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【SS】彼方「メルヘンカフェへようこそ」1【ラブライブ!虹ヶ咲】

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1: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:08:58.16 ID:RUOgDEbj
かすみ「はぁっ……はぁっ……遅刻しちゃう……」

空が陽に焼け、あたりがオレンジ色に染まる頃

家が等間隔に並んだ住宅街を走る少女が一人。

かすみ「(あの教授は最後の時間の講義だからっていっつも延長して…まったく!後に用事がある人の事も考えてほしいものです!)」

中須かすみ、大学二年生。

彼女の通う大学から電車で一本、徒歩五分。辺りに在るものと言えば、無数の家と、住宅街に住む学生が通う高校、小さなスーパーと商店街。
彼女はこの辺りをまだ片手で数える程しか歩いたことが無い。





彼女の目的地はそんな場所の一角にある、とある一件のカフェ。

【メルヘンカフェ】

2: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:09:42.60 ID:RUOgDEbj
『バイト開始!』


かすみ「遅くなりました! 彼方先輩!」

彼方「お、来たね~。まだ大丈夫、約束の二分前だよ」

かすみ「セーフですか? かすみん、バイト代カットとかされないですか…?」

彼方「そもそもちょっとの遅刻くらいだったらカットする気は無いけど……まあいいや、裏のロッカーに制服用意してあるから。着替えてきてね」

かすみ「は、はい! この前と同じロッカーですか?」

彼方「そうだよ~これからもあそこを使ってね~」

かすみ「分かりました、じゃあかすみん、着替えてきます!」

彼方「はいはい、なるはやでね~」




彼方「なんていったって、今日はバイト初日なんだからね~」

3: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:10:12.05 ID:RUOgDEbj
【着替え後】
彼方「おっ……流石アイドルちゃん、ウチの制服でもバッチリかわいい」

かすみ「……ただの、アイドル志望です。そもそも、彼方先輩だってスクールアイドルだったじゃないですか」

彼方「私がやってたのなんてもう四年くらい前の話だから、今更ねえ……」

彼方「さ、そんなことより早速お仕事覚えよっか、なんて言ったって初アルバイトなんだから!」

かすみ「え、ええ……それはいいんですけど……」

彼方「けど……?」

かすみ「かすみんが入って来てから、お客さん一人も見ないんですけど」





彼方「……ここはもう潰れるかもしれないね~」

かすみ「今年お店出したばっかりって言ってましたよね!?」

4: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:10:38.77 ID:RUOgDEbj
彼方「うそうそ、今たまたま空いてるだけだから」

かすみ「ほんとですか?……かすみんすごく不安なんですけど」

彼方「やってほしいのは配膳とオーダー取りとかなんだけど……今できるのはそうだね……」

彼方「お皿洗い、覚えてもらおうかな?」

かすみ「わかりました! 任せてください!かすみんがピカピカにしちゃいますよ!」

彼方「経験はどう? やったことある…?」

かすみ「い、一応……お家の手伝いくらいは……」

5: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:11:03.89 ID:RUOgDEbj
彼方「と言ってもウチのメインはお菓子とドリンクだから、そんなに頑固な汚れが付く事は無いかな~。ただ、コーヒーだけは念入りにね、匂いが特に強いから」キュッキュッ

かすみ「ふむふむ……」

彼方「ウチは食洗器が無いから……お客さんに出してもいい様にしっかりと、丁寧にね。欠けてたりキズがあったりしたら避けといて彼方ちゃんに伝えてね」

かすみ「きっちり洗って、欠けていたら報告、と……了解しました!」

彼方「それと、シンクは二つあるけど左のを使って洗うとか……そのくらいかな、ま、試しに一つ洗ってみよっか。まず、最初は手を洗うとこからね」

かすみ「は、はい…!」

6: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:11:45.03 ID:RUOgDEbj
かすみ「よいしょっと…………」キュッキュッ

