...あっ///...」

エリ「...ぅん...あっ..まぁ...帝政が崩れれば時代も変わる...私のような子供もいなくなる.....んん///......ね...」

海未「っぁあっ///...はぁ...はぁ...(一瞬、何も考えられなかった...)」

エリ「...さぁ。紅茶、淹れさせておいたわ、マフィンもあるわよ?」

海未「...どうも(饅頭が良かったですね)」

29: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:00:47.19 ID:B2VPT9ax
ふぅ…

30: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:01:44.48 ID:yGKP9ZfQ
海未「中身、確認して下さい」

エリ「ハナヨ」

ハナヨ「はっはい!えーっと、えー..
.はい!約束通りです!」

エリ「ありがとう。さて、貴女にはもう1つ、言っておかなきゃいけないことがあるのよね」

海未「なんでしょう?」

エリ「私と接触したのを、上に報告するのはまだやめなさい」

海未「何故でしょう?余程の理由がない限り、そんな事は出来ませんが」

エリ「報告するなといっても、2日、いえ1日
だけで構わないの。...ごめんなさいね、狡いカードを切らせてもらうと、私はこの条件が飲めなければ貴女との契約を破るわ」

海未「...構いません、天秤にかければ決まっています」

エリ「どうも。嘘ついても、わかるからね」

海未「えぇ、もちろん。では」

エリ「さて…」

プルルル プルルル プルルル

31: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:03:50.43 ID:yGKP9ZfQ
-----翌日 スウェーデン王国 首都ストックホルム 駐ロシア公使館大使公邸

海未「(駅員、双六の絵描きとも類似せり)」カキカキ
海未「(人間 本当に人間なるは)」カキカキ
海未「(何だかかんだかまともになりしや)」カキカキ
海未「(栗鼠の子といえど、また同じく)」カキカキ
海未「Ms.Lovearrow」カキカキ…

32: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:04:25.56 ID:yGKP9ZfQ
この時園田が使用したのは、いわゆる「ムダ字挿入法」である。この文書で伝達したい事は以下の()で括った部分、すなわち

(え)きいん、(す)ごろくの (え)かきとも (る)いじせり
(に)んげん (ほ)んとうに (ん)げんとは
(な)んだか(か)んだか(ま)ともに(な)りしや
(り)すのこといえど、またおなじく

(えすえるなかまなり→SR仲間なり→SR[社会革命党]と接触、協力関係を結ぶことに成功)

となる。()外の部分が「ムダ字」となるわけだが、この「ムダ字」の量を決定するのが署名、今回であれば「Ms.Lovearrow」のことである。「Ms.Lovearrow」と署名された場合、受け取った側は

『一行目 (1)・4・(1)・4・(1)・4・(1)・4
二行目 (1)・3・(1)・4・(1)・4
三行目(1)・3・(1)・3・(1)・3・(1)・3
四行目(1)・後全てムダ字』

という風に読む。
署名は全5種あり、それぞれムダ字の数が違う。
余談ではあるが園田大佐はこの暗号文のムダ字で詩作をするという趣味があり、
受け取り手であった高坂参謀次長はのちに
「たまに全く意味不明で、日本語である以上単語は読めるのだがその連関がわからない。実に気持ちの悪い覚えがした」と回想している。

33: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:05:57.17 ID:yGKP9ZfQ
海未「(本来なら「SR指導者アヤシェニコフと接触」というような箇所をいれるのですが...仕方ありませんね......)そうだ、ことり。ラジオ、つけていただけますか?」

ことり「あ、はーい」ポチッ

ラジオ「…さて、次のニュースです。モスクワ動物園に何者かが侵入。カワウソのピーちゃん(生後4ヶ月)が盗まれました。動物園は…」

ことり「平和だねぇ~こんなご時世に…」

海未「…さて、行きますか...」

ことり「あれ?お出かけ?」

海未「はい。少し出てきます」

ことり「わかりました。行ってらっしゃい」

35: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:06:59.34 ID:yGKP9ZfQ
-----同時刻 同国 同市 郊外

ノゾミ「ええやんかぁ、もうちょい一緒にいようやぁ」

ニコ「ごめんねぇ♡ニコ、これから踊りの練習なのぉ」

ノゾミ「あかんかぁ…ま、良いで。お小遣い持ってきや」

ニコ「ありがとー🎶じゃあね!」タッタッタッ

ギィー ッ バタン

ノゾミ「ふぅ…ウチも真面目に仕事するかな…そうそう〝あの子〟にもきちんと連絡しとかんとなぁ」

プルルルルルル プルルルルルル

36: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:07:57.54 ID:yGKP9ZfQ
----20分後 ストックホルム中央駅ホーム

ニコ「さて…」

アナウンス「まもなく、セーデルマンランド方面の列車が参ります…」

ニコ「来たわね…」

37: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:10:26.46 ID:yGKP9ZfQ
-----2時間後 スウェーデン王国中東部セーデルマンランド県 エスキルストゥーナ市某所

海未「良くやりましたね…貴女、カワウソって…」

ニコ「あんたがやれって言ったんでしょう!?あたしだってカワウソなんていらないわよ!!」

海未「自分の戯曲団に爆破予告をするとかで良いと言ったでしょう。カワウソは冗談ですよ。おかげで合図かどうか悩みました」

ニコ「戯曲団に爆破予告なんてできないに決まってるでしょ、あたしの大切な仲間に怖い思いなんてさせられないわよ!」

海未「まぁいいです。接触は出来ましたか?」

ニコ「えぇ…完璧よ。あたしの事、ただの踊り子としか思っていないわ。あのバカ巨乳」

【ニコ(ニコミラ・ヤジャワノーヴァ)ペテルブルク戯曲団:踊り子………改め大日本帝国陸軍参謀部 雇われ現地工作員】

38: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:11:08.14 ID:yGKP9ZfQ
ニコ「それよりほら、早く寄越しなさいよ」

海未「せっかちですね…ほら、どうぞ」

ニコ「どーも、これであの子達の学費が出せるわ」

海未「ほら、あなたの番ですよ」

ニコ「そうねぇ…どうも、あんたの事見張ってるみたいよ?」

海未「それなら心当たりが…顔は隠していたのでわかりませんが。何日か前、ストックホルムに?」

ニコ「えぇ……会ったの?」

海未「おそらく。大した相手じゃありません。あなたの仕事も楽でしょうよ」

ニコ「同感よ。ほんとあいつは…ろくでもないわね」

海未「彼女、私がSR(社会革命党)と接触した事は知っているのでしょうか?」

ニコ「知らないと思うわよ。あいつの報告書にもそんな事一切書いてなかったし。『 最近誰かと会ってるっぽいんよなぁ』とか、あたしがいる所でボヤいてたりはするけど」

海未「(ロシア秘密警察…本当にとんでもなく無能な人物を雇っているのですね…)他には?」

ニコ「そうねぇ…?」

39: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:11:57.55 ID:yGKP9ZfQ
海未「(その後ニコから色々な情報を聞き出した。私を見張っている女はノゾミという愛称で呼ばれていて、本名はノゾミリヤ・トジョーホフという事。
ロシア帝国秘密警察オフラーナの欧州方面部長である事。
私の監視以外は何か仕事をしているようには見えない事。
基本的にダラダラ電話をしている事が多いこと...とにかく、だらし無い人間だった。
日本軍にいれば徹底的に叩き直されるタイプだろうと思った、その他色々な事を聞いて、私はニコに別れを告げた。)」

海未「じゃあニコ、これからも頼みますね?」

ニコ「はいはい。あんな無能とはいえ、あんた見張られてるんだから気をつけなさいよ?」

40: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:14:11.18 ID:yGKP9ZfQ
----スウェーデン王国 ストックホルム 駐ロシア公使館大使公邸

