当ブログは「ラブライブ!」及び「ラブライブ!サンシャイン!!」関係の色々な情報・ネタ・SSをまとめたサイトです。主に、5ch.net、2ch.sc、したらば掲示板のスレやTwitterをまとめています。
ラブライブ!まとめちゃんねる!! TOP  >  SS >  【SS】にこ『ねぇ、希』【ラブライブ!】

【SS】にこ『ねぇ、希』【ラブライブ!】

nozonico_202006201124164b3.jpg


1: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:05:31.81 ID:11h8JZYx
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……にこっちは、ウチのこと好き?」



彼女は照れくさそうに、その長い指をもじもじさせながら。


私の顔をじっと見つめると、離そうとはしてくれない。



よほど、自信があるのだろうか。


私らしからぬ好意的な言葉が、きちんと返ってくるという自信が。

3: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:07:03.11 ID:11h8JZYx
今にも授業が始まろうかというのに、部室の空気はまどろんだまま、一向に動く気配を見せない。


窓も開けていないこの部屋の、もわんとした暑さにすっかり浮かされているようで。


私たちは音一つ立てず、互いの瞳をぼんやりと眺め続けている。

4: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:07:49.08 ID:11h8JZYx
ーーーなんだ。この、甘ったるい空間は。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

5: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:09:10.71 ID:Rd+pZQuS
とある昼下がりの教室。


可愛らしいピンクのお弁当を空にした私は、苺牛乳を手に一息つく。多少ぬるくはなっていたものの、それでも生き返る味だ。


とっくに夏のピークは過ぎたはずが、午前中はやたら暑かった。手をうちわのようにして煽いでいる希の表情は、なんとも情けない。



普段の昼休みと一つだけ違うのは、絵里がいないこと。生徒会長ともなると昼に駆り出されることが度々あるらしく、ごめんねと言い残して先ほど出て行ってしまった。ご苦労なことである。

6: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:09:42.77 ID:Rd+pZQuS
話題を振ることが多い彼女がいないものだから、私から希に会話を切り出した。


「あの、いつもライブの手伝いしてくれてる三人組いるじゃない?」


「うん」


「あれ、よく考えると色々凄いわよね」


穂乃果たちのファーストライブを見た時から、ずっと思っていた。

7: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:10:00.45 ID:Rd+pZQuS
「せやなぁ。音声に照明、それにMVの撮影。この間なんてステージのセットまで作ってくれて…あれはびっくりしたなぁ」


彼女たちがしてくれている仕事を挙げてみると、凄まじい。


「なんであそこまでしてくれるのかしらね。ろくにお礼も出来てないじゃない」


「うーん。あ、そう言えばウチがμ'sに入る前にな。あれは確か、カメラ持ってみんなのインタビューとかしてた時…」

8: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:10:24.17 ID:Rd+pZQuS
「三人は裏方として頑張ってるけど、アイドル研究部には入らないのかって聞いたんよ。そしたら、あれはあくまで穂乃果ちゃんを手伝いたいからやってることであって、自分たちが部に所属するつもりはないって」


「だから多分、穂乃果ちゃんを応援したいって、本当にそれだけなんやないかなぁ」


μ'sの活動は、かなりの部分を彼女たちに依存している。文句ひとつ言わず裏方に徹してくれるあの三人には、頭も上がらない。


その原動力が、あのリーダーをただ純粋に応援したいだけとは初めて知った。

9: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:10:40.05 ID:Rd+pZQuS
「まったく。友達に恵まれすぎよ、あいつは」


「ほんまやね。それが、穂乃果ちゃんの一番の才能なのかもしれないなぁ」



「才能、ねぇ…」


確かに、才能という言葉が一番しっくり来るように思えた。

10: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:10:55.74 ID:Rd+pZQuS
この手の話になると私は、過去を多少なりとも思い出さざるを得ない。