彼方「……」ジーッ

かすみ「(すごい見られてるの……なんか緊張する……)」キュッキュッ

かすみ「ええと……これで、どうでしょう…?」コトッ

彼方「ふんふん……」

かすみ「(めちゃめちゃ見てる……)」

彼方「うん!オッケーぴかぴかだよ~、この感じで、大体お客さんが来る時は波が有るから……空いてる時間でお願いすることと思うかな~」

かすみ「波…ですか?」

彼方「うん、大体三時と六時にお客さんがたくさん来るから……かすみちゃんは大体いつも四時くらいからシフト入れるんだよね…?」

かすみ「そうですね…大学終わってからだと大体そのくらいですね」

彼方「なら、多分入ってまずは溜まってるお皿洗いが最初の仕事になるかな~」

かすみ「来たら最初はお皿洗い……と」カキカキ

彼方「まあ、食器の数的にそんなに急いで洗い物しなくちゃいけない事は起きないから……丁寧にお願いね~」

7: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:13:13.71 ID:RUOgDEbj
彼方「それと……オーダー取りと配膳──お客さんにお菓子とか飲み物をお出しすることなんだけど、それを覚えよっか」

かすみ「おお……なんだかカフェっぽい…!」

彼方「ウチは見た通りワンフロアの小さいスペースで席も両方の指で数えられる程しか無いから…特に大変な事は無いけど……とりあえず、やってみようか。はいこれ、オーダー取る時の伝票だよ~」

かすみ「おー……いつもお店行くと最後に店員さんが机に置いていくやつですね」

彼方「とりあえず彼方ちゃんが一通りやるから、それで覚えてね~」

かすみ「ひー…大丈夫ですかね、かすみんこの調子で仕事内容最後まで覚えられますかね…?」

彼方「ふふっ……お菓子と飲み物は彼方ちゃんがほとんど用意するから、とりあえずこれ押さえたら最初に覚える事は終わりかな~」

8: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:13:49.86 ID:RUOgDEbj
彼方「まず、メニューが決まったらお客さん呼ばれるから、伝票を持って『注文を承ります』」

かすみ「ふんふん……」

彼方「メニューの略し方は後々覚えて貰うとして……注文を一つずつメモする。もし少し聞きそびれたかな?と思ったり、聞こえなかったりしたらもう一回聞くこと。お客さんは優しいからもう一回教えてくれるからね~」

かすみ「メニューを覚えて……書いて……」カキカキ

彼方「後は厨房の裏に貼っておいてくれれば彼方ちゃんがチェックして、お菓子と飲み物出すから……それを持って行ってもらう感じかな~」

かすみ「貼って…っと……かすみん分かります!あとは配膳ですね…!」

彼方「はい、ジュースとケーキ用意しておいたから、これを一番奥のテーブルまで運んでみて」コト

かすみ「任せてください、それくらい楽勝ですよ~!」

彼方「ふふふっ……」

9: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:14:32.06 ID:RUOgDEbj
ライトが反射して表面がキラキラ照っているフルーツタルトに、しっかり冷やされたオレンジジュース。それらが乗った木のお盆を両の手で支える。


かすみ「………ッ」


持ってみると思いの外、難しい。

重心が一定じゃないから、少しでも傾くとグラスが滑って波々と注がれた液体を床にこぼしてしまいそうになる。





かすみ「よっと……ふー……」カタッ

彼方「どうだった~運んでみて?」

かすみ「意外と……特にグラスなんか倒しちゃいそうで怖かったです……」

彼方「でしょー?しばらく働いて疲れてたりすると余計に危ないからね。慣れてない最初のうちは一個ずつ運んでね~」

かすみ「まずは一個ずつ…っと……」

10: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:15:23.64 ID:RUOgDEbj
彼方「メニュー取りにお皿洗い、配膳……しばらくしたら任せることも増えるかもだけど、取り敢えずはこんなところだけど、どう?ちょっとやってみた印象は?」

かすみ「そもそも、彼方先輩がホントにキビキビ働いてるのが…一番驚きました……」

彼方「もー失礼だな~。彼方ちゃんだって成長したんだよー?」

かすみ「それはまあ……」

彼方「さて、まあ今日はこれくらいにしておしまいにしよっか……それにそろそろ……」

かすみ「それに……?」




カラン カラン





彼方「いらっしゃいませー!」

11: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:15:43.49 ID:RUOgDEbj
彼方「ほら、お客さんが来てくれた。後は彼方ちゃんがやるから、今日はかすみちゃんはおしまいだよ~」

かすみ「あ、は、はい…!」

彼方「あ、そうだ。さっきかすみちゃんが運んだジュースとケーキ食べていいからね。それ食べてから帰ってね~」

かすみ「あっ……はい」

12: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:16:01.13 ID:RUOgDEbj
彼方「今日は何にするー?」