プルルル プルルル プルルル

ことり ガチャ 「はい、もしもし?」

???「あー、私はあのぉ、ミス・ラブアローの友人だが...君はもしや、南さんかな?」

ことり「(この名前を知ってるってことは、海未ちゃんの仲間かな?)はい」

???「ほほぅ...あんなぁ、ミス・ラブアローな。何かパツキンロシアのちゃんねーとイチャコラしてるやでぇ」

ことり「は?」

???「いやぁ、ひっどいもんやでぇ。君という欧州美女にも負けんほどの美貌の女がいてなお、更に他の女に手ぇ出すんやからなぁ」

ことり「...あの人の仕事には、そういう事をしなければ成せない事もあります」

???「ひぇー!気丈やなぁ、ウチやったら辛いなぁ。そういうこと、今までもあったんか?認めてたんか?」

ことり「仕方ないですから。大義の為には、私一人の愛など」

???「3歩下がってって奴かぁ...ウチには真似出来んなぁ!あんたは凄い!ホンマに凄いでぇー」

ことり「...切ります。何かお伝えすることがあるのなら手短にお願いします」

???「ちょいちょい、もうちょっと話そうやぁ、しかしなぁ、公務のためならなぁんで報告書には無いんやろなぁ?」

ことり「そういった報告は全て詳細になされているはずです。適当な事を仰って後悔するのはあなたですよ...」

???「そんなん言うなら見てみればええやん?(さて、どうだ?)」

ことり「確認するまでもありません。それに、私にそんな権利もありませんから」

???「(これは...こいつやっぱり文書の場所知ってんのやなぁ...?)あっそ...ま、気になったら見てみぃや...用事はそんだけ、ほななぁ」ガチャン

ことり「...ダメだよね、そんな事したら」

ことり「うん。私は海未ちゃんを信用する」

41: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:16:45.93 ID:yGKP9ZfQ
ガチャ

ことり「あっ...おかえりなさい!」

海未「ただいま。お掃除に夕飯の支度、ご苦労様です」

ことり「海未ちゃんこそご苦労様!.........ところで...(ちょっと、聞いてみるだけ)」

海未「どうかしましたか?」

ことり「うん...あのぉ、今日とか昨日はどんな人と会ったの?」

海未「...珍しいですね、貴女が私の仕事に興味を示すなど。しかし仕事は仕事。例え貴女といえど、言う訳にはいきません(報告書にすら書いていないのですからね...)」

ことり「...そっか、そうだよね?(これでいい。海未ちゃん、何も言わなくて良いよ。これで私、嫌な女じゃなくて済む)」

海未「そんな顔しないでください...男性ですよ?前のように、貴女を悲しませるような事は任務に支障のない限りなるべく避けたいと思っていますしね(何故私はこんな言い訳めいたことを...言わなくても良いことを、つい...)」

ことり「そう?そうなんだ...ちょっと安心かも(今の表情、他の誰にもわからないかもしれない、でも私にはわかる...海未ちゃんがどんな凄いスパイでどんな技術を持っていても、海未ちゃんの事は世界中のどんなプロよりわかる...でも、今の顔...)」

海未「シャワーを浴びます。上着を掛けておいて頂けますか?」

ことり「うん、貸して?」

海未「お願いします」

42: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:19:30.09 ID:yGKP9ZfQ
ことり「何も言わなくてよかったのに...そしたら何も無かったのに...」

ことり「!...この香水、男の人じゃないよ...」

〝〝...あんなぁ、ミス・ラブアローな。何かパツキンロシアのちゃんねーとイチャコラしてるやでぇ〟〟

ことり「っ!」

〝〝ちょいちょい、もうちょっと話そうやぁ、しかしなぁ、公務のためならなぁんで報告書には無いんやろなぁ?〟〟

ことり「...知らないよ、わかんないよ...」

〝〝そんなん言うなら見てみればええやん?〟〟
〝〝確認するまでもありません。それに、私にそんな権利もありませんから 〟〟

ことり「やっぱり無理だよ...でも...」

〝〝好きですよ、ことり〟〟
〝〝私を裏切るんですか...?〟〟

ことり「(そんなわけない...ありえない!)」

〝〝そうですよね、そうですよ。誰かもわからないような...そんな胡散臭い電話なんて信用できませんよ〟〟

ことり「(そう、そう...海未ちゃんの言う通り)」

43: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:20:04.89 ID:yGKP9ZfQ
〝〝じゃあさ〟〟

ことり「...」

〝〝もっかい嗅いでみたら、ええやんか〟〟

ことり「...」

〝〝さっき海未ちゃんの表情、思い出したらええやんか〟〟

ことり「......」

〝〝それはウチがつけた匂いでも、ウチが見せた幻でもない。あんたの信じる海未ちゃんの、偽りない事実やん?〟〟

ことり「...やめてよ」

〝〝ほら、もっかい〟〟

ことり「...」

ことり「知らない匂い。良い匂い。綺麗な人の、匂いがする」

ことり「...」ガチャガチャ

ことり「............」ペラッ ペラッ
ことり「............」ペラッ ペラッペラッペラッ
ことり「............」ペラッ ペラッ ペラッ ペラペラペラ

ことり「......無い」

ことり「......なーんも、書いてない」

〝〝ほーら、言ったやん?〟〟

プルルル プルルル プルルル

ことり「......電話」

ことり「...」ガチャ

???「ほーら、言ったやん?」

44: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:21:33.49 ID:yGKP9ZfQ
ことり「...私...私、海未ちゃんから直接聞くまで、何も信じませんから」

???「口では...そう言うといたら?...また連絡するわ。ほなな。ウチ、他んとこにも連絡せんとあかんから」ガチャン

ことり「ぅっ...グスッ...ぅう...何で...何で...」


海未「ことり!どうしたのです!」

ことり「ぁっ...海未ちゃん...うぅ...うっ...うわぁぁぁん」

海未「ことり!ことり!しっかりしてください!」

45: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:22:57.90 ID:yGKP9ZfQ
-----スウェーデン王国 首都ストックホルム某所

ガチャ ツー ツー ツー

ノゾミ「はぁ…人の事追い詰めるって本当ストレス溜まるなぁ…」

ノゾミ「でもまあ、ウチが一番得意なのってそこやし?」

ノゾミ「もうニコっちは園田大佐と会ったやろな…?」

ノゾミ「2人とも、本当単純やんなぁ。可愛いわぁ」

ノゾミ「あの二人だけやない、皆ウチをタダ飯喰らいとか言って馬鹿にするけど…」

ノゾミ「ふふ…無能が欧州方面部長なんか、任せられるわけないやろ?」

ロシア帝国警察部警備局欧州方面部長、ノゾミリヤ・トジョーホフは間違いなく歴代最高の秘密警察官であった。
ただし、それは資質や能力に関してという事であって、人格的問題は多々あったことも認めざるを得ない。
女や酒に極度に弱く、時に自己制御が効かないといった並の秘密警察官であれば有無を言わさず不採用になる弱点を持っていたのは事実である。
では何故、彼女が今現在この仕事につけているか?それは一重に、繰り返すようだが…彼女の並外れた能力ゆえである。
彼女はモスクワ大学を首席で卒業後、公務員試験を受け、これまた首席で合格を果たす。
それも〝その年の一位〟という意味ではない。試験はじまって以来〝歴代最高得点〟という意味である。
ノゾミリヤ・トジョーホフにはある種魔術的な、本人曰く「スピリチュアルな」能力があったとも言われている。
詳細は不明だが、同時期に活動しロシア帝国を陰から支配したと言われる怪僧、グレゴリー・ラスプーチンと同様の能力が見受けられた為、彼女の事を「ラスプーチンと皇后アレクサンドラの不義の子」とまことしやかに噂する者もいた。