最近は忙しく、そんな時間も随分減ったものだが……たまに日常のなかに、ひょいと顔を出すことがある。


有無を言わさず浮かんでくるそれは、総じてほの暗く、じめっとした小景。


面白いものでは決してないのに、次から次へと滲み出てくるから。まるで自分に何かを訴えかけているようだと、最近思うようになった。


そうだとすれば、かなりおせっかいな奴である。

11: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:11:12.63 ID:Rd+pZQuS
ぼんやり、とりとめもない考えにふける私を引き戻すかのように、希が自分の顔を指差して見せる。ほらほら、と言わんばかりだ。


「にこっちも才能あるやん」


そんな彼女お得意のおどけた仕草に、相応しい軽口を返した。


「何よ急に。別に、顔には何もついてないわよ」

12: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:11:30.30 ID:Rd+pZQuS
「ふふっ」


希はそのやりとりに満足したかのように頬を緩めたその後で、ポツリと呟いた。


「ウチ、にこっちに何もしてあげられんかったなぁ」



どきっとした。しかし放った言葉の重さに対し彼女の表情は、あまり深刻といった具合ではない。

13: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:11:45.45 ID:Rd+pZQuS
なんの変哲もない調子で話は続く。


「なんか出来たとも思えないし、言ってもしょうがないのは分かってるんやけど」


彼女の独白はあくまでも、つまらない世間話の延長線上にあるらしい。決して許しを乞うのでも、懺悔をしている訳でも無いようだ。されたところで私が困る。



ただ、その顔は少しだけ、悲しい目をしているように見えた。

14: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:12:03.45 ID:Rd+pZQuS
……本当に、言ってもしょうがないことだ。こういうのは、かなり反応に困る。


いつも飄々としている希だからこそ、余計に。




こうなると私は、飲んでいた苺牛乳のストローから口を離さないままに、なんでもないような態度をとるほかなかった。

15: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:12:34.00 ID:Rd+pZQuS
対応に弱る私の姿に気づいたのか、すぐに話題は別の方向へと変えられた。


「そういえば絵里ちも、あぁ見えてよく言っとるで。あぁしとけば良かった、こうしとけば良かったって」


はーっ、と軽いため息をつく希。


「海未ちゃんが作ってくれる歌詞みたいには、上手くいかないもんやねぇ」


「まあ…そうね」


「だから歌があるんやろうけど」

16: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:12:55.10 ID:Rd+pZQuS
「かなしみにとざされてー、なくだけのきみじゃない…ってな」


クラスメートへの配慮から、呟くようにして希に歌われたそのフレーズが、どうにも物寂しいものだから。



聞かれても無いことを、つい答えてしまった。


「…私は一、ニ年の時もそんな悪くないと思ってるけど」

18: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:13:11.88 ID:Rd+pZQuS
「あ、そうなん?」


「そりゃ今より充実してたとは言わないけど。馬鹿みたいにライブ観に行ったり、将来のこと考えずにあんたとダラダラしたのは…あれはあれで、悪くなかったかもね」


希は目を丸くして私を見つめると、クスッと笑顔を見せた。


「ふふっ、今も大して考えてないやん」


「うるさいわね。余計なお世話よ」


「ウチもにこっちと寄り道して帰るの好きやったよ。最近出来とらんなぁ」

19: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:13:30.06 ID:Rd+pZQuS
「あ、じゃあ今日練習無いし、あそこ行かへん? えーと、名前が…」


「うわ、懐かしい。あれでしょ?駅裏の、ちょっと隠れ家っぽい雰囲気のとこ」


随分と懐かしい記憶を引っ張り出したものだ。


帰り道に喫茶へ立ち寄り、どうでもいい話で貴重な青春をつぶす。そんな日々が、遠い昔のことのように思われた。


μ'sに巻き込まれてからというもの、そんな穏やかな日々は遅れていない。



「そうそう。せっかくだから、絵里ちも誘おうか」


何かとお洒落な彼女のことだ。きっと、あの店の全てを気に入って……

20: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:13:52.53 ID:Rd+pZQuS
「…今日だけはあいつ抜きにしましょ。今度、必ず三人で行くから」 