「今日はコーヒーにしようかなー」「わたし紅茶―!」「今日のケーキは何がありますかー?」




かすみ「(お客さんは、女子高生が三人。様子見ると常連っぽい…)」

かすみ「(彼方先輩に合うの久しぶりで……このカフェでバイトをしないか連絡が来た時に一度会ったけど、その前となるともう何年も前になるっけ…)」





彼方「今日はフルーツタルトと、いつものショートケーキかな~。もうちょっとしたらもういっこ焼けるけど」

「じゃあ私その焼きたてのやつで!」「うーん……どうしよっかなあ……」





かすみ「(テキパキと私に仕事を教えたり、カフェの中をキビキビと動くその姿は高校の頃とは違う姿で、ちょっとびっくり)」

13: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:16:51.90 ID:RUOgDEbj
かすみ「(……でも)」



彼方「はーい、アメリカンブレンドとアッサム、それとミックスジュースね。ケーキは後から持ってくるからね~」

「ありがとうございまーす」「ねえねえ、そういえば昨日ダイエットするとか言ってなかった?」「あー…それ、やっぱやめた」「なにそれ、三日坊主にもなってないじゃん」

彼方「ふふっ、ごゆっくり~」




かすみ「(ケーキを運ぶ時の楽しそうな顔や、お客さんへ向ける笑顔は……あの頃のと全く変わっていなくて」

かすみ「(それはまるで……」」




かすみ「…………」パクッ

かすみ「あ、おいし……」





かすみ「(このタルトの…優しい甘さみたいです)」

『バイト開始!』おわり

14: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:17:06.56 ID:RUOgDEbj
『同僚は……?』

かすみ「お疲れ様で~す!」

彼方「お、かすみちゃん、今日は余裕持って来たね」

かすみ「もちろんです! パーフェクトアイドルかすみんはいつだって優雅に五分前行動です!」

彼方「うんうん、その調子で優良社員になってね~」

かすみ「いやまあ…社員ではないですけど……」

彼方「後そういえば、かすみちゃんと一緒にバイトする子なんだけど……」





エマ「あ、かすみちゃん! 久しぶり~!」

15: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:17:32.78 ID:RUOgDEbj
かすみ「エマ先輩!?何でここに!?」

彼方「何でも何もかすみちゃんのバイト仲間だよ~」

エマ「えへへ…よろしくね、かすみちゃん」

かすみ「ええ…マジですか……?」

エマ「マジマジの大マジだよ~」

かすみ「……エマ先輩よりなんか変な日本語覚えてないですか…?」

彼方「あと一人、今着替えてる子が居るんだけど……」





璃奈「璃奈ちゃんボード『^_^』」

16: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:18:23.99 ID:RUOgDEbj
かすみ「りな子…!?」

璃奈「かすみちゃん久しぶり、私の合格記念の集まり以来…?」

かすみ「ええと……それくらいだったっけ……じゃなくて!」

エマ「わ~!璃奈ちゃん制服着るとかわいい!お人形さんみたい!」

彼方「ふふふ~、一回り小さいのわざわざ注文したんだよ~」

璃奈「ありがとう、すごくピッタリ」

かすみ「えーっと……突っ込み所はいっぱいなんだけど……まず、ボードどうするの」

璃奈「お仕事中は流石に外しとく、付けて接客は出来ないから…がんばる」

彼方「これで、アルバイトは全員だよ~基本的に、彼方ちゃんと、何人かで回すって感じになるかな~」

かすみ「何で揃いも揃って同僚が知り合いなんですか!」

17: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:18:55.94 ID:RUOgDEbj
璃奈「私は今年から大学生だから、バイトしなきゃと思ってたら連絡貰った」

エマ「私はこれからお勉強忙しくなるからどうしよっかなと思ってたら、彼方ちゃんの所ならシフト融通してくれるって言ってたから」

かすみ「私も連絡貰ったし、完全に彼方先輩が確信犯で集めてるじゃないですか!」

彼方「ふっふっふっ……どう、びっくりした?」

かすみ「まあ、……そこそこビックリしましたけど……」

璃奈「それで、今日は何するの?」

彼方「ああ、今日はお店もう閉めたから……。それで、みんなに一気にまとめて残りのお仕事教えようかなと思って集めたんだ~」

エマ「それって、この前の続き?」

彼方「そうそう、具体的な器物の位置とか、お会計とかも教えないとね」

18: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:19:41.38 ID:RUOgDEbj
彼方「実はレジはちょっと今機械を注文してる最中だから……申し訳ないけど届くまでしばらくは電卓で計算お願いね」