ノゾミ「さて、〝あの子〟に電話かけますか…」

46: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:27:21.98 ID:yGKP9ZfQ
-----同国 同市 駐ロシア公使館公邸

海未「落ち着きましたか?」

ことり「うん…ごめんね?」

海未「いえ…それにしても、どうしたのですか?私、何か…」

ことり「海未ちゃんのせいじゃないの。私が悪くて……何かね、不安になっちゃったの。ことり、ずっとここに1人で働いてるでしょ?日本人もことりしかいないし、ことりはここの言葉、ほんとに基本的なこと以外はよく分からないから、すごい孤独なの。
何かね、寂しくなっちゃったの。
ごめんね、海未ちゃん。せっかくお仕事頑張って帰ってきたのに、ことりのことでも疲れさせちゃって」

海未「……私はことりがここで待っててくれるから、外で仕事が出来るんです。貴女あっての私です。そんな事…言わないで下さい(そう、本当です)」

ことり「ほんと?(そう思ってくれてるよね。ほんとに思ってくれてるよね)」

海未「えぇ(ことり。私を信じて…いや、いや、違うか、違うのか)」

ことり「ありがとう、海未ちゃん」

海未「ことり、愛していますよ(あぁ、私が、私をもう、信じられないんだ)」

ことり「海未ちゃん…私も…(海未ちゃん、信じてる…そう。私は、知らない人の語る真実より、好きな人の嘘を信じるの。ダメなの?それじゃ幸せになれないの?)」

海未「ことり…久しぶりに…(私はこんな事で、何かが変わると思っているのだろうか)」

ことり「うん…///(もう、どうでもいいの。海未ちゃんが裏切る事と、私が信じること。そこに、なんにも関連性は無い。私は、信じたいものを信じるの)」

海未「…電気、消してきますね」

ことり「…………うん」

47: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:28:10.63 ID:yGKP9ZfQ
・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

ことり「……ブーツ、履かせてよ」

海未「…はい」ジーーッ パチッ パチッ パチッ

ことり「(海未ちゃんが私の足元に跪いて、ブーツを履かせてくれている。
私はいつも、した後疲れて動けなくなっちゃうから。
ジッパーを上げて、止め金を丁寧にしめる。海未ちゃんの髪が少し、膝にかかる。
牡丹一花の香りがする。
今日はすこし、別の匂いが混じっている。だからどうしたの?私は、何も気にしない)」

海未「(ことりが私を見ているのがわかる。いつもことりは、少し笑みを浮かべて私かブーツを履かせるのを見ている。
でも、何故か今日は、どんな顔をしてるのかわからない。
それよりも、私は今どんな顔をしているのだろう。
わからない。顔を上げられない。
ことりが私の髪を持ち上げ、少し触ってから無造作に手を離す。髪が香る。洗髪料の、牡丹一花の香りだ。洋名は、アネモネと云うらしい)」

48: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:28:56.03 ID:yGKP9ZfQ
プルルルルルル プルルルルルル

ことり「出るね」

海未「はい」

???「やっほー?さっきウチ、本題を言い忘れてたんよねぇ。いやぁ、うっかりうっかり」

ことり「………」

???「あんな、Ms.Lovearrow、ちゅうか園田大佐の机ん中に、書類があるやん。高坂次長やらへの。日本への報告書とか諸々。それを複製作って持ち出して欲しいんよ」

ことり「……私」

???「うん、何?」

ことり「絶対、海未ちゃんの事信じますから。貴女なんて、知りません」

???「ほー」

ことり「私が、守りますから」

???「あーっそ。どうなっても知らんからね」ガチャン ツーツーツー

海未「誰でしたか?」

ことり「迷惑電話。昼から来てて、うるさかったの」

海未「そうですか...(そんな雰囲気でもないですが、今は何も言う気になれませんね…)」

ことり「…………」

海未「………ことり、明日も出掛けます」

ことり「うん♪頑張ってね(うん♪頑張ってね)」

海未「………あ」

ことり「どうしたの?(どうしたの?)」

海未「いえ。
(エリを思い出した。正確には、エリとことりを比べた。エリに会いたい、早く明日になれば良い。もう、罪悪感すら薄れてきた。今のうちに、精一杯自分を嫌っておこう)」

50: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:31:36.33 ID:yGKP9ZfQ
-----翌日

ことり「行ってらっしゃい(行ってらっしゃい)」

海未「えぇ、行ってきます……そうだ、ことり。今日日本から私宛の小包が届くらしいのです。情報の保全上、直接渡したいらしく、この手紙に場所が書いてあるそうなので、お願いできますか?」

ことり「はい♪(はい♪)」


-----20分後 ストックホルム 駐ロシア公使館

ことり「(そろそろ行こうかな)」

ことり「(ここ、どこなんだろ。もしかしたら久しぶりに日本人に会えるかもな)」


---ーー1時間後 手紙に指定されていた場所

ことり「どこ?ここ?(どこ?ここ?)」

???「…………」ドカッ

ことり「うっ…………」

???「………………よっと……軽っ」

ことり「………………」

52: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:33:07.67 ID:yGKP9ZfQ
-----ロシア帝国 首都ペテルブルク 某別荘

エリ「何か疲れてるわね」

海未「えぇ…少し」

ハナヨ「あの、お茶淹れましょうか?」

海未「あれ…貴女は?」

ハナヨ「あ…初めまして、カヨッサ・コイジュミーノワです…エリさんにはハナヨって呼ばれてます…」

海未「ハナヨ…良いと思います。日本語の名前によく似ていて、私にとっては親しみやすいですね(花代…いえ、花陽でしょうかね?漢字を当てるのならば)」

ハナヨ「じゃあ、是非ハナヨでお願いします…」

海未「えぇ、そうさせていただきます」

ハナヨ「あの…園田大佐?もし宜しければ、白米なんかもあるんですけど…」

海未「!?白米ですか!?このロシアに!?ええええ!!!!」

海未「食べたい!!食べたい食べたい!!」

エリ「………」
ハナヨ「………」
海未「!!……///」

リン「ちょっとアホなんじゃないかにゃー」

海未「…………///」

エリ「……………」

ハナヨ「……………持ってきます、白米」

55: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:35:37.70 ID:yGKP9ZfQ
-----キッチン

ハナヨ「えぇっと、お米ね、お米(園田大佐、愉快な人だったなぁ)」

ガタガタッ

ハナヨ「??」

ハナヨ「ネズミ………??」

ここは社会革命党の秘密基地の1つである。
当時の社会革命党は分散しており、党員は少人数で固まっていた。
その各拠点はログハウスのような小屋であることが多く、ネズミやゴキブリといった害獣・害虫は頻繁に現れたものである。

ハナヨ「あっやっぱネズミ!うわっあわわっ…だっダレカタスケテェエエエ!!」

エリリン「「チョットマッテテー」」

海未「!?ちょ、チョットマッテテー!」

リン「行ってくるにゃ」

エリ「はい。行ってらっしゃい」

56: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:36:31.42 ID:yGKP9ZfQ
エリ「さて…やっと2人になれたわね……」

海未「誤解を生むような言い方はしないで頂けますか?私達はあくまで協力関係、同じ目的を持つ仲間」

エリ「同志……よ、貴女の論旨を汲むならね」

海未「事実はそうではないと?(あっ…やばい)」

エリ「本気で聞いてるの?(ねぇ…震えてるわよ)」

海未「……さて、今日貴女方に提供させて頂くのはこちらです……っ!?」ビクッ

エリ「何?」

海未「何って……離してくれますか?」

エリ「続き。何持ってきてくれたのよ」

海未「……///…こんな体勢で話せるわけないでしょう……,」

エリ「あ、そ。じゃあ来て」

海未「……え?」

エリ「落ち着かないんでしょ?そもそもここってリビングだし…応接間、あるから。お茶もそっちに持ってこさせるわ」

海未「あ…はい」

58: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:38:31.24 ID:yGKP9ZfQ
-----応接間???