希は心底、驚いたような表情を浮かべた。


「えー、絵里ち怒らんかな?」


「あんたと絵里にもそういう場所があるんじゃないの?そこ二人で行っとけば、許してくれるわよ」

21: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:14:07.82 ID:Rd+pZQuS
「昔のえりちは真面目やったからなぁ。道草はしなかったんよ」


「ふーん。まぁいいけどね」


「不服そうやん?」

 

不服。きっと、そうなのだろう。


「なんか、昔を懐かしみたいって時があるのよ」

22: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:14:28.47 ID:Rd+pZQuS
「…あんたは違うの?」



希と二人きりが良いのだと。そう言っているのだと、自分でも自覚していた。


少しくらい彼女にからかわれても、別に良かった。



これは、ただのノスタルジーなのだろうか。


この不思議な気持ちは、いったい。

23: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:14:58.36 ID:Rd+pZQuS
「せやね。今日は昔みたいに、2人で閉店まで粘ろっか」


希は、あっさり承知した。


閉店までといっても、確か夕方の六時半まで。その後はお酒を出す店になるとかなんとか。



しばらく埃をかぶっていた記憶が、ぐーっと蘇る。


「飲み物だけで凌ぐつもりが、お腹減ってきて結局パフェ頼むのよね」


「にこは小食だから~、とか言われて半分こした記憶あるで」


「無駄にでかいのよね、あのパフェ。あれ、練習後なら食べられるかしら」


「ふふ、いけるいける」

24: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:15:23.56 ID:Rd+pZQuS
やたらボリューミーで小味の効いた喫茶のメニューと、それにまつわる取るに足りないエピソードをいくらか語り合った。


「なんか、うんと懐かしいな」


「そうね、こんな感じだったわね」



そう。週に一度は必ず、二人してどこかに出かけていた。


私の高校の記憶には、いつもこいつが映り込んでいる。



大体は希の方から、お菓子を手土産に部室へと乗り込んできて……

25: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:15:41.31 ID:Rd+pZQuS
「別に、あんたは何もしなくていいのよ」


「え?」



「あの時は、あんたしか友達いなかったんだから。だから、何かしてあげるとか、そんなのは……」


「にこっち」


狐につままれたような顔の希。

26: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:16:00.03 ID:Rd+pZQuS
こちらを見つめて固まったその姿を見て、自分が言ったことの恥ずかしさに気が付いた。


「忘れて忘れて。すぐ忘れて」


やばっ。私らしくもない。



ぼうっと懐かしんでいた感覚が、一気に立ち退いて。軽いパニックであった。

27: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:16:15.59 ID:Rd+pZQuS
てっきり笑われると思って身構えたがよく見ると、希の方が心ここにあらずといった顔をしている。何かを考えているようで、考えていないような。



そんな生殺しのような時間がひととき流れて、思いもよらぬ言葉が返ってきた。


「あかん、なんか泣きそう」


……あれ?



どうやら彼女は、冗談と受け取ったらしい。

28: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:17:16.75 ID:Rd+pZQuS
「ったく、おばさんじゃないんだから」


いつものように彼女に悪態をついたのも束の間。



その顔が、冗談には全くそぐわない表情であることに気づいた。



突然、ガタンと音を立てて椅子から立ち上がると、


「にこっち、ごめん」


顔も見ないでそう言い残し、彼女は教室を飛び出してしまった。










◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

29: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:17:36.02 ID:Rd+pZQuS
その行方は大方見当がついていた。


部室のドアノブを回すと、案の定彼女の背中が見えた。普段私がパソコンをいじる為の席に、肘をついて座っている。


流石に私が入ってきたことに気がついているとは思うが、こちらを振り返ろうとはしない。


電気をつけず、カーテンも開けてないものだから、中は薄暗くてしょうがない。部室がこんな暗さに包まれているのを見るのは、随分と久しぶりのように思えた。

30: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:18:12.04 ID:Rd+pZQuS
「ちょっと、あんたマジで泣いてんの?」


「ん、もう大丈夫」



「…なんで泣いたの?」


「うーん、なんでって言われると難しいんやけど……」


彼女は照れ臭そうに頭をかきながら、ようやくこちらに体を向けた。その目は少し腫れている。


「私が良いこと言ったから泣いたんでしょ?恥ずかしいわねぇ」



気丈に振る舞おうとしたが、少し声がうわつく。


正直、この部屋に入ってからというもの、気が気でない。

31: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:18:31.06 ID:Rd+pZQuS
「もう歳やね」