璃奈「任せて、これくらいの計算なら大丈夫」

彼方「メニューの値段だけど……覚えてない最初のうちは注文を取るときにメニュー名だけ書いて、裏でメニュー表見ながら横に値段書いて貰えるかな」

かすみ「伝票ってお客さんに渡すんですか…?」

彼方「そうだね~……値段書いたら、全部配膳し終わる時に一緒に持って行ってね、そうすればお会計の時にお客さんが伝票持ってきてくれるから」

エマ「お掃除は、終わった後だけだっけ?」

彼方「そうだね~終わったと後の掃除、隙間を見つけて時々お皿洗い、それと配膳、会計。それをこなしてくれば彼方ちゃんバッチリ100点あげられちゃうかな~」

璃奈「私、がんばる……なんていったって初バイト、むんっ」

19: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:20:54.75 ID:RUOgDEbj
彼方「それじゃあ、シフト決めよっか。こういうのは顔を突き合わせた方が決めやすいし」

かすみ「あの……初めからこんな事言うの何ですけど……かすみん、これからちょっと不定期で用事できるかもしれなくて……」

彼方「アイドルのオーディション?」

かすみ「なんで分かるんですか…!?ええ…?」

彼方「この前言ってたじゃん、アイドル志望だって。大丈夫、大丈夫。なんで彼方ちゃんがアルバイトを知り合いで固めたと思っているのさ~……彼方ちゃん詳しくないけど、オーディションってたぶん土日が多いよね?」

かすみ「え、ええ……大抵週末です」

彼方「うんうん、このお店は平日のお客さんが割と多いからそっちで入ってくれると嬉しいかな~」

璃奈「私は今のところ、授業に余裕があるから結構出来ると思う」

エマ「私は平日は曜日によってかなぁ……土日はこれから進学に備えて勉強しなきゃだから時々しか入れなさそうだけど……」

彼方「オッケーオッケー、敏腕彼方ちゃんがささっとシフト作っちゃうからね。ちなみに金曜日が一番忙しいから、当たったら覚悟しておいてね~」

20: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:21:25.26 ID:RUOgDEbj
彼方「あともう一個、みんなを集めた理由があるんだけど……これは特に、かすみちゃんに頼みたいんだけど……」

かすみ「なんですか…わざわざかすみんを名指しで…ハッ!まさか!かすみんのかわいさを武器にお客さんを確保するんですか!」

璃奈「まさか、かすみちゃん、冗談キツい」

かすみ「キツいって何!キツいって!」

彼方「いや、そのまさかなんだよね~」

エマ「えっ……」

かすみ「えっ……ってなんですかエマ先輩、その『正気?』みたいな顔は!」

21: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:21:54.72 ID:RUOgDEbj
彼方「一応宣伝と称してこのカフェも一通りSNSやってるんだけど…それに使う写真を撮ろうと思ってね」

璃奈「………」

かすみ「絶句しないで」

彼方「それでね、みんなにケーキと一緒に写って貰いたいんだけど……かすみちゃんはいいと思うけどほら、一応顔とか写ることになるから…どうかな?」

かすみ「なんでかすみんは良いんですか!かすみんにも配慮して下さいよ!」

彼方「だって、アイドル志望でしょう~?露出は多い方がいいと思うし、それに他ならまだしもカフェ店員のイメージならそんなに悪くないと思うけど?」

かすみ「それは…まあ、そうですけど……」

璃奈「私は大丈夫、多分」

エマ「私も、こういうの久しぶりで恥ずかしいけどお店の為になるならいいよ!」

22: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:22:09.92 ID:RUOgDEbj
彼方「はい、じゃあかすみちゃんそのケーキ持ってそこに立ってみて」

かすみ「こうですかー?……よいしょ……はい!いつでもどうぞ♡」

璃奈「………かすみちゃん、自分を前に出しすぎ」

かすみ「アイドルはきちんと自分をアピールしないとダメなの!りな子もやってたから分かるでしょ!」

彼方「今はカフェ店員なんだからケーキに勝たない程度でお願いね~」パシャ

かすみ「しょうがないですね~!ここはお菓子の為に溢れんばかりのかすみんの魅力を抑えめにしてあげます!」

エマ「ふふっ……久しぶりだったけど、かすみちゃんはいつでもかすみちゃんだね」

23: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:22:30.01 ID:RUOgDEbj
彼方「こっちは新作のモンブラン、これは二人に頼もうかな」