海未「えっ………」

エリ「ね?」

海未「ここは応接間じゃ…っあっ……」ドサッ

エリ「ウソよ。馬鹿」

海未「ぁっ……んぅ…ぇぅ…………んんぅ///」

エリ「それに………応接間よ…ある意味では。(私の応接って、大抵ベッドの上だし)」

海未「エリィ………///」

エリ「ほら、海未……触れたくなったでしょ?」

海未「…………はい///」

エリ「それが、恋なの」

ァアッ …… ンッ…ッァアッ………

59: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:39:01.81 ID:B2VPT9ax
ふぅ…

60: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:40:08.17 ID:yGKP9ZfQ
-----キッチン

ハナヨ「あ…エリさん、いつにも増して激しいね」

リン「最近ストレス溜まってたみたいだしにゃあ…でも、ストレス解消にああいう事すると、中毒みたいになっちゃうらしいにゃ」

ハナヨ「もしかして、エリさんはそこを狙ってるのかもしれないね」

リン「え、自分から中毒になりたいの?」

ハナヨ「いや、そうじゃなくて園田大佐の方。エリさん、あの人から日本軍の情報を得ておきたいんでしょ?」

リン「そう言ってたにゃ。他国の情報はいくらあっても足りない、例え協力相手でもって」

ハナヨ「やっぱり軍人さんってストレス溜まる仕事じゃない?園田大佐なんて真面目そうだし更にね…多分、エリさんはそこを突いて園田大佐を落としたんじゃないのかなぁ」

リン「それで、好きなふりしてイチャイチャしたり、お茶飲んだり…エリちゃんも悪いやつにゃあ…っていうか羨ましいにゃあ」

61: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:40:57.05 ID:yGKP9ZfQ
ハナヨ「そういうの、軍隊では『soldier game』っていうらしいよ」

リン「兵士のお遊び?」

ハナヨ「まぁ、そんな感じかなぁ…スパイとかって、特に女性スパイはハニートラップとかをかけることも多いでしょ?
そうするとその過程で美味しいもの食べたり、可愛がってもらったり、映画や歌劇を見に行くことだってザラにあるじゃない」

リン「まぁ、仕事なんだから仕方ないにゃ。でも命かかってる場合が大半だし、そんな楽しめないんじゃないかにゃ?」

ハナヨ「まぁね…でもみんながみんなそう納得は出来ないみたい。公費で娯楽や嗜好に耽ってるーってことで、任務の過程で恋愛感情を利用するのを『soldier game』って言って揶揄するんだよ」

リン「ふーん、でもエリちゃんは…」

ハナヨ「うん、まぁあれは楽しんでるね」

62: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:42:46.26 ID:yGKP9ZfQ
-----キッチンの隣 ベッドルーム

エリ「ねぇ………貴女こんなことしてていいの?ふふ……仲間が命をかけてるっていうのに………っん」

海未「………これもっ……仕事です……///」

エリ「まだそんな事……いい加減にっ………」

海未「っ~~!……ちょっと!エリっ!
///」

エリ「あら?痛かった??……ごめんね??……高坂参謀次長も、まさか貴女がこんなことしてるとは思わないでしょうねぇ?………その間に日本はどうなっちゃうのかしら??」

海未「………次に陥落させるのは旅順でしょうね…っぁ……間違いないです」

エリ「あら……そう……確かに、でもその前に
あそこでしょうね?……旅順の手前……」

海未「…………すごいですね…その通り、我々はその手前、遼東中部で一戦仕掛けようっぁ……///……もぅ…話してる途中に…」

エリ「へぇ…日本も馬鹿じゃないわ」

63: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:43:38.99 ID:yGKP9ZfQ
当時遼東半島は日本軍が南部の金州・南山を占領。
同じく南部に位置する旅順要塞のロシア兵らは孤立していた。
ロシア帝国陸軍司令クロパトキンは遼東北部に位置する遼陽に全軍を結集させ、
旅順から北上するであろう日本軍を迎え撃つという策を提案したが、一方ロシア極東総督アレクセーエフは、旅順要塞へ援軍を送ることを強く推し、ロシア軍内で意見は二つに割れていた。
日本軍では正式な発表は無かったもののはロシア軍の南下は間違いないと予想されており、この時の海未の発言はそれを受けたものであった。

海未「えぇ……えぇ……大日本帝国陸軍を、あまり舐めないでください」

エリ「ふーん、ま、今はそれより………」

64: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:48:37.80 ID:yGKP9ZfQ
-----

--------

-----------

-----?????? ??????

ことり「……っは!………んっ(狭い……誰かに口を塞がれてる……!)」

???「しーっ。バレちゃうよ」

ことり「(!この声)」

???「やっぱウチ、ことりちゃんに協力してほしくってな。
乱暴な手ぇで悪かったとは思ってるんやけど、もうちょうっと我慢してな。
ウチ、あれから考えたんよ。
やっぱり人が誰かに協力したいって思えるのって、恩返しやんな。
だから今日はことりちゃんに良い事教えてあげよ思ってきたんよ」

ことり「(何言ってるの?この人…全然意味がわからない…怖いよ…怖い…怖いっ!)」ガブッ

???「痛ぁっ!何しとんのやこのアマぁ!!!」ボコォ

ことり「っ゛ゔぁっぁ……(痛い…痛いよぉ………)」

ことり「っ………ぁ………(助けて…痛い痛い痛い……痛い……)」

65: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:49:51.90 ID:yGKP9ZfQ
???「助けてー」

???「誰?」

???「こんな時、いつも助けてくれるのは誰?」

ことり「ぅ……ぅ……(助けて…海未ちゃん)」

???「〝はい、来ましたよ。ことり〟」

???「どう?似てるやろ?」

???「〝貴女の園田海未が、助けに来

ましたよ〟」

???「〝もう、心配いりませんよ〟」

ことり「やめてっ!!!!!」

???「うわっ、急に暴れんでよ…」

66: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:52:35.48 ID:yGKP9ZfQ
ガチャ

???「今更やけど、なんかごめんな」

ことり「…………………なに?」

海未「えっ………」

エリ「ね?」

海未「ここは応接間じゃ…っあっ……」ドサッ

エリ「ウソよ。馬鹿」

ことり「…なに?………なに?(なに……なんなの、なんで)」

???「そりゃ応接間やないやろ。ウチらベッドの下にいるんやで?」

???「〝お待たせしました、ことり〟」

???「ふふ、呼んだら来るもんやなぁ」

海未「ぁっ……んぅ…ぇぅ…………んんぅ///」

???「えっ!園田大佐ってあんな声出すん?やっばいわぁ」

エリ「それに………応接間よ…ある意味では」

ことり「…………………」

海未「エリィ………///」

ことり「…………………」

エリ「ほら、海未……触れたくなったでしょ?」

海未「…………はい///」

エリ「それが、恋なの」

ことり「…………………(ああああああああぁぁぁ)」

ことり「…………………(ああああああああぁぁぁ)」

ことり「…………………(ああああああああぁぁぁ)」

???「ちょいちょい、ことりちゃん」

???「あれあれ。あらあら」

???「ことりちゃん、裏切りやでこれは?な、だから手伝ってくれるよな?復讐しようや、海未ちゃんに。これ、電話番号と送り先な」

ことり「…………………………………(ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ)」

???「ごめんな、ほんと(大声出されてもあれやし、眠らせとこ)」プシュッ

ことり「ぁ」

67: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:54:27.69 ID:yGKP9ZfQ
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ーーーーーーーーーーーーーーー