「まったく、おばさんもいいところよ」



「…今だから言えるんやけどな。昔のウチ、にこっちが可哀想だから友達になってあげないとあかんって思ったんよ」


懐かしむように淡々と、こいつは凄いことを言う。

32: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:18:48.30 ID:Rd+pZQuS
「随分と上から目線じゃない」


「ふふっ、ごめんな。昔のにこっちったら、意地っ張り屋で友達なんていらないとか言って」


「あー…言ってたかもね」


今となっては少々恥ずかしい記憶だ。



「だから、そんなにこっちがウチのこと友達だって思ってくれてたのと…まぁこれは分かってたんやけど」


「図々しいわね」


「あとそれとな。一、二年生の時、友達がウチしか居らんかったってなんでもないように言うから………」

33: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:19:07.13 ID:Rd+pZQuS
「にこっち、変わったんやなぁって気付いて。それが、泣くくらい嬉しかったんよ」


その綺麗な笑みは、本心から出た物なのであろう。奥底の自分をひた隠しているような、いつもの彼女とはどこかが違う。


完全に向こうのペースに持ってかれている。


「まぁ?ナンバーワンアイドルに泣いたとしても、無理はないかもね」



うわずった私の声に軽くうなづくと、希はゆっくりと立ち上がった。


そして、改めて私の顔を見据える。

34: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:19:26.47 ID:Rd+pZQuS
「なあ、にこっち」


その声は、一段と柔らかみを帯びていて。



「なによ…」



「今しか言えないから、言うけど」

35: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:19:45.01 ID:Rd+pZQuS
「ウチ、にこっちのこと好きやで」



「ほんまに、友達になれて嬉しいわ」



その告白は、少し照れ臭そうに頬を染めながら。それでいて、随分はっきりとしていた。

36: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:20:05.39 ID:Rd+pZQuS
とてもその顔を直視できず、反射的に床へと目をやる。自分の頬に熱が溜まっていくのが、よく分かった。


「ちょっと、やめなさいよ。私シラフなんだから」



彼女はというと、その目を逸らすつもりはないらしく。


「今日だけやん。……ずうっと、仲良くいようなぁ」

37: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:20:22.11 ID:Rd+pZQuS
「あんた、そういうキャラじゃないでしょ!」



「μ'sのみんなの真似してみたんよ。自分の友達を恥ずかしがらずに好きって言うの、前からええなぁと思ってて」


そう言ってにしし、と口角を上げる。


「こんなことが恥ずかしくて言えないのなんて、三年生だけやで」

38: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:20:52.34 ID:Rd+pZQuS
キーン、コーン、カーン、コーン…… 



彼女の笑みに重ねるようにして、鐘の音が鳴り響く。音ノ木坂では、五分後の授業開始を意味していた。



けれどその響きは、いつものように私たちを急かしたりはせず。



薄暗いこの部屋の神聖さを、ありったけ際立たせていた。

39: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:21:07.25 ID:Rd+pZQuS
「ねぇ、のぞみ」


「…うん」


「のぞみには、本当に感謝してる」


自分の声の可愛さに驚かされる。

40: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:21:25.31 ID:Rd+pZQuS
真っ白で、頭に何も浮かばない。


「それで、えっと…」



「…ウチのこと、好き?」


希の方も、その言葉が精一杯と言わんばかりの、真っ赤な顔。

41: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:21:51.60 ID:Rd+pZQuS
「あ……」



ショートした頭は全くまわらないから、回答は一つしかなかった。



すぅー。



決心して、息を吸い込んで。

42: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:22:09.84 ID:Rd+pZQuS
こくんと小さく頷くのが、精一杯だった。




全身が一斉に紅潮していくのが、その熱さで分かる。
   

43: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:22:28.64 ID:Rd+pZQuS
部室はしーんと静まり返り。