璃奈「すごい、モンブランがいっぱい……見ただけでもう美味しそう」

エマ「すごーい…!彼方ちゃんモンブランも作れるの!?」

彼方「正直なところ材料が他にあまり回せないし、栗の処理とかで結構大変なメニューなんだけどね~」

かすみ「じゃあ、どうして新メニューに…?」

彼方「そりゃあもう、モンブランって花形だし人気だもん。それ目当てで来てくれる人も居るから、とりあえず期間限定でやろうかなってね」

璃奈「でも、十何個もある。こんなにたくさん大変そう……」

彼方「そりゃあもう、宣伝塔になって欲しいから迫力重視でいっぱい作っておいたんだよ~。はい二人とも、トレー持って胸の少し上くらいの高さに真っ直ぐ固定して……あ、モンブラン沢山乗ってるから落ちないように気を付けてね」

璃奈「……こう?」グッ

エマ「これくらいかな……?」グッ

彼方「いいよ~そのまま何枚か撮るからね~よーし、次は二人でハートマーク作ってみようか~」パシャパシャ

かすみ「彼方先輩は見ないうちにカメラマンでもやってたんですか……?」

24: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:22:46.30 ID:RUOgDEbj
彼方「よしよし、一杯撮れたよ~」

かすみ「そんなに沢山、写真要るんですか?」

彼方「やっぱり、定期的に宣伝したいけど、その度に同じ写真なのはあんまりよろしくないからね~。だから、何パターンか撮っておいたんだよ~」

エマ「やっぱりこんなに沢山写真撮られることなんてないから…ちょっとドキドキしちゃうね~」

璃奈「わたし、やっぱり全然笑ってない。大丈夫?」

彼方「大丈夫、大丈夫~。だいたい、写真写りなんて大体みんなそんなもんだから」

25: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:23:05.70 ID:RUOgDEbj
彼方「よし、じゃあ……実際のお皿洗った後の片付け方だけ覚えておしまいだから……」

璃奈「気付いたらもう陽が落ちてる、時間が過ぎるのは早い」

彼方「洗うためこのモンブラン食べちゃおっか、久しぶりにみんなで集まった訳だし。モンブランパーティーだよ~」

かすみ「彼方先輩はそれぞれに会ってたんですよね…?」

彼方「まあまあ、細かい事は気にしないで。ほら、従業員には飲み物サービスするから。何がいい?紅茶?コーヒー?」

かすみ「………ミックスジュースで」

彼方「はいうお、二人は?」

璃奈「私はミルクティーがいい」

エマ「私もジュースがいいな!」

彼方「オーケーオーケー、彼方ちゃんがささっと作って来るからね~」

26: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:23:24.51 ID:RUOgDEbj
彼方「はい、ミックスジュース二つとミルクティーだよ~」

エマ「ありがと~!」

彼方「さ、モンブラン食べよ~。彼方ちゃんが腕を振るったからきっとおいしいからね~」

かすみ「はむっ………おいしいです!」モグモグ

璃奈「ほんと、栗の甘さが凝縮されてて、おいしい」

彼方「うん、我ながら良い出来かな。これなら出してもお客さんに出しても平気かな~」

エマ「ボーノだよ!彼方ちゃん!」

27: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:23:46.11 ID:RUOgDEbj
璃奈「彼方さんが飲んでるの、なに?」

彼方「これ?二倍濃度ココア」

エマ「すごい甘い匂い、おいしそう……」

かすみ「なにそれずるい!そんなのメニューになかったですよね!? 」

彼方「ふふっ……店長特権だよ~」

璃奈「いいな、おいしそう……」

彼方「ふふっ…ちょっと飲む? 実はこれまだ試作品でね.調整出来たらメニューに載せるからその時はきちんと作ってあげるよ~」

28: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:24:03.89 ID:RUOgDEbj
エマ「そうだ、どうなの璃奈ちゃん? 大学に行ってみて」