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー翌朝

エリ「…………ちょっと、もう朝よ。中身はもうリンとハナヨが確認したわ。もう帰っていいわよ」

海未「え!はい………あの……すみません、お見苦しい所をお見せして」

エリ「えぇ、さよなら」

海未「なんか…冷たいですね」ボソッ

エリ「え?何かしら?」

海未「いえ……」

リン「海未ちゃーん!お土産持ってってー!」

ハナヨ「お気をつけて………」

エリ「じゃあね」

海未「はい、では」 

68: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:57:38.99 ID:yGKP9ZfQ
-----同時刻 朝 スウェーデン王国 首都ストックホルム 駐ロシア公使館

ことり「(昨日、どうやってここまで戻ってきたか覚えてない。あの電話の人がここまで運んできたのかな)」

ことり「(そんなことはどうでもいいけど…私、やらなくちゃいけないことがあるんだから)」

ことり「(ここかな………?)」 ガチャガチャガチャ カチャッ

ことり「(これか。結構あるなぁ……でもまぁ、大丈夫か♪)」

ことり「…………………………」カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

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ことり「……………ふぅ(1回休憩。お茶お茶)」

ことり「………………………………」カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

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69: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 00:58:25.86 ID:yGKP9ZfQ
ことり「これで終わり……長かったぁ」

ことり「さてさて」プルルルルルル プルルルルルル

???「あ、はいよぉ?」

ことり「あ、もしもし?私だけど。どうすれば良いの?これ」

???「え…あれ?番号と一緒に、送る住所も書かんかったっけ?」

ことり「え、書いてないよぉ」

???「書いたやろ……ちゃんと見てやぁ」

ことり「書いてないよぉ」

???「書いた書いた。もっかい確認してな(おかしいなぁ…絶対書いたんやけど)」

ことり「書いてないって!!書いてないって言ってるでしょ!!!!書いてないの!!!(書いてない書いてない書いてない書いてない)」

???「な、なんやの……?うん、でも書いてなかったかもしれん、書いてなかったな。ごめんな、ことりちゃん。ウチが悪かったわ」

ことり「そうだよね、海未ちゃん(この人は海未ちゃんでしょうか?)」

???「……へ?」

ことり「海未ちゃん、海未ちゃんが間違えちゃったんだよね(この人は海未ちゃんじゃない)」

???「……そういうこと、あー。うん、そやね」

???「〝私の記憶違いでしたね、ことり。では、今から住所を伝えますので、メモの準備をお願いします〟」

ことり「うん、どうぞ(この人は誰なんだろう。海未ちゃんなのかもしれない。私はこの人の顔を、見たことは無いのだし)」

???「〝ペテルブルク五番街、33-4。今日中にお願いします〟」

ことり「はい!任せてー(やっぱり、この人は海未ちゃんじゃない)」

???「〝では、失礼しますね〟(ったく、あいつも酷い女やわぁ)」ガチャン

ことり「…………………」

ことり「貴女は、海未ちゃんじゃない」

70: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:00:39.19 ID:yGKP9ZfQ
ガチャ

ことり「………あ」

海未「ことり。帰りましたよ」

ことり「……………うん(この人は海未ちゃん。私は、この人が海未ちゃんだと知っている)」

海未「ことり?」

ことり「うん、海未ちゃん。ご飯出来てるよ?」

海未「それなんですが………私、お土産がありまして」

ことり「お土産?」

海未「紅茶です。好きでしょう?(私はこんな事で、何かが許されると思っているのでしょうか)」

ことり「わぁ、嬉しい……!(紅茶だって。海未ちゃんらしくないね……ううん……海未ちゃんは私の為に持ってきてくれたんだね)」

海未「それで…私が、淹れようと思うのです(だから何だ、だから何だ)」

ことり「へぇ…海未ちゃん紅茶なんて淹れられるんだ?(海未ちゃんは紅茶なんて淹れるかな……?ううん、いえ、淹れないよ、淹れないですよ。私は、紅茶なんて淹れません。〝ことり〟)」

海未「ふふ、炊事場に立つのなんて、久々ですね(なぜ?いつもは全て、ことりがやってくれているから。私はことりに、いくら感謝してもし足りないほど助けて貰っているのに)」

ことり「そうだね、私も見たの初めてかなぁ(いえ、私は日本に居る時、時々は
料理をしていましたよ)」

海未「いえ、私は日本にいる時、時々は料理をしていましたよ」

ことり「それはもう聞いた」

海未「え?」

ことり「え?あ、うん、そうだね」

71: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:01:16.17 ID:yGKP9ZfQ
海未「(それから数日、ことりは調子がおかしかった。休養を奨め、なんなら日本へ戻っても構わないと言った。
私は彼女が心配だったのか、それとも罪悪感から少しでも解放されたかったのかはわからない。でも、多分後者だと思う。そして、ある日)」

ことり「あは!海未ちゃん見てみて、こないだ盗まれたカワウソ、帰ってきたって!(おや、本当ですね…)」

海未「え……本当ですか?(ニコ…合図ですよね………)」

アナウンサー「先日モスクワ動物園から盗み出されたカワウソのピーちゃんが、今日未明、飼育員により元の檻にて発見されました。警察は盗難と私有地侵入の疑いで操作を進めています………」

ことり「変なの……ことり、動物園行きたいなぁ(では、明日にでも行きましょうか)」

海未「ことり、私ちょっと出かけてきます」

ことり「うん!(楽しみですね…ことり)」

72: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:04:21.76 ID:yGKP9ZfQ
-----2時間後 スウェーデン王国中東部セーデルマンランド県 エスキルストゥーナ市某所

海未「ニコ………何の用ですか?突然呼び出したりして…というかよく返せましたね、カワウソ」

ニコ「あんたに何とか合図送ろうと思って頑張ったのよ。それより会わせたい人がいて、今日は呼んだの…来なさい」

マキ「どうも」

【マキスティーナ・ニスィキクヴィスト ストックホルム在住 町医者】

ニコ「ノゾミ…あんたを見張ってたあの秘密警察の妻よ」

マキ「貴女に教えないといけないことがあるのよ。園田大佐」

海未「……私に?」

マキ「えぇ。まず聞いて欲しいんだけど、私が今から話すことが、合ってるか教えて」

海未「……えぇ。はい(何なんでしょう)」

73: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:05:29.74 ID:yGKP9ZfQ
マキ「ニコちゃんが言った通り、私はノゾミの妻。まぁ、今は別居中なんだけど…もし400ルーブルくらい貰えるなら、貴女にとって有益な情報を提供するわ」

海未「良いでしょう。ただ、後払いで」

マキ「まぁいいわ…あなた、6月18日、ハンブルグでヒフミョスという人物にも資金を提供したわよね?」

マキ「6月25日、貴女は夜行列車でストックホルムからベルリンへ来て、宿のの階段を上る時に出会った人を覚えてるかしら?
彼はモブリーンという露探(ロシアの諜報員)で、あなたがシリヤクスに会うために来る事を知って待っていたの。
その時に会合の内容を知られたため、銃器購入の一部が失敗したのよ」

マキ「園田大佐が社会革命党に資金を提供していることは秘密警察に知られているの、その前にベルリンの過激派に銃器を融通していることも、それが何キロかということも」

マキ「だから銃器の扱いは気をつけて。そして最後に言っておきたいんだけど……貴女の日本軍への暗号はロシア側に知られているし、報告書も全て読まれているわ」

海未「え………嘘……(落ち着きなさい、私…)」

74: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:07:00.09 ID:yGKP9ZfQ
マキ「本当よ」