「うふふっ」


しばらくして希は、口元をにやけさせながら笑った。こんな表情の彼女を見るのは、初めて見る。

44: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:23:04.70 ID:Rd+pZQuS
「もうっ、にこっち、照れるやん!」


私の背中をバンバンと叩いてくる。けっこう痛い。



「だからやめとけって言ったのよ!」



「でも、嬉しいなぁ。ほんま嬉しい」


叩く手を止めると今度は、両手を自身の頬に当てた。


まるで、自分の笑顔を確かめているかのように。

45: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:23:25.34 ID:Rd+pZQuS
「…ほんまに、嬉しいわぁ」



「あぁもう。分かったってば」









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

46: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:23:40.26 ID:Rd+pZQuS
放課後。重い紙の束を抱え、二人並んで廊下を歩く。


「やっぱこの後、喫茶に絵里も連れて行きましょ」


「えぇの?」


「よく考えたらあいつ可哀想だし」


「絵里ち、あぁ見えて繊細なとこあるからなぁ」

47: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:23:55.98 ID:Rd+pZQuS
「二人で、昔を懐かしむってのはどうしたん?」


“二人“を強調して、分かりきったことを口にする希。



「あんたのせいでしょうが!!」


そう。全部、こいつのせい。

48: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:24:13.38 ID:Rd+pZQuS
おかげであの後授業には遅刻し、罰として生徒会室までプリントを運ぶ羽目になった。


絵里は昼休み、私たちの部活の(うち何人かの)素行が、あまり良くないってことで呼び出されていたらしい。


そんな折に二人揃って遅刻したものだから、割と真剣な顔で説教をされてしまった。この罰も、彼女に課せられたものだ。

49: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:24:39.73 ID:Rd+pZQuS
「絵里ち、きっと喜ぶで」


「ふん、そうだと良いわね」


「にこっち、なんか怒ってる?」


「いや、別に?」



本当に、怒っているわけでは決してない。


ただ、なんとなく悪態をつきたくなっただけだ。

50: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:24:56.91 ID:Rd+pZQuS
何気なくちらりと希の顔を覗くと、タイミング良く目があった。


にらめっこをしてる訳でもないのに、互いの顔を見るやいなや、二人ともぷっと吹き出して。


「ったく、何がおかしいのよ」


「…いやぁ、別に?」

51: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:25:15.02 ID:Rd+pZQuS
「おかしくも無いのに、笑ったの?」


「にこっちの顔に笑ったって言ったら、怒るやん」


「そりゃあ、怒るわよ」



ひゅうっと、廊下の窓から風が吹き込んだ。


あの暑さは嘘みたいにどこかへ消えてしまった。今は大分爽やかで、気持ちの良い涼しさが広がっている。

52: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:25:32.21 ID:Rd+pZQuS
それでもあの昼下がりの、呆れるほど沸騰した体温はまだ胸に残っていて。



これはパフェでも食べないと、やってられない。万が一食べきれなかったら、二人にも分けてあげよう。





そんなことを思いながら、絵里の待つ生徒会室へと足を早めた。

53: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:30:42.72 ID:Rd+pZQuS
過去作

ことり『もう一回だけ』

にこ『可愛いあなたに』

お読みいただきありがとうございました。
感想、ご意見お待ちしております。

54: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:52:53.87 ID:X5T4oitk
おつ
この二人の普段は表に出さない親友感好き

56: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 21:59:55.64 ID:N5ncjI8r
ええやん…!

57: 輝きたい名無しさん 2020/06/19(金) 22:02:58.18 ID:N3dt+3dc
ああ....最高だ.....