璃奈「なんか…慣れたら高校とそんなに変わらない」

彼方「彼方ちゃん知らないからなあ、詳しく聞かせて~」

璃奈「席が自由だったり違うこともあるけどそれも塾で慣れてたし…ちょこっとだけ拍子抜けした」

かすみ「そんなもんだよ~、大学生なんて」

エマ「高校生の頃って、大学生の事キラキラして見えるけど…なってみるとこんな感じか、ってなるよね~」

彼方「それ、中学生から高校生に上がる時も思ったよ~」

璃奈「わたしもそうだった……人って、そういう物なのかもしれない」

彼方「んくっ……ぷはっ……彼方ちゃん、自分の飲み物取って来るけど、おかわり要る人いる?」

璃奈「あっ……よかったら、ほしい」

かすみ「彼方先輩が飲みほしたそれ、二倍の濃さだったんですよね…?」

彼方「ふふっ……社会人は糖分を使うのだよ~」

29: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:25:33.04 ID:RUOgDEbj
【店の外】

彼方「じゃあまた~。今度からはビシバシ働いてもらうからね~」

エマ「任せて、バッチリ働くよ!」

璃奈「私も、がんばる」

彼方「特にかすみちゃんは法のギリギリまでやってもらうからね~」

かすみ「何でですか!!」

彼方「冗談冗談、じゃあまた今度ね~」

30: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:26:02.95 ID:RUOgDEbj
エマ「いやーでも、かすみちゃん達がバイト先一緒だなんてびっくりしちゃった」

かすみ「いやいやよく言いますよ!、エマ先輩かすみんを初っ端びっくりさせたじゃないですか!」

エマ「私も彼方ちゃんに知らされたのは今日だよ~」

璃奈「私も今日来て初めて知った」

かすみ「完全に彼方先輩が主犯なんですね……」

エマ「まあまあ、でもさ……」

かすみ「でも、なんですか…?」


エマ「お仕事、楽しくなりそうじゃない?」

かすみ「…………まあ、そうかもですね」

エマ「ふふっ…でしょ?」








「そういえば私、かすみちゃんのアイドル志望事情聞きたいな~」「それ私も、この前聞きそびれた」「えーっと、それはまあ、ぼちぼちって感じなんですけど……」


『同僚は……?』おわり

31: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:27:40.62 ID:RUOgDEbj
『店長って……?』

かすみ「彼方先輩、アッサムのミルクティーとフルーツタルト、それぞれ二つです」

彼方「オッケ~、ありがとかすみちゃん。あ、伝票に値段書いたら休憩していいよ~」

かすみ「あ、はい…ありがとうございます」

彼方「エマちゃんも、それ洗ったらお昼休憩入っていいよ~。後は彼方ちゃんが持っていくから」

エマ「あ、うん……ありがとう~」カチャカチャ

彼方「よいしょっと、よーし……じゃあお仕事するかな~」







かすみ「ええと…ミルクティーが350で…っと……」カキカキ

かすみ「(彼方先輩の所で本格的に働き始めて今日で三日目……初めての日曜日…)」

かすみ「(ちょっとお客さんが多いけど、今の所困った事はない。というか、店長も、同僚も全員が知り合いというのは、とても働きやすいんだけど……)」

32: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:30:20.00 ID:RUOgDEbj
彼方「……ふんふんふーん~♪ あ、そうだ…2人もタルト食べる? まかないみたいなもんだけど」コポコポ

かすみ「え、ああ……いただきます」

エマ「やった~!さっき見た時から気になってたんだ~」

彼方「ほいほい……じゃあ、あまりを二つに切っちゃうね~」






エマ「いただきます………はむっ…うーん、しっとり甘くておいしい!」モグモグ

かすみ「…………」ムグムグ



かすみ「(彼方先輩のお菓子はどれも、とびきりおいしい。高校生だった頃にも家庭科で作ったやつを食べたこと有ったけど、その頃よりもずっとおいしい)」

かすみ「(でもそれを食べていると…彼方先輩の身につけた技術を目の当たりにしているみたいで、ちょっとだけ、心の奥に滲む物が……本当にちょびっとだけ…あったり)」

33: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:30:34.42 ID:RUOgDEbj
エマ「かすみちゃん、どうしたの…?」

かすみ「え……な、なんですか? ごめんなさい、かすみんちょっとボーっとしてて」

エマ「いや、こんなおいしいケーキ食べてるのに、かすみちゃんずっと俯いたまんまだし……何かあった?」

かすみ「あったことと言えば……オーディションに落ちた事ですかね…今回は三次審査でした」

エマ「あら……それは……」

かすみ「いや、それはいいんです。一個一個凹んでたら、やっていけないですから。そのこと自体は、かすみん引きずってないんです」

エマ「じゃあ……どうして…?」

34: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:31:01.95 ID:RUOgDEbj
かすみ「彼方先輩って、凄いじゃないですか。私達と歳それ程違わないのにお店持って、お菓子作りはそれこそ売り物に出来るくらいバッチリで」