海未「証拠は………?」

マキ「………………」カチッ

テープレコーダー『ことり「今日の分を送りまーす、6月3日から6月15日分の報告書とロシア情勢・ストックホルムレポートIIIですね……」
ノゾミ「あ、はーい。いっつもありがとなぁ」ことり「いえいえー、じゃあおやすみなさぁい」』

海未「…………嘘…嘘嘘嘘嘘…ありえません…ことりが…ありえません、それはないですよ、おかしいです」

マキ「この女の人が誰か知らないけど……確かにノゾミに貴女の秘密書類の複製を送っているわ。ここに私が作った複製の複製もある。中身を確認して」

ニコ「……あんた、この女と知り合いなの?」

海未「確かに、これは私の書いたものです(ことり……どうして)」

ニコ「…………まぁいいわ。とにかく私はこうなっちゃった以上、もう危ない橋を渡る気は無い。これまでの代金を頂こうと思ってね」

海未「…………そうですね、後で振り込んでおきます」

ニコ「金持ちのやり方ね。悪いけど、現金以外信用出来ないの。少なくとも、ここで前金として出せるだけは出してもらうわ」

マキ「園田大佐、良ければ少し肩代わりしましょうか……?」

海未「いっいえ!見ず知らずの貴女に、そんな迷惑は……」

ニコ「こういう発想が出てくるお嬢様なのよ。羨ましいわ」ハァ

マキ「ちょっと!嫌味な事言わないでよ!」

ニコ「はいはい……あっそうだ。あんたに、絶対伝えておかなきゃダメなことがあんのよ」

海未「なんですか?」

ニコ「あのね…………」

75: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:09:36.49 ID:yGKP9ZfQ
ーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーロシア帝国 首都ペテルブルク 郊外 社会革命党 潜伏先別荘

バタン!ドタドタドタドタ

チャキッ チャキッ チャキッ チャキッ

リン「何っ!?何なんだにゃ!!!」

ハナヨ「貴方達なんなんですか!!ここ私たちの別荘ですよ!!」

ノゾミ「ふーん、別荘ねぇ」

ノゾミ「リンナ・ホシゾロスコ。
ウクライナ北部の工業都市に生まれ、マルクス主義者の過激派を両親に持つ。

類まれな運動神経からイルクーツク軍管部より女性としては初の推薦入隊を果たすも、

両親の思想傾向から隊内にて苛烈な暴行と加虐を受けた末に精神病棟へ入院除隊。

その後友人であるカヨッサ・コイジュミーノワの勧誘を受け社会革命党戦闘団に加入。

2年前のシピャーギン内務大臣暗殺、及び先日のツビャスフク会堂爆破の実行犯の容疑者」

リン「んな…!!」

ノゾミ「カヨッサ・コイジュミーノワ。
モスクワ大学法学部卒業後、ペテルブルクの帝立図書館にて司書を務めていたが、度重なる検閲と焚書に疑問を感じ、マルクス主義に傾倒。

入党後は農本主義派の代表的な党員となり、中央委員会書記部長を担当する」

ハナヨ「…………!!」

ノゾミ「そしてエリーナ・アヤシェニコフ。

ロシア帝国グロドノの商人の家に生まれ、旅芸人の一座に加わりバレエダンサーとして活躍。

地方を巡業する中多くの革命組織と関わりを持ち、24歳で妹アリョーシャ・アヤシェニコフと共に社会革命党を結成、
要人暗殺のための内部組織、社会革命党戦闘団の指導者兼中央委員長に就任……………という経歴を活かし、
同時にロシア帝国内務省警察部警備局〝オフラーナ〟のエージェント...お疲れさん、エリチ?」

エリ「えぇ……騙してて悪かったわね、リン、ハナヨ?」

リン「嘘!嘘だよね……!!」

ハナヨ「…………嫌だよ、そんなの…」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b)

76: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:13:10.06 ID:yGKP9ZfQ
エリ「お祖母様が愛した我が祖国、大ロシア帝国。この国に忠誠を誓い、永久凍土にその身を埋めるつもりよ。刃を向けるなんて以ての外。さようなら、リン、ハナヨ。地獄で待っているといいわ」

ハナヨ「エリさん!エリさんは騙されてます!貴女が本当にオフラーナのエージェントだとしたら……いえ、そうならば尚この人…ノゾミリヤ・トジョーホフは敵なはずです!!」

エリ「…………?」

リン「そうにゃそうにゃ!この人は妙な術を使って皆を騙してるんだにゃ!
ちょうど今、皇后アレクサンドラを筆頭としたロシア皇帝家を操っている黒幕、ラスプーチンみたいに!」

ハナヨ「この人はラスプーチンの娘なんです!皇帝家を誑かし、上流階級の甘い蜜を吸いつつ国の崩壊を気にも留めない!
親帝政派も反帝政派でもない!いわば我々ロシア人全体の敵、この女はそれなんです!」

77: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:14:39.11 ID:yGKP9ZfQ
ノゾミ「あ ほ く さ」

ノゾミ「根拠も無いのにそないなこと言わんでくれへん?流石にウチも腹が立つわ……」

ハナヨ「根拠ならあります!」

ノゾミ「……」ズドン!

ハナヨ「っあ……」

リン「カヨチン!」

ノゾミ「すまんな、ついカッとなんてしもうた」

エリ「いいのよ(後で調査を入れる必要があるわね………)」

ノゾミ「エリチは優しいね…涙やねぇ……じゃ、とにかくこの2人は連行してくで」

エリ「私も行きましょうか、ノゾミ」

ノゾミ「いや、いかんよ」

エリ「え?」

ノゾミ「もう1人、消さないかん娘がおるやろ………?」

ノゾミ「帝国内の過激派を扇動し、継戦を困難にしようと企む大悪党……帝国の敵が、まだ残ってるよ」

エリ「えぇ……えぇ……そうね。明日には来るはずよ。海未にはまだ、私の正体は?」

ノゾミ「バレてへんと思うで」

エリ「それならいいの、やりやすいわ」

ノゾミ「逆にやりにくいのとちゃう?」

エリ「…………」

ノゾミ「…………ふ、ごめんな」

エリ「帰りなさい」

ノゾミ「そうするわ」

ギィィイ バタン

エリ「…………海未」

78: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:16:56.46 ID:yGKP9ZfQ
-----鉄道内 ストックホルム方面

海未「貴女までわざわざ一緒に来て頂かなくても構わなかったのに。これからきっと、暴力沙汰になります」

マキ「だからこそよ。私は医者」

海未「そうは言っても……なぜ、私にそれほど良くしてくれるのですか?」

マキ「元とは言っても私はノゾミの妻。浮気されて別居して……もうちょっとギャフンと言わせてやりたいのよ。だから何か見つけてやろうと合鍵使って部屋に入って、ニコちゃんに会った」

海未「ニコに……」

マキ「最初は猫かぶってたわよ……あたしが、浮気相手である自分を責めに来たんだと思ったのかしらね。
私はすぐ、貴女を責めにたんじゃない。
合鍵を使って部屋ん中を漁ってやろうと思ってるんだって話してあげたの」

マキ「合鍵って聞いた瞬間、ニコちゃん目の色変わって。突然素に戻って私に協力を求めてきたわ」

マキ「それで見つけたのがさっきの証拠……今度は貴女の番よ。貴女とエリって人、どういう関係だったの?」

海未「私と、エリは…………(私とエリは、何だったんだろう)」

79: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:18:17.40 ID:yGKP9ZfQ
海未「あの……私は、エリの事を愛していました…いえ、多分今も…」