59: 輝きたい名無しさん 2020/06/20(土) 00:02:06.90 ID:SXzmahkb
美しき友情ですやんなぁ…最高

60: 輝きたい名無しさん 2020/06/20(土) 00:47:18.39 ID:ykvZC53E
3年生組の雰囲気大好き

61: 輝きたい名無しさん 2020/06/20(土) 02:02:51.49 ID:WWnXafGf
三年組尊い……
尊い……

62: 輝きたい名無しさん 2020/06/20(土) 08:33:33.50 ID:YBXD1bNi
単純な百合に走らないのも良いな

引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1592568331/










注目記事
関連記事
2020/06/20 17:00 | SS | コメント(0)

この記事のコメント

コメントの投稿


プロフィール

よしまる

Author:よしまる

最新記事
ポケモンの努力値振りでケンカするりなりーと善子【ラブライブ!スクスタ】 Jul 11, 2020
ヌーディストビーチに連れていきたい女の子【ラブライブ!】 Jul 11, 2020
浜辺で野ざらしにされたラブライブ!優勝旗 Jul 11, 2020
ラブライバーの好きなお酒【ラブライブ!】 Jul 10, 2020
Aqoursで、歌詞が最高傑作レベルの曲ってどれ?【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jul 10, 2020
アニメは苦手だけどAqoursは好きになってきた【ラブライブ!サンシャイン!!】 Jul 10, 2020
アニメと漫画だと「にこまき」ってだいぶ違うよね【ラブライブ!】 Jul 10, 2020
愛「歩夢見てるー?今から歩夢の大好きなぶちょーと○○するよー」←歩夢がギリギリ我慢できそうなこと【ラブライブ!虹ヶ咲】 Jul 10, 2020
9周年の目玉であるラブライブ!フェス、そのフェスのBDの特典が既存絵の使い回しって… Jul 10, 2020
将棋が強そうな女の子【ラブライブ!】 Jul 10, 2020
検索フォーム
人気ページランキング
アクセスカウンター
アクセスランキング
タグクラウド

Aqours μ's SS 画像 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 スクスタ ラブライブ!サンシャイン!! 高海千歌 逢田梨香子 津島善子 ライブ 渡辺曜 ラブライブ! 黒澤ダイヤ 松浦果南 黒澤ルビィ 桜内梨子 小原鞠莉 国木田花丸 小林愛香 伊波杏樹 絢瀬絵里 鈴木愛奈 Saint_Snow 園田海未 斉藤朱夏 高坂穂乃果 矢澤にこ 小宮有紗 上原歩夢 ラブライバー 南ことり 星空凛 楠木ともり スクフェス 優木せつ菜 グッズ 中須かすみ 動画 諏訪ななか 小泉花陽 西木野真姫 高槻かなこ 東條希 桜坂しずく 降幡愛 鹿角聖良 天王寺璃奈 エマ・ヴェルデ スクスタ毎日劇場 宮下愛 朝香果林 管理人の戯言 近江彼方 大西亜玖璃 鹿角理亞 声優 新田恵海 あなたちゃん 前田佳織里 内田彩 鬼頭明里 三森すずこ 相良茉優 ハロー!!!ラブライブ! 三船栞子 グラブル アニメ ラジオ 南條愛乃 ぷちぐるラブライブ! 楠田亜衣奈 徳井青空 久保田未夢 渡辺月 田野アサミ 飯田里穂 田中ちえ美 久保ユリカ 浦ラジ 村上奈津実 Pile 指出毬亜 ニュース スクフェスAC 佐藤日向 高咲侑 A-RISE 生放送 高海美渡 ニジガク 絢瀬亜里沙 高海志満 佐倉綾音 高坂雪穂 荻野由佳 ニコ生 唐可可 鞠莉ママ 水樹奈々 綺羅ツバサ 澁谷かのん 近江遥 ことりママ 本田圭佑 平安名すみれ エマ 千歌ママ 雨宮天 Shadowverse 指出毱亜 芹澤優 黒沢ともよ 漫画 水瀬いのり スクパラ 中川奈々 オフィーリア 川本美里 葉月恋 QU4RTZ 女子高生 しいたけ ゲーム 矢澤こころ 小泉萌香 大橋歩夕 Aqours_LOCKS! 山本希望 ラブライブ!スーパースター!! 統堂英玲奈 お盆 スクコレ 松永真穂 ことり母 東山奈央 優木あんじゅ 畑亜貴 桜咲しずく ぽきもそ 金元寿子 LOCKS! いつき 理事長 芸能 善子母 櫻川めぐ 



アクセスランキング