エマ「そうだね~……本人は相当切り詰めて出店出来たって言ってたけど……それでも、色々な事しないとお店持ってないよね~」

かすみ「かすみんがもし、彼方先輩の歳になった時あんな感じに自分が持てているかって思うと…自信が無くて…」

エマ「ちょっと分かるかも……というか、そんなこと言ったら私なんて現在進行形で彼方ちゃんと同い年だよ~。まだまだふわふわで、彼方ちゃんみたいにピシッと出来てないし」

かすみ「…でも、エマ先輩は今の大学出て更に進学するんですよね?」

エマ「でもぜんぜん、自分の将来なんてまだまだ見通せてないよ~」

35: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:31:18.90 ID:RUOgDEbj
かすみ「アイドルのデビューって、大体23歳位が限度なんです。続けて行って30歳近くまで続ける、って言う人はよくいますけど……デビューとなるとそうはいかないんです」

エマ「…………」

かすみ「かすみん、後2,3年で決めないといけないんです。目に見えないタイムリミットみたいな物が、じわじわと迫って来てるんです」

エマ「それは…怖いね…」

かすみ「……ごめんなさい、こんな辛気臭い話しちゃって」

エマ「ううん、そんなことないよ!」

36: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:33:26.58 ID:RUOgDEbj
カチャ


彼方「どーしたのお二人さん、そんな深刻そうな顔して」

エマ「彼方ちゃん!お店の方は…?」

彼方「最後のお客さんが出たから、午後まで休憩~。といっても、ケーキはもう仕込んであるからあんまりやる事ないけどね~」

エマ「そっか~なら良かった~」

彼方「かすみちゃん、ケーキあんま減って無いけど……今日のケーキ、いまいちだったかな?」

かすみ「いえ!おいしいです!…ほんとに!」

彼方「……?」

37: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:34:04.61 ID:RUOgDEbj
彼方「……なるほどねえ…でもでも、彼方ちゃんなんて全然すごくないよ~」

エマ「いやいや、同い年の私が言うのも何だけど…こんな若いのに自分のお店持ってるってだけで……ね?」

彼方「実家からお仕事通わせて貰ってたらから、貯金が早く溜まっただけだよ~」

エマ「でも、色んな仕事、全部ひとりでこなして経営してるんでしょ…やっぱり、すごいよ!」

彼方「そっか、彼方ちゃんそんな風に見られてたか~…ふふっ、なんか恥ずかしい」

かすみ「かすみん、彼方先輩の歳の頃に、先輩みたいに自分がしっかり出来てるか、不安で」

彼方「うーん、そうだなぁ~……」

38: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:34:45.38 ID:RUOgDEbj
彼方「かすみちゃんはもっと小ずるくなった方がいいと思うなぁ……」

かすみ「ずるく…ですか?」

彼方「そうそう、例えばさ、このお店の天井、コンクリートだよね?」

かすみ「え、ええ……そうですけど…」

彼方「まあこれは工事の予算が無かったんだけど」

かすみ「そんな理由だったんですか……」

彼方「他にもこのお店は居抜きって言って……まあ平たく言えば前あった飲食店の内装を基に作られてるの、まあその代わり、工事費が安いんだけど」

エマ「へえ~…そんな秘密があったんだ」

彼方「そんな感じで色んな所で節約して、やっと立ったのがこのお店。『メルヘンカフェ』なんだ」

39: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:35:07.42 ID:RUOgDEbj
彼方「最初から彼方ちゃんはこういうお店を作ろうと思ってた訳じゃなくてね。自分のペースで働きたいから、自営業がいいな、自分の技術で使えそうなのは料理かな、なら飲食店とかどうかな…調理師免許には実務経験は必要だから資金集めと平行して……ってその都度考えてたら…こうなったの」

かすみ「……」

彼方「まあそんな感じで……目の前のやってる事が間違ってなかったら、その先にきっと繋がるんだと思うんだ」

40: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:35:28.82 ID:RUOgDEbj
彼方「ダンスや歌なんかは普通に働く分には活かし辛いかもしれないけど…スピーチなんかきっとアイドルに役立つと思うし、先にも役に立つと思うな~。あるんじゃない? オーディションで自己アピールなんかがさ」