マキ「ふーん。典型的なsoldier gameね」

海未「soldier game?」

マキ「ハニートラップなんかと似てるかもしれないわ。日本語にすると……色仕掛け?何か違うような……」

マキ「スパイが情報入手の過程で対象と恋愛関係を作ると、必然的にイチャついたり美味しいもの食べたり、オペラなんかを見たりすることもあるでしょ?
そういう、任務なんだけど、娯楽が必要になるスパイ方法の事を、軍ではそう言うらしいわ。soldier game…兵士のお遊び。辛いことしかない実戦部隊の僻みね」

海未「エリ……」

マキ「相当重症ね。でも忘れない方が良いわ。貴女は彼女に騙されて日本軍の情報を売っている。早めに殺さないと、いつか死ぬのは貴女よ」

海未「えぇ……わかっています」

マキ「で、ストックホルムについたらどうするの?」

海未「そうですね、まずは……」

80: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:21:57.54 ID:yGKP9ZfQ
ーーーーースウェーデン王国首都ストックホルム 駐ロシア公使館

海未「ことり」

ことり「っぁ...海未ちゃん..,」

海未「お掃除お疲れ様です。ところで、夕食の用意はもう?」

ことり「はい!今日はローストビーフと、ボルシチと...」

海未「言わずとも結構です」

ことり「ご、ごめんなさい...」

海未「...いえ、メニューがなんであろうと、貴女の料理が美味しい事は重々承知していますから」

ことり「海未ちゃん...」

海未「ことり...」

81: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:24:02.10 ID:yGKP9ZfQ
ことり「海未ちゃあん...」

海未「ことり...」

ことり「海未ちゃ 海未「ことり」

海未「ことり」

海未「どうして今日、私の部屋を掃除したのです? 私が貴女に掃除するように頼んだのは火曜だったはずです。
金曜ではなく。ことり、貴女はこの時間、普段から仕事をしているのですか?
いいえ、ことり。ことり、貴女はこの時間、ほかのメイドとメイド室で休憩しているはずですね。
ことり、先週私の部屋の金庫のノブを、誰かが触ったあとがありました。
ことり、私が貴女に掃除をしないでくれと頼んだ場所がいくつかありますね?
そこに金庫は含まれていましたか?はい、含まれていたはずです。
ねぇ、ことり。私はあのノブを回す時、特定の場所しか指を触れないことにしています。そうするとどうなると思います?ことり。
そうですよことり、その場所以外はずっと埃っぽく、汚れが溜まったままでしょうね?
そうするとおかしいですね、ことり。
昨日私が、ノブを回した時、いつもと違う場所の埃が取れていたのです。
そうだことり、知っていますか?
大日本帝国陸軍の暗号文が、私の送った、私に送られた暗号文の内容が、どこかから漏れているそうなのです。
ことり、知ってしますか?ことり」

83: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:24:45.84 ID:yGKP9ZfQ
ことり「.......海未ちゃん」

海未「ことり。 スープに、毒は入っていますか?」

ことり「...ごめんなさい。あはは」

海未「……何がおかしいのです」

ことり「ううん、ごめんね。もう、何にもわかんないや」ズドン

海未「え」

海未「ことり?」

海未「あっあっあ」

海未「ことりが、ことりが死んでしまいました(死ねなんて言ってない 死ねなんて言ってない)」

海未「いえ、ことり。あっ、え。ことり(ごめんなさい、ごめんなさいことり、ごめん、ごめんなさい)」

海未「ことり……ごめんなさい……」

ことり「泣いてる海未ちゃん…やっぱり可愛いなぁ…(私も、園田海未ではありませんね。園田海未は、この娘だけです)」

ことり「そうだね、私……じゃあね、海未ちゃん……」

海未「ことり……ことり…………」

マキ「何してるの……遅い…ってヴぇえ!?」

マキ「…………」ツカツカ

マキ「これは……もうダメね」

海未「…………………」

マキ「行きましょう。決着をつけに行くんでしょ?この〝soldier game〟に」

海未「…………えぇ」

85: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:27:28.63 ID:yGKP9ZfQ
-----ロシア帝国 首都ペテルブルク郊外 元・社会革命党潜伏先別荘

エリ「あら、いらっしゃい」

海未「どうも、エリ」

エリ「座ったら?お茶も淹れるわよ」

海未「リンや、ハナヨは?」

エリ「会合に出てもらってるわ。本来は私が出るものなのだけど、2人にも経験をね」

海未「……2人とも、良い上司を持ちましたね」

エリ「そうね。ねぇ、今日も、するんでしょ…………?(やるしかないのね……)」

海未「えぇまぁ。はい(エリは、私が知っていることを知っているのか………?)」

エリ「なんかつれないわね。可愛くないわ(抱き込めた瞬間、腹に1発……)」

海未「そうでしょうか?(この体勢…ネグリジェ姿のエリには銃を隠せる場所などないはず……いえ、以前エリが持っていた口紅型拳銃なら、あるいは……)」

エリ「そう見えるわね。そうにしか見えない。(やはり、何かを警戒している?それとも……)」

海未「私は元々表情が硬いと、よく言われるものですから(それなら、やはり隙をついて零距離まで接近するしかない……)」

エリ「あら、私といる時はあんなに可愛い顔をするのに……?(単純に、私の事を嫌いに?でも、それなら何故……)」

海未「今日は、銃弾を提供しようと思いまして。それで出来たのですが(あと少し……)」

エリ「そ。じゃあ、今日はそのまま帰るのかしら?(嫌よ……海未、来てよ…)」

海未「どうしましょうかね(エリ……)」

86: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:28:18.68 ID:yGKP9ZfQ
エリ「ねぇ、海未...(来てよ!来なさいよ!)」

海未「.........」

エリ「(何故こないの!?もしかして私の正体を!?なら、じゃあ……!!)」

エリ「(そうじゃない、わたしが不安になるべきは、そこじゃないのに)」

エリ「(海未に、嫌われた?)」

エリ「ねぇ!!」

87: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:29:28.18 ID:yGKP9ZfQ
その瞬間、その一瞬、その叫びに、いくつかの感情にエリは支配された。
今まで成功させて来た必勝法が崩されかけたことの動揺、任務失敗への恐怖。
そしてエリの、1人の女としての感情。
「園田海未」に拒否されることへの絶望と「園田海未」を殺すことへの葛藤。そのどれもが「工作員:エリ・アヤセ」には必要ないもので、そして「軍人:園田海未」はその隙を一切見逃さなかった。

バッ ! ドサッ……… チャキッ

88: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:33:48.39 ID:yGKP9ZfQ
海未「〝理性〟を崩すのが得意なのは、貴女だけでは無い。そういうことです。
貴女は貴女のやり方で。
「女スパイ」が〝理性〟を崩し、“欲望”に従わせるのであれば「女軍人」は“理性”を崩し、“絶望”に陥れる。
私が今、銃口を貴女に向けているのは、そういう理由です」

エリ「少し違うわ。...貴女が思っているのとは」

海未「...?」

エリ「私の“絶望”は死への恐怖でも、任務失敗によるオフラーナからの制裁でもない。
私が貴女を求めてくれなかった...嫌われたんじゃないかって思っちゃったのよ...
子供みたいよね...まるで...“エリーチカ“だった頃の私...そんなことないわよね。
だって海未、私もう貴女の...」

海未「っ...黙りなさいっ!!」パァン パァン パァン

エリ「っづぁあっ!!...日本の銃は、ウサギも痛がらないって...とんだデマね...」

エリ「でも...私も崩せたわ......貴女より上手よ、勝ったわ...やっぱり......」

海未「はぁ...はぁ...くっ」

エリ「だって貴女、泣いてる...」

89: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:36:57.93 ID:yGKP9ZfQ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

海未「...聞いていたんですか?」

マキ「隣で待ってたんだから。することもないのよ?」

海未「盗み聞きなど。帝政ロシア軍人の妻が、はしたない」

マキ「元よ、元。今はただの町医者。それにしても、貴女まで“誇り高きロシア軍人”がーとかなんとか言うわけ?敵国じゃない」

海未「敵である前に、同じ軍人です。少なくとも私は、軍服を着て生きるという道を同じく選んだ彼らを、深い部分では仲間だとすら」

マキ「狂ってるわね。スポーツか何かのように思わないと、人を殺せないものかしら?」

海未「...そうかもしれません。さぁ、貴女には船を用意させました。
今後間違いなくロマノフ家は終わります。
革命後、元と言えどロシア軍人の妻であった貴女が心地の良い国にはならないでしょうから」 

90: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:37:36.38 ID:yGKP9ZfQ
マキ「そうね。ありがとう。それと海未...私、全部聞いてたって言ったわよね」

海未「はい...それがなにか?」

マキ「さっき、見もしたのよ。ドアの間からね」

海未「本当に悪趣味ですよ...だから何なんです?」

マキ「あの人は、海未に勝った、上手だったなんて言ってたけど、嘘。引き分けよ...あの人だって、泣いてたもの...」

海未「...知っています。だってエリは私の...私はエリの...」

91: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:38:23.14 ID:yGKP9ZfQ
マキ「今、わかったわ」






マキ「“soldier game”なんかじゃなかったのね」

92: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:39:54.66 ID:yGKP9ZfQ
約一年弱後、1905年5月27日。日本海海戦が勃発。世界最強と謳われたロシアのヨーロッパ方面主力艦隊、バルチック艦隊が日本の連合艦隊に撃滅される事となる。

同年9月5日。ポーツマス条約締結、日本は関東州の租借権及び、長春・旅順間の鉄道の譲渡、樺太南半の割譲等を得る。日露戦争終結。


園田海未はその後も工作員としての任務を続行。ロシア国内において反戦、反政府運動を煽り、政情不安を画策。ロシアの継戦を困難にし、第一次ロシア革命の勃発を促した陸軍の英雄として讃えられる。
戦後は参謀次長となったのち、第7代台湾総督に就任。次は総理大臣にと周囲から期待されるも、本土への出向中病を患う。
郷里秋葉原へ戻り、数週間後死去。死後、本人の希望通り遺体はロシアの海に沈む。

93: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:40:53.59 ID:yGKP9ZfQ
--------

-----

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94: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:41:34.44 ID:yGKP9ZfQ
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--- -- ----

-------???????

ノゾミ「アヤシェニコフは死亡、私に日本軍の情報を送っていたあの日本人女性も死亡しました」

ノゾミ「ホシゾロスコ、コイジュミーノワは共に秘密警察へ連行。
まぁその後は…いつも通りでしょう。
ニスィキクヴィスト、ヤジャワノーヴァは未だ生存しています。まぁ、放っておいて構わないでしょう」

ノゾミ「やはり今回のMVP…筋書きの中心、センターポジションはやはり園田大佐でしょう」

ノゾミ「彼女のおかげでエリーナ・アヤシェニコフは死亡。
社会革命党という一大勢力が衰退し、同時に秘密警察オフラーナの優秀なエージェントであったやっかいな人間を消せたのですから」

95: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:42:24.82 ID:yGKP9ZfQ
ノゾミ「ロシア帝国、反帝政勢力…両方に仇なす私とては、貴女方という協力者は大変助かりましたよ」

ノゾミ「それにしても貴女方日本人も欲張りですよねぇ………帝政ロシアにはとりあえず弱体化して欲しい、だけど新政府が強力すぎても困るから優秀すぎる人材は消しておきたい……」

ノゾミ「貴女方が望むロシア人は、脳が足らず、妄信的な思想を掲げて国を乱す暴徒のみ……2つの対立する派閥の両方にエリートとして君臨する、彼女のような人間は邪魔という訳ですか…………」

ノゾミ「ま、わかりますが。私としてもあまり協力者が現れにくい立場にいるものですからね」

96: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:42:59.24 ID:yGKP9ZfQ
ノゾミ「帝政ロシアの甘い蜜は吸いたい……でも皇帝一家は邪魔……国内を混乱させ、贅沢がしにくくなる社会主義者の反帝政派はもっと邪魔…お互い、ここで利害が一致して良かったですよね」

ノゾミ「え?私ですか?……まぁ、こういう生まれなものですから、たまにしか会えない父が大好きでして。それに尽きますかね」

ノゾミ「それにしても…コイジュミーノワが私の正体に確信を持っていたのには驚きましたよ…え?あぁはいそうなんです…突然言われましてね。さすが情報通」

ノゾミ「まぁ、間違ってないんですけどね……父のこと………それにしても、びっくりした」

97: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:43:45.76 ID:yGKP9ZfQ
ノゾミ「………じゃあまぁ、貴女方が勝ったら、私にも何か下さいよ?一応協力したんですからね……」

ノゾミ「では、失礼しますよ。〝高坂参謀次長〟」

【ノゾミリヤ・トジョーホフ
ロシア帝国警察部警備局 欧州方面部長の役職に就く。
その正体はロシア帝国の影の支配者、怪僧グレゴリー・ラスプーチンと皇后アレクサンドラの不義の子。
父親の血を継ぎ、本人曰く〝スピリチュアル〟な能力を持つ。
父の野望である「上流階級の甘い蜜を吸いつつ、やがてロシア帝国を滅ぼして皇帝一家に成り代わる」計画に協力し、日本軍スパイ園田海未大佐とロシア帝国秘密警察エージェントエリーナ・アヤシェニコフの諜報合戦を引っ掻き回す】

【高坂穂乃果(本編未登場)
大日本帝国陸軍参謀本部次長。
階級は陸軍大将。海未をスカウトし、ヨーロッパ駐在参謀の任に就かせる。
社会革命党戦闘団の武闘派リーダー、エリーナ・アヤシェニコフが秘密警察オフラーナのメンバーでもあるという情報を入手し、純粋な諜報員としての精鋭ではなく叩き上げの軍人である海未に諜報活動の訓練を施し、特殊工作員として半ば試験的にロシアに送り込む事を決定した。
革命勢力を扇動しロシア帝国内を混乱させ、尚且つロシア帝国崩壊後にあまり強力な国とならないよう、革命勢力内の優秀な人物を今のうちに潰さんと画策する。】

98: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:45:00.83 ID:yGKP9ZfQ
これに終わりです。「soldier game」の物騒な解釈をしてしまいました。読んでくれた人、ありがとう。

99: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:48:45.30 ID:NZyjLTem
とても良かった
パンツ脱いだ甲斐があったわ

100: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 01:50:29.93 ID:yGKP9ZfQ
>>99
ss書くのは初めてなので、エロシーンは難しかったです。でも、自分で興奮したのでokとした。

102: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 06:45:04.22 ID:oygVlaSE
よう書き上げたもんだ……乙

103: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 08:23:09.51 ID:OXpjjeAb
やっぱりハッピーエンドにはならなかったか

104: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 10:49:58.52 ID:1M7JXpJr
メタルギアエンドやな
本格的でおもしろかた

105: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 12:17:55.44 ID:PVd4fpw5
史実と上手く絡めてて読みごたえあって面白かった乙
えりうみのこの悲恋が似合う感じなんだろうな……

107: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 13:28:01.07 ID:YCDMQe/Z
次はゾルゲ事件ならぬスパイソルゲで頼む

108: 輝きたい名無しさん 2018/10/31(水) 17:04:44.38 ID:GFrLp+cv
漢字多すぎぃ!

引用元:http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1540910009/











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