かすみ「それはまあ、毎回ありますけど…」

彼方「今のは例えばだけど…そんな感じにこの先の自分の道に、ちょっとだけ打算的になって進めば、きっといい結果になると思うな」

エマ「ふふっ……やっぱり、彼方ちゃんはすごいなあ…」

彼方「褒めてもジュースのおかわりしか出ないよ~」

41: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:35:50.66 ID:RUOgDEbj
彼方「このお店だって、ちゃんとやっていけるか分からないから。だから、しっかり考えて、行動しないといけないしね」

彼方「それにね、みんなをここに呼んだのもそういうのが実はちょっとあったんだ~」

かすみ「へ…? どういう事ですか?」

彼方「アルバイトの募集って結構お金かかるんだよ~それに、お金の計算を任せられるってなると……もっと難しいからねえ…」

エマ「色んな所で…やっぱり、大変なんだね~……」

彼方「そこのお金がかからないから、みんなには普通程度にはお給料出せるし……それに本来なら宣伝のビラとかもお金かかるんだけど…そこはほら、かすみちゃんの可愛さで宣伝になるからさ」

かすみ「それはもちろんかすみんはかわいいから……って!かすみんビラ代わりですか!」

42: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:36:10.09 ID:RUOgDEbj
彼方「あ、そうそう、その事でかすみちゃんにお知らせ……というか二人になんだけど、この前の写真の投稿、けっこう宣伝になったから、お給料にプラス付けてあげる。まあ、ボーナスみたいなものかな」

かすみ「え、ホントですか!?」

エマ「やった~!」

彼方「あ、元気になった。現金なヤツめ~」

かすみ「え、ち、違いますよ!」

43: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:37:52.34 ID:RUOgDEbj
彼方「まあ、そんな感じで……そろそろお節介は終わりにして、休憩おしまいにしよっか~準備しないと、お客さんが来るまでに間に合わないかも」

かすみ「あの…彼方先輩、エマ先輩、ありがとうございます」

エマ「いや…私はホントなにも……でも、話したい事があったらなんでも話して!だって私、かすみちゃんの先輩だから!」

彼方「んー? かすみちゃん、ちゃんと元気出たー?」

かすみ「ええ、かすみん、もうちょっと頑張ってみます!とりあえず、スピーチの本買ってきます…!」

彼方「いやまあ…そのくだりはホント話半分で良いんだけど……」

44: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:38:15.99 ID:RUOgDEbj
エマ「私、応援してる…!…かすみちゃん、がんばって!」

彼方「でも、あんまり根詰めない様にね~塞ぎ込んで、手鏡に向かって『私ってかわいくないのかな…』って語りかけたりしないように」

かすみ「わー!!わー!!その話誰から聞いたんですか!?センパイですか!?え!?」

エマ「何そのエピソード!聞きた~い!」

かすみ「エマ先輩は聞かなくていいです!!もう!!」



『店長って……?』おわり

45: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 21:38:32.85 ID:RUOgDEbj
このスレはおわり、またいつか続きます

47: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 23:44:41.71 ID:DE+PHWlg
雰囲気好き

48: 輝きたい名無しさん 2020/09/26(土) 23:47:54.63 ID:b/e8BbSk
おつよかった
次も楽しみにしてるよ

49: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 01:10:47.91 ID:xbIaT1hX
とても良かった

50: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 02:09:13.31 ID:/2zAKcN5
終わるんか…
めっちゃ好きな雰囲気だわ
次回期待

52: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 02:19:56.72 ID:B2/e50zX
よかった
楽しみに待ってる

54: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 04:23:37.54 ID:wRrJFs1c
とっても良い雰囲気で素晴らしかったです
続きを読んで良い雰囲気に浸りたすぎるので本当に続編楽しみにしております!

55: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 08:28:09.35 ID:OWDfZFz5
お疲れ様でした。
続きも楽しみにしています

56: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 10:17:42.88 ID:grtXLEHS
面白いし今の自分に色々刺さるものがあった

次回も待ってます

57: 輝きたい名無しさん 2020/09/27(日) 11:59:58.23 ID:3Ad+j9PZ
雰囲気良くて面白かった~
2も楽しみ

引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1601122138/










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2020/09/27 17:00 | SS | コメント(1)

この記事のコメント

  1. 名無しライバーさん:2020/09/27(日) 19:11:44
  2. これは続編が楽しみだ!

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